小西遼生 ポーの一族 観劇レポ

【感想】2021『ポーの一族』ぶっ飛んでいるようで意外と地に足がついた作品

2021年2月6日

 

いろんな方が若干映り込んでてすみません…

 

ついに観ました『ポーの一族』!今年最も楽しみにしていた公演の一つです。結論から先に書いてしまいますが、いや~~よかった!いいもん見たー!という気分です。これは絶対オススメできる作品です。

じっくり感想を書いていきます。ただし、全キャストベタ褒めというわけではないのでマイナスな感想が見たくない方はブラウザバック推奨です。

 

今回パンフレットはぜひ買うべし!

表紙は英語タイトル。一族は"clan"を使っているようです

 

作品の感想の前に一つだけ。今回の公演はパンフレットの出来が素晴らしいです。ぜひ買ってください。これで2,000円はかなりお得だと思います。

パンフレットの隅から隅までポーワールドが炸裂した美とこだわりで溢れています。印刷したての紙の匂いしかしないはずですが、なぜか薔薇の香りがフワッとただよいそう。

人気のあるアニメやら映画にはビジュアルブックなるものが販売されることがありますが、今回のパンフレットはまさにそんな感じ。作品への愛と思い入れが詰め込まれた一冊です。

 

あともう一つ。アンサンブル含めた全キャストの画像が超盛れてます。

ミュージカルの中には「なんでこんな撮り方したんだ…?」と思わず眉をしかめてしまうような微妙な仕上がりのパンフレット極稀にありますが、今回は本当に全員美しいです!

美しく映っているのに加工しまくっているような印象も受けないんですよね。とにかく買いの一冊です。

 

裏側のほうに日本語タイトル

 

作品の感想

①ストーリーが純粋に面白い

美しい世界観そのものを楽しむような雰囲気系の作品なんだろうなと予想していましたが、ストーリーが想像していたよりも面白かったです。かつテンポもかなり早めなので最初から最後まで飽きずに楽しめる演目でした。

詩的な世界観なので一見すると小難しい作品のように見えますが、やはりそこはさすが大ヒット少女漫画です。面白いだけでなく設定も状況もとにかく全てがわかりやすい。誰でもとっつきやすい漫画的な要素がしっかり残されているところが好きですね。

100%女性向けの演目だと思っていましたが、男性が見ても面白いはずですよ。意外と体育会系の作品という印象です。

 

②衣装と舞台セットが豪華すぎる

大型ミュージカルになると"豪華絢爛な衣装の数々"を宣伝文句にしている作品が多いのですが、よーく見ると意外と布がペラペラでちゃっちかったり。

ですが今回は嘘偽りなく本当に豪華です。豪華なだけではなくデザインがとにかく素敵。キラキラな少女漫画原作のわりにカラーリングが渋めなところもお気に入りポイントの一つです。

漫画原作モノの場合はどうしてもコスプレチックになってしまう演目が多いのですが、ポーは衣装・メイク・カツラ全てにおいてバランス感覚が素晴らしいです。役者さんの生身の人間の魅力と2次元キャラクターの個性がどちらも活きています。

まず最初にこの豪華さを体感するのは第一幕序盤で一族がズラーッと勢ぞろいするオープニング。この時点でコロナの中でも観に来てよかった~!とグッときました。ちなみに完全な余談ですけど、一族の館ってマリスミゼル感つよすぎないですか?

 

③考察の余地がある

ミュージカルの中ではバンパネラという存在についてあまり多くは語られません。一族のバンパネラたちはいつ生まれ、いつバンパネラとなり、どのようにして何百年も暮らしてきたのか、という背景の説明はありません。(原作にはもう少し詳細な設定が書かれているのかもしれませんが)

あえて謎が多いままであるところがいいですよね。考察の余地がとにかく多い。オタクって考察大好きじゃないですか。

老ハンナとキング・ポーの関係性は?そもそも最初のバンパネラはどうやって誕生したのか?バンパネラであるフランクと人間のシーラは5年間どのような恋愛をしてきたのか?何百年も生きているフランクがたった15歳の少女に惹かれた理由は?人間である愛するシーラをバンパネラにしてしまうことに苦悩したのでは?ポーツネル一家は100年間どこでどうやって生きてきたのか?

などなどなど、とにかく空白の多い作品です。一回観ればお腹一杯かと思っていましたが実は意外とリピートしがいのある作品であること間違いなし。

 

キャストの感想

エドガー役の明日海りおさん。今回初めてお目にかかりました。まず驚いたのが声量です。こんなに安定感のあるずっしりした歌唱だったんですね。

そして、なんといってもビジュアルが素晴らしいですよね。どのシーンをどの角度から切り取られても美しく映るように計算されつくしている印象を受けました。生まれ持った才能だけでここまで上り詰めたというよりも、研究に研究を重ねた職人系の役者さんなのかなと。

明日海さんのエドガーももちろん素晴らしかったのですが、エドガーは少年の役なので本当の男性が演じているバージョンもいつか見てみたい。

 

アラン役の千葉雄大さん。今回ミュージカル初挑戦とのことです。役と作品を自分なりにしっかり嚙み砕いて解釈され、心を込めて挑んでいる印象を受けました。なんですが、正直な感想としては歌唱も芝居も佇まいも何もかも物足りなかった・・・

アラン役さえミュージカル経験の多い役者さんだったらなぁと観劇中に何度も思ってしまいました。ファンの方には申し訳ないのですが、もし再演するなら大型ミュージカル経験の豊富な役者さん演じてもらいたいです。

 

小西遼生&夢咲ねねさんの男爵夫妻。このお二人良かった。いや~、美しかった。筆者のお気に入りキャラクターになりました。もう後半はエドガーとアランをすっぽかしてずっとこの二人を目で追ってました。ビジュアル・設定・関係性、全てにおいてグッとくる!!

ただでさえスタイルの良い人ばかりのミュージカル界の中でも際立ったスタイルのお二人なので、並んで佇んでいるだけで人ならざるものであることが一発でわかる頭身と妖艶さ。漫画から飛び出してきたみたいという言葉はまさにこの二人のためにあるように思います。

小西さんと夢咲さんはこれまで何本も出演作を観てきましたが、二人とも今回の役が今までで断トツで好きかも。

具体的にどこのシーンだったか忘れてしまったのですが、エドガーが部屋に乱入してくる直前にほんの数秒だけ微笑みあいながら談笑しているシーンがありました。ここもっと見せてほしかった~!

作中では基本的にキレ散らかしてばかりの短気な夫フランクでしたが、シーラのことだけは心から大切に想いながら日々を丁寧に過ごしているんだなとわかるシーンですよね。

ちなみにですが、ジャンとジェインの披露宴パーティーでジャンを誘惑するシーラの横っちょで、ブラヴァツキーとたどたどしいダンスを踊っているフランクがお気に入りです。

フランク本人は「俺はクールで冷酷なバンパネラだ」と思ってそうですが、意外とおっちょこちょいでどんくさい一面があるんじゃないかなと。シーラはそういうギャップにやられたんじゃないでしょうか。と、勝手に妄想しています。

 

続いてメリーベル役の咲愛里さん。宝塚歌劇団退団後、初の舞台出演だそうです。初めてお目にかかりました。

一見すると重力を感じさせないような少女ならではの軽やかさがある一方で、あの細い足首に錆びた重い足枷でも繋がれているような仄暗もあるんですよね。

ふとした瞬間に、キラキラした瞳の奥に何か濁ったものを感じさせるお芝居です。可憐であると同時にどこか老いた雰囲気がある。少女であるにも関わらず悠久の時を過ごす存在であることがわかる哀しさがビシビシ伝わってくる役作りだと思います。

 

老ハンナ役の涼風真世さん。相変わらずとてつもない存在感でした。作品のスパイスであり、酸味であり、ほんの少しの毒っけもある。もっと老ハンナのシーンをたくさん見たかった。前半で退場なんて勿体なさすぎる役どころですよ。

ちょっと脱線。涼風さんが老ハンナと降霊術者ブラヴァツキーの一人二役ということは「なるほど、降霊術で老ハンナが降りてくるのか。上手い演出だな!」と推測していました。

筆者同様、おそらく多くの観客が同じ予想をしていたと思います。老ハンナが来るぞ…来るぞ…って来ないんかーい!誰やねん!とガクッとしたのは私だけではないはず。

 

キング・ポー役の福井晶一さん。この手の役は山口祐一郎さんがやっている印象が強かったのでなんだか新鮮でした。

キングだから手ごわいのかなと思いきや意外とあっさり退場。バンパネラって永遠に生きながらえるというだけで、肉体的に強靭なわけではないようです。それにしてもバンパネラたち、人間風情にあっさり倒されすぎでは・・・笑

福井さんのキャリアとキングの存在感のわりに出番少な目でちょっと残念。キングと老ハンナの老老コンビのデュエットソングとかあればいいのになあ。

 

アンサンブルに関しても少しだけ。今回出演していた中で好きなアンサンブルさんは丸山泰右さんと美麗みれいさん。

丸山さんは今回はアンサンブルとプリンシパルの中間みたいな役どころでした。ストーリーテラーとしての役割もあり、かつバンパネラ一家を追い詰める重要な役どころでもあります。

丸山さんは様々な役に魂を込めて丁寧に演じられるところがとても好きなのです!今回はいつもより大きめの役に抜擢されていて嬉しかったなあ。

もう一人は女性アンサンブルの美麗さん。この方、ミュージカル界の女性キャストの中でもだいぶ飛びぬけたルックスですよね?ポーのような麗しい作品には絶対にいてほしい女優さん。今回も相変わらずきれいでした。

 

まとめ

東京公演は国際フォーラム。コロナ禍でのチケット完売すごい

 

一見するとぶっ飛んだ作品に見えて、意外と地に足がついているところがミュージカル『ポーの一族』の良さなのかもしれません。

考察の余地と空白の多さが魅力の一つと書きましたが、この作品のすごいところはそうでありながらも説明不足で訳の分からない印象は一切ないところです。分かり易さと奥深さが両立した面白さがあります。

それにしても面白かった!観てよかったです。楽しかった~。

 

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