本ページでは舞台・ミュージカルに関する用語をまとめています。
辞書的な専門用語だけでなく、一般のファンによってSNSなどで頻繁に使われる言葉もまとめていきます。ぜひ参考にしてみてください。
あ行
● アドリブ
台本にない即興のセリフや歌詞。セリフを忘れてしまった役者が咄嗟にセリフを考えて芝居することもありますが、舞台における多くのアドリブは、役者が公演を盛り上げるために意図的に行うもの。コメディ作品では時事ネタやメタを盛り込むこともある。
● アンサンブルキャスト
一つの作品の中で役名のない複数の役演じる役者のこと。サンボと略す人も多い。対義語はプリンシパルキャスト。
● ウィーンミュージカル
音楽の都ウィーンで誕生したミュージカル作品のこと。日本においてはこのウィーンミュージカルの人気がかなり高く、日本のどこかで毎晩何かしらのウィーンミュージカル作品が上演されているのではないかというほど。繊細かつスリリングなハイクオリティ楽曲と深みのある渋い物語性が魅力。『エリザベート』『モーツァルト!』『ダンスオブヴァンパイア』などが代表的。くわしくはこちらの記事参照。
● オーケストラピット(オケピ)
劇場で生演奏をするオーケストラ用の演奏場所のこと。客席と舞台の間の奈落や舞台袖に設置されることが多い。
● オペラグラス
双眼鏡のこと。劇場によっては有料で貸出・販売しています。
● 穴をあける
役者が急病や怪我で出演できなくなること。代役がいない作品の場合は延期や中止になってしまいます。例:「公演に穴をあけるわけにはいかない」
● 暗転
場面が変わるときに舞台上では役者やセットの入り変わりが行われます。それが客席から見えないように舞台の照明を落としていったん暗くすること。最前列くらい近い席だと暗転していても何が行われているのかぼんやりと見えてしまう。
● 祝い花
役者に向けて出演をお祝いする花のこと。著名な芸能人や一般のファン、スポンサーなど贈り主は様々。主に劇場のロビーに飾られます。
● SE(サウンドエフェクト)
音響効果のこと。銃声、嵐、馬の鳴き声などなどありとあらゆる種類の音で舞台をよりリアルに彩ります。ごく稀に間違った場面で間違ったSEが鳴るハプニングもある。音声さーーん!
● 音楽劇
歌やダンスの割合が比較的少ない作品のこと。歌・ダンスが一切ないストレートプレイとミュージカルの中間くらいの作品。
か行
● 顔合わせ
役者全員が初めて揃う稽古のこと。
● 楽屋
役者の控室のこと。主演級の場合は一人用の部屋が割り当てられることが多いですが、ほとんどの役者は共有の大部屋になります。本番に向けたメイクや着替えも楽屋で行います。
● カーテンコール(カテコ)
物語が終わった後に役者が順番に登場すること。観客はめいっぱいの拍手で迎えます。
● 上手(かみて)
客席から見て舞台の右側のこと。反対語:下手(しもて)
● かぶりつき
舞台にかぶりついてしまう勢いで観劇すること。特定の役者を集中して目で追うという意味もあります。
● カンパニー
作品をつくる関係者のこと。役者だけでなくスタッフなどの製作さんを含めることもあります。例:「今回のカンパニーは本当に皆さん暖かくて・・・」
● 客席降り(客降り)
物語の中で役者が観客がいる座席エリアに降りてきて通路を歩きながら芝居したり移動すること。通路席の観客は役者を手に届く距離で見ることができるのでド迫力&ラッキーです。上演後からドタバタ入ってきて迷惑だなぁと思ってチラ見したら突撃する兵士役たちでした。
● 客電
客席の照明のこと。上演前は当然灯っていますが上演の開始とともに徐々に落とされます。「客電が落ちる」とよく言います。客席が暗くなってからは、もうお喋りしないようにしよう。
● 菊田一夫演劇賞
1975年創設の日本の演劇賞。受賞するのは実力人気ともに申し分のない役者がほとんどであるが、中には「なんでこの人?」と疑問を抱かざるを得ない人選も多々あり。
● 狂言回し
物語上の進行役。主に観客に向かって時代背景やキャラクターの補足をする人物のこと。アナウンサーのような存在ではなく、登場人物がこの役を担います。ストーリーテラーとも言います。通常、狂言回しは主人公ではありません。狂言回し兼主人公は古畑任三郎くらい。ミュージカルでは『エリザベート』のルキーニや『ピピン』のリーディングプレイヤーが有名。
● キャパ
劇場の収容人数のこと。キャパシティ(capacity)の略。
● 群舞
大勢で踊るダンスシーンのこと。
● 稽古
舞台やミュージカルの場合、本番に向けた練習のことを稽古を表現します。一般的に稽古というと”おけいこごと”をイメージするかもしれません。ちなみに稽古は劇場ではなく稽古専用のスタジオで行われます。
● ゲネプロ
本番公演の前日に実施される本番さながらのリハーサルのこと。通常のリハーサルとの違いは業界関係者やカメラマンも客席に入ります。よくテレビで「大人気ミュージカル!明日からいよいよ上演!」と言いつつ舞台の映像が流れます。え?明日からなのにこれいつの映像なの?そう、ゲネプロ時に撮影された映像なのです。
● こけら落とし
新しく建設された劇場で一発目に上演される公演のこと。こけら落とし公演とも言います。
● 小屋入り
稽古を終えたカンパニーがいよいよ劇場入りすること。本番の1週間前~2、3日前が多い。
さ行
● 座長
主に主演役者のこと。例:「われらが座長!●●さんです!」
● 招聘(しょうへい)
主に外国の作品を日本で上演すること。海外の興行団体との英語での交渉や調整が必要となります。
● ショーストップ
あまりにも素晴らしい歌唱やダンスのあとに拍手がなかなか鳴りやまず危うく継続が難しくなるほど、という意味の誉め言葉です。中川晃教さんの得意技。
● 下手(しもて)
客席から見て左側のこと。反対語:上手(かみて)
● スウィング
全ての役の代役のこと。通常の代役は特定の役者が急病などで降板してしまったときにその役者の穴を埋めますが、スウィングは全役に対して代役できるように備えています。つまり、セリフや段取りなど全役の視点で全て身に付ける必要があります。そのため、スウィングとしての重圧は並大抵のものではないでしょう。
● スタンディングオベーション(スタオベ)
主にカーテンコールなどで席から立って拍手を送ること。
● ストレートプレイ(ストプレ)
ダンスや歌のない芝居のみの作品のこと。ミュージカル俳優がストレートプレイの作品に参加することもよくあります。逆はあまり見かけない。
● スモーク
舞台演出の煙のこと。通常の空間ではない少し異質な空間のシーンで用いられることが多いです。例:『レミゼラブル』の下水道のシーン。または単純に火事や炎の演出としても使われます。
● 世界三大ミュージカル
『レ・ミゼラブル』『CATS』『オペラ座の怪人』のこと。制覇する役者はなかなかいませんが、山口祐一郎さんは全てに出演経験あり。
● 千秋楽
公演最終日のこと。「楽(らく)」とも言います。各地方をめぐる公演の場合は、地方ごとの最終日を千秋楽、最終地点での本当の最後の公演を大千秋楽と言います。ちなみに、同じ公演を複数回観劇する人の中には自分にとっての最終観劇であることをあらわすこともあります。例:「今日はmy楽だから目に焼き付けるぞ!」
● ソワレ
夜公演のこと。反対語は昼公演を示すマチネ。ちなみにマチネとソワレを合わせてマチソワと略されることが多いです。
● 全通(ぜんつう)
ひとつの作品を全公演観ること(全部に通うこと)相当の資金と時間を要する貴族の遊び。
た行
● タイトルロール
作品のタイトルが主役の名前や名前の一部になっていること。またはその主役自体を指します。例:『マリー・アントワネット』の主人公のマリー・アントワネット。『モーツァルト!』の主人公のモーツァルト。
● 立ち稽古
立って動きをつけながら行う稽古のこと。通常は、最初は座った状態の「読み合わせ」稽古をしてから、次に立ち稽古に移る。
● 殺陣(たて)
刀や剣による斬り合いのシーンのこと。”さつじん”ではなく”たて”と読みます。ちなみに殺陣で重要なのは斬るほうではなく斬られるほうの芝居なんだとか。いかに上手に斬られるかが肝になります。
● ダブルキャスト
1つの役に対して2人のキャストが交代で演じること。数か月にわかる長期公演の場合に多いです。どうしても比較されてしまうためダブルキャストは精神的にキツいものがあるとかないとか。
● 出待ち
公演後に劇場関係者出入口から出てくる役者を待っているファンのこと。
● 駄目出し
駄目出しと聞くと一般的には説教を連想するかもしれませんが、舞台の世界では作品の完成度をより上げるために演出家がスタッフや役者に指摘・修正を促すものです。そのため、必ずしも悪いものではありません。
● トニー賞
演劇やミュージカルに関連するアメリカの賞の名称。選考の対象となるのはニューヨークのブロードウェイにて上演される作品。ミュージカル界で著名な賞であるため、日本に輸入される作品に「トニー賞受賞作品」という宣伝文句が付いていることが多いです。
● トリプルキャスト
1つの役に対して3人のキャストが交代で演じること。数か月にわかる長期公演の場合に多いです。
な行
● 奈落(ならく)
役者やセットの移動空間となる舞台の地下スペースのこと。帝国劇場の場合は帝劇地下街のB1とB2の一部が奈落となっており、地図にも「奈落」と記載されています。
● 中日(なかび)
複数日ある公演日の真ん中あたりの日を指す。例えば1か月の公演であれば15日目あたり。
は行
● ばみり
セットや立ち位置の位置を示す太めのテープのことで、舞台上にはたくさん張られています。2階席以上であれば見えることもある。
● 贔屓(ひいき)
ファンが自分を指すときに使う言葉。役者への祝い花へ「贔屓一同より」とよく書かれていますが「ファン一同より」と読み替えてOKです。例:「明日は贔屓の役者さんの舞台を観に行くの」
● ファンサ
役者からファンへのファンサービスのこと。
● プリンスロード
井上芳雄さんを待つファンの出待ち列が長蛇の列となる光景からこのような呼称が付けられました。テレビに井上さんが出演されるときは必ずと言っていい程プリンスロードの話になりますが、そこで使用される帝劇ロビーの画像は実は出待ち列ではなく特別イベント時に集まった観客。
● フライヤー
公演やファンクラブのチラシのこと。
● プリンシパルキャスト
公演の主演級で、役名が付いている役を演じる。(反対語:アンサンブルキャスト)
● プレボ
プレゼントBOXの略。主に劇場ロビーに設置されており、ファンはここに役者への差し入れやお手紙を入れる。
● プレビュー公演
名目上は報道陣を交えた関係者最終稽古のことですが、最近は観客のほとんどが一般客となっています。そのため、プレビュー公演だと言われなければ気づかないことも多いです。通常公演よりも1,000円ほどチケット代が安くなる。
● ホワイエ
ロビーと同じです。
ま行
● 前楽
千秋楽のひとつ前の公演のこと。ダブルキャスト以上の公演の場合は必ず最終日となる役者が発生する。
● 幕間(まくあい)
1幕と2幕の間。通常は15分~25分ほどで、観客はこの間にお手洗いを済ませたり軽食をとる。役者は休憩したり2幕に向けた衣装やメイクの準備をする。「まくま」と読む人も多い。
● マチネ
昼公演のこと。反対語は夜公演を示すソワレ。ちなみにマチネとソワレを合わせてマチソワと略されることが多いです。
● 見切れ席
舞台の一部が見切れてしまう座席のこと。前列の端っこの席であることが多い。見切れてしまうため、前列であっても多少価格が安くなることもある。注釈席とも言います。
● メタ
登場人物が上演されている作品が創作物であることを認知している発言をすること。場合によっては作品の世界観を崩しかねないので、主にコメディ作品や、シリアスではないシーンで使われることが多い。
や行
● 読み合わせ
稽古の初期段階に行われるもので、通常は役者が椅子に座りながらセリフのやりとりを確認し合います。この読み合わせが終わってから立ち稽古に進みます。
ら行
● ロングラン
長期にわたって上演され続けること。
わ行
● ワイヤーアクション
役者がワイヤーで宙を舞うこと。『メリー・ポピンズ』『ピーターパン』などが有名。