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【エリザベート2019感想】三浦・京本・木村 3人のルドルフ徹底比較

2019年7月17日

 

 

ミュージカル『エリザベート』2019年公演も中盤に差し掛かってきました。

皇太子ルドルフ役は他のメインキャストと比較すると登場時間・セリフ・歌唱は少なめです。

が、毎回ミュージカル界の新星が現れることもあり、出番のわりにはかなり注目度の高い役。そして、ルックスが端整であることもルドルフ役の条件ですね。もはや歌唱力より優先されてる気がする。

 

2019年公演は三浦涼介・京本大我・木村達成の3名です。そして、三者三様によかった。同じ役とはいえ、それぞれ役作りや受け取る印象が大きく違ったので比較してみました。

 

 



 

三浦涼介

 

ざっくり紹介

■生年月日:1987年2月16日(32歳)
■所属:フリー
■エリザベート出演歴:2019年
■2019年公演出演回数:40回

ルドルフ役といえば20代前半の役者が登壇することが多いです。

史実のルドルフが自害したのは30歳の時なので、もう十分に大人ですが、ミュージカルにおいてはまだほんの少しだけあどけなさの残る青年が演じることが多いです。

そのため、三浦さんの32歳でのルドルフはかなり異例と言えます。

 

最年長ルドルフ、だがそれがいい

2019年公演では京本さん24歳、木村さん25歳なので三浦さんは一回り上の最年長キャストとなります。

 

三浦さんのことは他の作品でも何度も見てるし、いい役者さんだと思いますが、ルドルフのキャスト発表があったときに「ちょっと年齢高すぎない?」というのが正直な第一印象でした。

しかし、観たあとに強く実感しました。年齢は確かに高め。だが、それがいい!

 

史実のルドルフが自害した年齢と近いというのもリアリティがあってもちろんいいんですが、それ以上にルドルフ役の見た目が完全に大人であることの良さに気づいてしまった。

というのも、ルドルフ役ってちょっとアダルトチルドレンの要素がある役だと思っています。

 

補足

アダルトチルドレン・・・幼少期に家族や周囲の人物との関係性に問題があり、大人になってからも人間関係に課題や苦悩を抱えている人のこと

 

幼少期はほとんど母であるエリザベートとは触れ合えず、鞭をかまえた鬼教官ゾフィーに体罰まがいの軍人教育を詰め込まれて。

やっと大人になったのに母は年中旅行に出かけてしまっており、親子のコミュニケーションはほぼゼロ。

幼少期のルドルフ(子役)は何度もママ、ママとまるで迷子のように闇に向かって呼びかけ続けますが、大人になったルドルフも幼少期と全く変わらず、ずっとママを求めている。

 

これまでのどこかあどけなさの残るルックスのルドルフと比較して三浦さんはどこからどう見ても100%完全に成人であることが、余計に悲壮感を醸し出してる。

身体だけ立派になっても心はママを求める少年のまま何も変わっていないことが、三浦ルドルフは芝居や歌唱だけでなくビジュアルから視覚的に直接訴えかけてくるんですよね。

たぶん、三浦ルドルフが観ていて最も辛かった。

 

TVのドキュメンタリーなんかで心が大人になりきれていない大人を見ると、同情心とも哀れみとも分類できないなんともいえない落ち着かない気持ちになるじゃないですか。まさにあんな感じ。

これは今までのルドルフにはなかった要素なんじゃないかなと思います。まさに三浦さんの専売特許。

 

「母」ではなく「ママ」を求め続けるルドルフ。

 

京本大我

 

ざっくり紹介

■生年月日:1994年12月3日(24歳)
■所属:ジャニーズ事務所
■エリザベート出演歴:2015、2016、2019
■2019年公演出演回数:全28回

 

トートへの心酔っぷりがエグい

トート、すなわち死に最も魅せられてしまったルドルフ!まさに心酔という印象です。

 

こめかみに銃をあてて自害するとき、本当にほんの一瞬ですがめちゃくちゃウットリした恍惚な表情するんですよ。筆者はこれが堪りません。

京本ルドルフからはバッハ作曲の『来たれ、汝甘き死の時よ』を連想します。特にこの歌詞の部分ぴったし。

 

その(死という)獅子の口から

わたしの別れを甘美なものにしてください

引き留めないでください

最期の光よ (『来たれ、汝甘き死の時よ』)

 

まさに死(トート)に魅せられ、死を愛してしまったルドルフ。

心置きなく会話できる友人もおそらくいなかった(というか作らせてもらえなかった)幼少期のルドルフは常にひとりぼっちでしたが、ある日突然トートが現れます。

それが"死"なんてものだったとは想像もしないうちに「友達だよ、呼べばいつでも側にいてあげる」と、優しく接されるルドルフ。

 

自害のときの恍惚っぷりを見てると、トートからのコミュニケーションに対して少なからず愛情みたいなものを感じ取っているような印象を受けます。

母エリザベートも最終的にトートを愛するわけですから、血の繋がった息子であるルドルフもトートを愛してしまうことはある意味自然といえば自然。

 

トートの手の上で転がされてまるで魂を吸い取られたかのようにルドルフは自害しますが、京本ルドルフの場合むしろ自分からトートの腕に勢いよく飛び込んでいきそうな雰囲気すらします。

自害以外のシーンでもトートを見つめる瞳は澄んでいてまっすぐなんだけど、どこか熱が篭っていて。

 

エリザベートとの血の繋がりを最も感じるルドルフでもあり、最も美しいルドルフだと筆者は思っています。

 

京本さんはジャニーズ事務所所属なのでCD・DVD化のキャストには絶対に選ばれないのが残念すぎる。というか、東宝さんがYouTubeにアップしてるカーテンコール映像ですら一切入ってないからね・・・

(まるで某闇営業芸人のような編集)

 

青年から大人になる狭間にだけ醸し出すあの独特の美しさを見るためには劇場に足を運ぶしかありません。しかも他のルドルフと比較して10回近く公演日が少ないなんて。

キャストスケジュールも僕を見捨てるんだね・・・

 

ちなみに京本さんはSixTONES(ストーンズ)というジャニーズグループに所属しています。

街中のいたる所にポスターや広告が掲載されている人気グループなので、見かけるたびに「あ、殿下・・・」ってなりますね。

 



 

木村達成

 

ざっくり紹介

■生年月日:1993年12月8日(25歳)
■所属:UTY
■エリザベート出演歴:2019年
■2019年公演出演回数:40回

 

父への反逆としての死

ルドルフって久しぶりに会った母であるエリザベートから「あなたの想いはわからない」と冷たく突き放されたことが自害の決定打となったのだと思っています。

がしかし、これはあくまでもミュージカルの演出であって、史実では父であるオーストリア皇帝フランツとの埋められない確執や持病の悪化など様々な理由が原因だと推測されています。

 

木村さんのルドルフは京本さん・三浦さんと比較して、革命意識がかなり高い印象を受けました。絶対に自分が世界を変えてやるという本気度が最も高いというか。

 

そのため、木村ルドルフの自害の理由は、母エリザベートへの深い落胆ではなく父フランツへの反逆という印象が強かったです。

逆に、三浦さんのルドルフは革命意識は低めのかわりにママへの想いが圧倒的に濃く、自害の理由もたぶん100%ママが起因。京本さんは中間くらいかな?

 

そして、前述したとおり京本ルドルフはまさにシシィの血を引く息子という雰囲気がしますが、木村ルドルフは逆に紛れもなくフランツの息子なんだ、という印象を受けました。

父フランツへの反逆心が最も強く見える一方で、父と息子の切っても切れない繋がりも最も深い。

 

終始対立して溝は埋まらないままルドルフは自害してしまうけれども、対立してようが何だろうが二人が血の繋がった親子である事実は絶対に覆らない現実。

妻と母。シシィに対する角度は違えど彼女を真っ直ぐに想うひたむきさや、国民の未来を何よりも優先する君主としての自覚。どこをとってもフランツそっくり。うーん、余計に残酷!

 

京本さん・三浦さん含めて、『エリザベート』におけるルドルフのパートって母と息子の物語だと今まで思ってました。

しかし、木村さんのルドルフパートはどうも父と息子の物語として映ります。

 

新たなルドルフ像?

これまでのルドルフを見ていると、仮に彼が両親に愛されて育ったとしても帝国を指導する立派な君主に成りえたか?という仮定には筆者は絶対に"NO"

心優しく慈悲のある皇帝になったでしょうが、国を引っ張るリーダーとしてはどうだろうか・・・という印象でした。

 

しかし木村さんのルドルフは、もしかした過去最高の皇帝が生まれたかもしれない、帝国の崩壊を防ぐどころかさらに発展したかもしれない。ということを想像させました。

ルドルフに王としての素質や明るい未来を感じれば感じるほど、帝国の崩壊が虚しいものになる。

何か少し事情が違えば、歯車がほんの数ミリずれていれば、もしかしたら彼が明るい世界をつくったのかもしれない。

 

その願いも叶わずルドルフは失意のまま自殺。なんとも陽から陰への緩急が激しい。最終的には闇に落ちてしまったけど、陽のオーラを放っているルドルフ像。

これは新しい。そしてすごく好きです。

 

歌唱?芝居?そんなもん後からでいい

『エリザベート』という作品の魅力は?と聞かれたときに、多くのキャストや関係者は「美しさである」と答えています。

 

歌唱や芝居は稽古・公演で日々磨いていけばよし。完璧な実力が満ちるまで待つよりも、役者が持っているその年齢特有の美しさを惜しまず遺憾なく発揮するほうがよっぽど重要!

・・・なんて、はっきりとは名言されていませんが、ルドルフ役の選定にはこんな思想が色濃くでていると常々思う。

 

なんとなくですが、ルドルフ役には歌唱力や演技力そのものというよりは、役者に生まれ持って備わっている美しさや儚さ、つまりルドルフ力にいかに成長の余地があるか!ということが重要なのかもしれません。

 

もちろん、今回の3人だって帝国劇場の舞台に立つ十分な実力はあると思います。

しかし、登場時間も短くセリフも少ないルドルフには、役者としてのスキル以上の違うなにかを求められている気がしてなりません。

 


 

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