アリージャンス 観劇レポ 濱田めぐみ

【感想】舞台『アリージャンス-忠誠-』あらすじと若干辛口な感想

 

国際フォーラムホールC

 

『アリージャンス-忠誠-』を観劇してきました。感想を書いていきます。核心的なネタバレはありませんが、すこし辛口な感想を含むので苦手な方はここでブラウザバック推奨です。

 

ざっくりあらすじ

第二次世界大戦中のアメリカで差別されながらも必死に生きる日系家族の絆を描いた作品です。その中でも濱田めぐみさん演じるケイと海宝直人さん演じるサミーの兄弟愛にスポットライトを当てています。

1941年12月7日に真珠湾攻撃が勃発し、日系アメリカ人は敵性外国人扱いをされてしまいます。家を強制的に追い出されたアメリカ全土の日系アメリカ人は収容所へと移送されることになります。

そのため、本作は作中の8割が収容所内でのシーンとなります。

 

作品の歴史

 

日系アメリカ人を題材にした物語なので国産ミュージカルかとおもいきや、もともとは2015年にブロードウェイで上演された外国産ミュージカルです。

タイトルの『アリージャンス-忠誠-』はまさに忠誠を意味するAllegianceから取られています。

あまり馴染みのない単語ですが、"the Pledge of Allegiance"という言葉があります。アメリカ合衆国への忠誠を誓うために小学校の子供たちから大人まで皆全員で国旗を見つめながら右手を胸に当てて国家斉唱するシーンをよく見ますよね。アレです。

 

ブロードウェイ版はジョージ・タケイさんが出演しています。日系米国人俳優として超有名ですが、彼自身も第二次大戦中の5歳から9歳になる直前までの3年間を強制収容所で過ごした経歴を持ちます。

 

 

タケイさんご本人が当時の収容所での体験をTEDで語っている動画があります。ぜひご参考ください。

 

良い感想

重いテーマのわりに見やすい

"戦時下に強制収容された日系アメリカ人たちの物語"なので観劇前は相当重い内容だと覚悟していましたが、実際のところはそこまで暗くありません。全体的に非常に見やすく、わかりやすい構成になっています。かつここまでシリアスなテーマをよくここまで見やすくしたなと感心してしまうほど。

戦争の残虐さや当時の日系人の苦労というよりも、あくまでも家族の絆や日本人らしい懸命なひたむきさに焦点が当てられています。

 

 

↑このメインビジュアルを初めてみたときに「なんか明るすぎじゃないか?」とちょっと思ったんですよね。でも今見返してみると作品の雰囲気にマッチしたデザインだったのだなと納得。

テーマそのものは、もしどこか別の制作チームが同じ題材を手掛けていれば目をそむけたくなるような残酷なシーンが数多く含まれてもおかしくないようなヘビーさですよね。

 

つくりがとにかく丁寧

「細かいこたぁ関係ねぇ!」と言わんばかりに勢いでゴリ押しするミュージカル作品も世に多数存在しますが、アリージャンスはストーリー構成含めとにかく全てが丁寧でした。

登場人物の心情がしっかり描かれています。尺の関係もあってか、どのミュージカルにも「あの人結局何考えたの?」と疑問符が残るような人物が1人くらいは大抵いますが、本作では途中モヤモヤしていところがラストシーンには全てきれいに解消されます。かつ、伏線もキッチリ回収されます。

 

劇場で用語説明集をゲットすることができます

 

ネタバレになるのであえて少し曖昧に書きますが、ラストシーンすごくいいですよね。最後のほう結構モヤつくシーンの連続なので、これちゃんと綺麗に終わるの?と思っていましたが、最後の最後に「あぁなるほど…!」とジワっきます。

 

筆者には合わなかったところ

全体的にちょっと地味

で、面白かったのか?面白くなかったのか?という本題に入ります。結論から先に言うと正直そこまで面白いとは思えませんでした。

冒頭に書いたとおり物語の8割は収容所でのシーンということもあり、セットは簡素であまり代り映えせず。国際フォーラム規模の大ステージでは少し持て余しているようにさえ感じてしまった。どちらかというとシアタークリエくらいのサイズ感でじっくり観たい。

かつ、ミュージカルとしてガツンと強烈に頭に残るシーンも曲もなく、いい話だな~としみじみしているうちにいつの間にか終わってしまう感じ。

 

ただしこれは決して作品がイマイチなのではなく、根底にあるの作品思想が筆者には合わなかっただけです。共同演出の豊田めぐみさんのコメントにこう書いてあります。

「ミュージカルではありますが華美なことは極力排除し、ストレートプレイのように人間の本質を露わにしたいと思います。」(公演パンフレットより)

 

多少ツッコミどころがあっても観劇後にはちょっと汗かいてるくらい高揚感を味わえるような作品が好きなんですよね。ボロがあってもそれを帳消しにできるほどの強烈な魅力と突き抜けた世界観とでもいうのかなあ。

 

あまり緊張感がない

全体的に緊張感を感じられません。決してキャストのやる気がないだとかそういう話じゃないですよ。これは物語の構成の話に起因するところです。

海宝直人さん演じるサミ―という若き青年がすっかり老人になった2001年現在から60年前の過去を振り返る、という構成になっています。この冒頭のシーンでサミーは自宅を訪ねてきた女性から「姉のケイさん(濱田めぐみ)が先日亡くなりました」という知らせを受けます。

このシーンが冒頭にあることでサミーとケイの兄弟は戦争を生き抜いたという事実がわかるわけです。生命の危機に瀕したシーンでもこの事実がどうしても頭をよぎってしまうんですよね。

収容所で軍人が日系アメリカ人たちに向かって銃をぶっ放そうが、サミーが戦地で倒れようが、少なくともサミーとケイは絶対に死なないことだけはわかってしまう。つまり、こういったシーンのたびに「でも生き延びるよね?」と思ってしまってあまりハラハラしないのです。

 

筆者はどうしても緊張感がないと感じてしまいましたが、観る人によってはむしろ”安心して観れる”というプラスの働きかけになるかもしれません。

 

注目のキャスト

濱田めぐみさんや海宝直人さんなどなど、メインキャスト陣はもう感想の書きようがないほど相変わらず素晴らしかったので割愛。今回筆者が「お!」と思ったお二人をピックアップ。

 

まず日系人の代表者として政府と交渉する役どころの今井朋彦さん。『ウーマン・オブザイヤー』ぶりに拝見しましたがやっぱり上手い!安定感がある!本当に良い役者さんです。

どちらかというと映像系やストレートプレイでの出演が多めなのでミュージカルで拝見する機会はそこまで多くはありませんが、たまにお見かけすると嬉しくなります。

余談ですが『ウーマン・オブザイヤー』再演しないかなあ…早霧せいなさん演じるテスとのシュールなドタバタ劇が好きでした。

 

もう一人は常川藍里さん。日系アメリカ人をいたぶる米兵のエヴァンス二等兵役。なにかとても光るものを感じました!!顔だちも歌声もどちらも特徴的です。今回すごく目立つアンサンブルさんですよね。

こんな役者さんいたのか~と思って調べてみたら『恋するブロードウェイ』やら『ロカビリー☆ジャック』やらで既に拝見していました…

 

まとめ

上演予定のホリプロ作品たち

 

個人的にはリピートはないですが、『サンセット大通り』ぶりに大劇場で羽を伸ばすように歌唱する濱田めぐみさんの姿を見て少しだけウルっときました。たったそれだけでも観た価値は十分すぎるほどあったかなと思います。

 

【おまけ】音源について

ブロードウェイ版は音源入手可能です。ジャケットにはケイ役のレア・サロンガさんとおじいちゃん役のジョージ・タケイさん。本国版はサミーよりもおじいちゃんのほうにスポットライトが当てられがちな様子ですが、日本公演はケイとサミーの兄弟が大体的に宣伝されています。イケメンパワー?

 

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