ニュージーズ(Newsies) 京本大我

ミュージカル『ニュージーズ』キャストの見どころ・設定・時代背景を徹底解説!原作映画で予習してみよう

 

2020年5月、日生劇場にて日本初演!

 

2020年5月に日生劇場にて上演予定のミュージカル『ニュージーズ』

飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中の京本大河さん主演ということでチケットが秒で完売しましたね。筆者はなんとかチケットを確保できたので、観劇の予習もかねて原作のディズニー映画を観てみました。

 

少し子供向けかな?と予想していましたが、思ったより面白かった!

 

本記事では、ミュージカル化に向けた各キャストの見どころ予想と期待をまとめています。

 

HARI
まずはざっくりあらすじから!

 

あらすじ

舞台は1899年ニューヨーク。実際に起きた新聞売りの少年たちによるストライキを題材とした物語です。映画の冒頭は”THIS STORY IS BASED ON ACTUAL EVENTS”という文字から始まります。

 

主人公のジャック(京本大河)は感化院から脱走した孤児の新聞売り。物語は、新聞売りの少年たち=ニュージーズが寄宿舎で仕事の準備を始めるシーンから始まります。一日の稼ぎは雀の涙。自立した暮らしなど夢のまた夢の金額。それでも少年たちは仲間たちと共に毎日を生き生きと暮らしています。

しかし新聞社は売上拡大のため値上げを検討しだします。しかし値上げの対象は新聞自体の価格ではなく、新聞売りの少年たちへの”卸値”でした。つまり少年たちの稼ぎが減るということ。

新聞社の値上げに対してジャックはストライキを起こそうと、少年たちのリーダーとして先導します。しかし権力者たちからの抑圧の対象になってしまい・・・

 

補足

※感化院とは通常は”不良少年の更生施設”という意味ですが、本作ではJailと表現されている通り少年院さながらの厳しい環境として描かれています。

 

1908年の新聞売りの少年(引用元:Wiki

 

題材自体は実際に勃発したストライキなのでシリアスなテーマ性ですが、基本的に最初から最後までディズニー映画らしい軽快さと明るさのあるテイストになっています。

例えば、新聞売りの少年たちが大人たちと大乱闘するシーンがありますが、少年らしい武器やギミックを利用したポップな倒し方です。当然、流血などの表現はありません。

 

 

登場人物たちの設定と人物像

ジャック(京本大河)

● 新聞売りの少年=ニュージーズのリーダー
● 無骨でパワフルな青年
● 行動力とカリスマ性で仲間を先導
● ニューメキシコ州サンタフェで暮らす夢を持つ

 

本作の主人公で、新聞売りの少年たちのリーダー的存在。17歳という設定ですが、映画では少年たちの中では身長も顔つきもかなり大人っぽい雰囲気。映画版で演じているのは当時18歳のクリスチャン・ベールです。

ニヒルで挑発的である一方、仲間たちからの信頼は厚い無骨なリーダーという立ち位置。民衆を先導する熱い革命家のような存在です。そのため、柔和でノーブルな印象のある京本さんとは真逆の役なのでは!?と思います。どのようなお芝居のアプローチをするのか期待大です。

 

役としての人物像は「まさに京本大河ハマり役!」という印象はないですが、若きカリスマという意味ではしっくりきます。

映画でのクリスチャン・ベール演じるジャック、無骨さと美しさが両立しているだけでなく少年たちが彼に憧れて追随するタレント性みたいなものが圧倒的に強いんですよね。

そのため、青少年たちの憧れの対象=スーパーアイドルという意味では京本さんぴったりだなと。ただの主人公ではなく、大衆が関心を寄せるようなカリスマ性のある人物でないと成り立たない役なんですよね。

 

歌唱としては、少年たちのリーダーとして先導する陽気でダンサブルな楽曲が多めですが、誰にも明かさなかった彼の心中を吐露する”Santa Fe”というナンバーが見せ場の一つです。

映画では、誰もが寝静まった夜中の街を一人踊りながら自分の孤独と未来に思いをはせる印象的なナンバーです。俺はいつか金を貯めてニューメキシコ州のサンタフェへ行くぞ!と力強く決意します。舞台ではどのように再現されるのか早く観たい!

 

 

デイヴィ(加藤清史郎)

● ジャックの相棒で、レスとキャサリンの兄弟
● 「歩く口」と呼ばれる頭脳の持ち主
● 他の新聞売りの少年とは少し違う生い立ち

 

京本さん演じる主人公ジャックの相棒ポジションの青年です。家族を持たない他の新聞売りの少年たちとは違い、デイヴィは両親・弟・姉と共に暮らしているため、新聞売りの少年たちたと異なる生活環境にあります。

ジャックが行動力担当ならデイヴィは頭脳担当。民衆を動かすための効果的なストライキ声明をデイヴィが考え出しジャックが叫ぶ、というナイスな役割分担。

 

しかし、新聞を売りさばくためなら平気で嘘をつくジャックに対して出会った当初は嫌悪感を示します。次第に行動的でカリスマ性のあるジャックを信頼するようになり、ストライキを先導するツートップとして君臨するようになります。

 

登場時点では他の新聞売りの少年たちよりも潔癖で真面目なデイヴィですが、ジャックと相棒のように過ごしているうちにだんだんワイルドで好戦的になっていくんですよね。そこの微妙な変化が見どころかなと!

付き合う仲間によって態度や考え方が変わってしまうことって青少年あるあるですよね。直接的な表現はありませんが、物堅かったデイヴィの目つきや立ち方が次第にジャックらしく無骨になっていくさまがなんとも愛らしいというか。

 

 

クラッチー(松岡広大)

● 新聞売りの少年のひとり
● 足が悪く松葉杖をついている
● 少しおとぼけたマイペースな性格

 

松葉杖をついている新聞売りの少年。ジャックの仕事仲間であり、友人の一人です。ちょっとおとぼけた愛嬌のある人物ですが、ここぞというときに物語を動かす人物でもあります。

ストライキの最中に足が上手く動かないがゆえに逃げ遅れてしまいます。ストライキを働く不良少年として過去にジャックが収容されていた感化院送りになってしまい・・・

 

映画ではそこまで登場シーンの多い役ではありませんが、今回のミュージカル化ではジャック、デイヴィに続いた並び順になっているんですよね。なぜだろう?

 

 

キャサリン(咲妃みゆ)

● デイヴィとレスの姉
● ジャックと相思相愛に
● 清楚な見た目に反して勇敢な一面も

 

デイヴィの姉であり、ジャックと恋仲(?)になるキャサリン。正確な年齢は明かされませんが、仕事に行く準備をするシーンがあるのでおそらく成人済みでしょう。清楚な見た目に反して勇敢な女性です。

ただし映画ではかなりのハリボテヒロン。ラストシーン付近を除けば、終始身近な綺麗なお姉さんポジションです。ミュージカル化では咲妃みゆさんが演じるということで、活躍するシーンはおそらく映画版よりかなり増えるはずです。

 

 

レス(子役)

● デイヴィとキャサリンの弟
● 可愛らしい天使のような存在
● 子供ながらにジャックに厚い信頼を寄せる

 

デイヴィとキャサリンの弟。レス・デイヴィ・キャサリンはレスを末っ子とした三兄弟です。

兄であるデイヴィと共にわずか10歳ながら新聞売りとして働くことになりますが、兄貴分のような存在であるジャックに新聞を売るための悪知恵をねじ込まれます。

例えば、「年齢を聞かれたら7歳と言え。ガキのほうが売れやすいから」なんて”腕”を吹き込みます。

 

自分より年齢が上の男たちに交じって活躍する子供といえば『レ・ミゼラブル』のガブローシュを思い浮かべる人が多いかと思いますが、まさにガブローシュポジション。ガブほど小生意気ではありませんが、ここぞというときに行動力を発揮する愛らしいレスくん。

 

 

メッダ(霧矢大夢)

● 少年たちを支援する劇場のスター歌手
● セクシーである一方で面倒見の良さを発揮
● 本作で唯一(?)煌びやかな衣装とメイク

 

ヴォードヴィルという劇場のスター歌手の女性。ド派手でセクシーな容姿ですが、ジャックたちを精神的にサポートする肝の据わった姉御肌。物語に大きくかかわってくるわけではありませんが、ミュージカルらしいダンサブルで華麗なシーンがあります。

映画を観ていて「これは絶対霧矢さんでしょ!」と納得してしまうほどのハマり具合です。もうめちゃくちゃ最高にぴったりの役ですね。

 

 

ピューリツァー(松平健)

● 少年たちが売る新聞の新聞社オーナー
● 典型的な金儲け主義の資本家として描かれる
● ストライキで打倒の対象となる悪の親玉ポジション

 

ジャック率いる新聞売りの少年たちが毎日売る新聞の大本である新聞社のオーナー。実在の人物ですが、本作ではある意味悪の親玉のような描かれ方をされています。彼が自社の新聞の卸値を上げたことからストライキが始まります。

権力者vs.少年たちという対立構造で描かれる本作ですが、その権力者代表がこのピューリツァーという男。まさに首領ドンという雰囲気は松平健さんぴったり。

 

良くも悪くも混沌としたアメリカを支配するプロトタイプな資本家ですが、物語上の単なる悪役ではなく、当時のアメリカの影の部分を感じさせるような強大な存在でなければいけない役です。

そういった意味では、松平さんのような大御所俳優が配置されたことで、作品として重みと説得力がより一層深みを増したはず。

 

ちなみに、かの有名なピューリツァー賞はこの人の名前が元ネタです。

 

 

スポット(未発表)

● ブルックリン地区の新聞売りのリーダー
● ジャックと協力し、ストライキに参加する
● 幼いながらにニヒルでクールな少年

 

ジャックやデイヴィとは違う地区で働く新聞売りの少年。ブルックリン地区の新聞売り少年のリーダー的存在。

このスポットという少年、映画版ではかなり幼い見た目なのですが、サソリのような鋭い目つきと大人顔負けのニヒルな表情を浮かべる印象的な人物です。登場時間自体はそこまで多くないので、ミュージカル化ではどのような扱いになるのか・・・?

かつ、キャストも未発表です。並び順的には石川新太さんかな?映画ではめちゃくちゃ味のあるクールな少年なので舞台でも再現してほしいところ。

 

映画版を観た人ならわかると思いますが、スポットって本作のニュージーズの中で断トツでカッコいい存在ですよね。

 

 

デントン(未発表)

● 新聞売りの少年たちの良き味方
● 穏やかで温和な新聞記者
● 物語を陰から動かすキーマン

 

新聞記者ですが、ストライキを起こす新聞売りの少年たちの味方として暗躍する役どころ。派手で目立ったシーンこそありませんが、この人なしではストライキは絶対に成功しませんでした。個人的にはこの物語の最重要キーマンだと思っています。

映画版では筆者が最も気に入った役です。デントンさんカッコいい。決して無茶をせず、大人としての良識やルールの範囲内で少年たちを陰ながらサポートする姿が素敵なんですよね。

 

キャストは未発表ですが、並び順的には松澤重雄さんかな?

 

 

事前に知っておきたい用語と設定

①感化院(かんかいん)

感化院とは、もともとは不良少年や孤児を引き取って真っ当に生きていけるように更生する施設ですが、本作では少年院さながらの場所として登場します。本作ではスナイダーという男が所長ですが、政府に隠れて少年たちに虐待を行っています。

ここから逃げ出してきたのが主人公のジャック。スナイダーはストライキのリーダーが感化院の脱走者であるということを知っていることから、物語は大きく動いていくわけです!

 

 

②夢の街・サンタフェ

ニューヨークで新聞売りとして生活するジャックにはサンタフェで暮らすという夢があります。で、サンタフェってどこでしょう?宮沢りえのイメージしかないでしょうか。

 

赤い矢印がサンタフェ

 

赤い矢印がある場所がニューメキシコ州サンタフェです。ジャックが住んでいるニューヨークはアメリカの右端。めちゃくちゃ遠いぞ!

 

サンタフェはジャックにとって「いつかたどり着く夢の街」「ここではないどこか」として描かれます。つまり、ジャックにとっては「ニューヨークから出ていつかサンタフェに旅立つぞ」と心に誓うことそのものに意味があるわけです。

この夢が彼のモチベーションであり生きる活力なのです。

 

 

③セオドア・ルーズベルト

セオドア=ルーズベルト(第26代大統領)

 

ルーズベルトってあの大統領のルーズベルト?そうですその通り!

ですが、大統領就任前のニューヨーク州知事時代のルーズベルトとして登場します。この物語は1899年ですが、大統領としての任期は1901年から1909年。つまり、ルーズベルト大統領時代の直前ということですね。

彼は新聞を駆使した政策を打ち出しています。つまり、新聞が持つ力と威力を熟知した人物ということ。

 

具体的な活躍についてはネタバレになるので伏せますね!

 

 

ミュージカル化の歴史

 

もともとは1992年の映画版が原作ですが、この原作は興行的にはだいぶコケたみたいです。たしかに面白いし見やすいんだけど、映画として名作かと言われるとちょっと微妙なところかもしれません。

しかし、2011年のミュージカル化によって息を吹き返します。約20年の時を経て形を変えて蘇るってまさにミュージカルマジックですよね。2012年にはブロードウェイで上演され、2014年には全英ツアーが大成功を収めました。

 

そして今回2020年、ついに東宝/TBSミュージカルとして日本初初演です。

ディズニー作品のミュージカル化といえば劇団四季が独占しているイメージだったのですが、最近は梅芸の『アナスタシア』だったり東宝の『ニュージーズ』だったり、群雄割拠の時代がやってきたのかもしれませんね。

 

 

今回のミュージカル化の注目ポイント

キャストは男だらけの男祭り

映画版もミュージカルも、とにかく男臭い作品です。キャスト全40人中、女性キャストはなんと5人。

というのもやはり、大量の新聞売りの少年たちと権力者たちの戦いを主題としているので、どうしても男vs男の世界になってしまうんですよね。そのため、ミュージカルらしい華やかなものを期待していくとちょっと拍子抜けするかも。

 

とはいえ、女性が少ないからこそプリンシパルの咲妃みゆさん・霧矢大夢さんの女性らしさが際立つ作品だと思います。

咲妃さん演じる清楚で明るいキャサリンと、霧矢さん演じるセクシーでたくましいメッダ。対照的とはいえ、根底にある女性としての強さには共通した魅力があります。

男だからのキャストだからといって女性性が隔離されるわけでは決してなく、女性らしさもしっかりと発揮されるのではと予想しています。

 

 

ディズニー×小池修一郎

今作で演出と訳詞を手掛けるのは東宝ミュージカル・宝塚の世界でおなじみの小池修一郎さん。

個人的な見解ですが、小池さんのミュージカルといえば『エリザベート』『マリー・アントワネット』『1789』など、民衆が反旗を翻す革命シーンが多いですよね。

それらは血塗られたエグい革命として描かれています。一方、今回の『ニュージーズ』のストライキは革命といえば革命ですが、あくまでディズニーらしい軽快なテイストで表現されています。

 

エグさの中にも耽美さやファンタジーさがある小池さんの演出が、どこまでディズニーらしさと結び合わさるのだろう?ミュージカルファンの筆者的には今回最も気になるポイントかもしれません。

 

ちなみに今作は小池さんの意向によって、新聞売りの少年たちのキャストを高校生から25歳までに限定しています。

ミュージカルの世界では役者の実年齢より大幅に年下の役を演じることなんてザラにありますが、今作では本物の若者が若者を演じるわけですね。リアリティ溢れるフレッシュさとエネルギーを重視したつくりになっているのでしょう!

 

 

京本大主演のグランドミュージカル

一方、世間的に最も注目を集めているのは京本大河さん主演であるというポイントでしょうか。

筆者的には今後、京本さんがミュージカル俳優としての活動を広げていくのかが密かに気になっています。それとも、アイドル活動と二足の草鞋を履くのだろうか。おそらく堂本光一さんや坂本昌行さんのように上手に両立していく道を選ぶのだと予想します。

 

しかし、ミュージカルファンとしてはやはりミュージカル界で活躍してほしい!彼にはとにかく華があると思うのです。アイドルとしての彼を応援したいファンの方はどう思っているんでしょうかね?気になるところです。

 

 

【補足】CD&DVDも潤沢

今回予習用に購入しました

 

created by Rinker
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

今回筆者が見た原作映画はこちら。動画配信サービスのラインナップにないので現物で購入しました。全2時間でダンスと歌のパートが多いので、さっくりと観ることができます。5月のミュージカル化の予習にオススメ。

 

ブロードウェイ版の音源です。予習というよりは、公演後に公式から日本版のCDが発表されなかったら購入、というほうがいいかもしれません。

ディズニー作品なので音源化の是非は微妙なところですが、発売すればキャストのファンが購入するので大量に売れるはずです。だから東宝さんは何がなんでも音源化できるように奔走すると思うんですよね。

 

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