中川晃教 山口祐一郎 観劇レポ

【感想】山口祐一郎トークショー『My Story-素敵な仲間たち-』ゲスト:中川晃教

 

帝劇でまさかの祐さんトークショー開催

 

山口祐一郎による初!本格トークショー

2日間だけのスペシャル公演

 

日本のミュージカル界の重鎮中の重鎮である山口祐一郎さんがホストとなる初の本格的トークショーが開催されました。山口さんにとってはコロナ後初の帝劇の舞台となります。

本来であれば2020年6月に上演予定であった『ヘアスプレー』がコロナの影響で全公演中止となってしまい、次に祐さんを観れるのはいつになるのやら、と考えていた矢先に発表された本トークショー。

もちろん嬉しさと同時に「え!?祐さんトークショーとかやるの!?」という驚きもありました。しかもMC不在という不思議っぷり。

 

ただでさえカオスな香りの漂う本公演。どうせなら最も予測不能な回を観ようじゃないか!ということで、筆者は全4公演中で3回目となる中川晃教さんゲスト回(昼公演)に参加してきました。

 

2日間・全4公演

各回のゲスト

①2020年9月17日 昼公演
・浦井健治、保坂知寿

②2020年9月17日 夜公演
・加藤和樹、平方元基

③2020年9月18日 昼公演
・中川晃教 ※今回観劇

④2020年9月18日 夜公演
・中川晃教

 

今回は祐さんにゆかりのある”素敵な仲間たち”こと5人の役者さんがゲストとして登壇し、それぞれ公演の思い出や近況についてトークしていく構成です。

 

①浦井健治さん&保坂知寿さん回

 

②加藤和樹さん&平方元基さん回

 

③中川晃教さん回(昼公演)

 

④中川晃教さん回(夜公演)

 

中川晃教さん回(昼公演)を観劇!

祐さんと中川さんの今後の公演

 

筆者は第3回目となる中川晃教さん回(昼公演)に参加してきました。

この回を選んだ理由としては、冒頭にもチラッと書きましたが最も予測不能な回になりそうだと予想したからです。MC不在の中、帝劇の大ステージにポツンと座る二人だけの世界…ゴクリ…

同じく中川さんゲストの夜公演もありますが、昼公演の流れを汲んだ回になるかな~と思ったので新鮮味の強そうな昼公演を選択。

 

記憶をたどって書いているので、トークの順番や詳細な内容は少し実態と異なる箇所があるかと思います。ご容赦ください。

 

Tシャツジーパンでも祐様オーラ

映画『バックトゥザフューチャー』の壮大なメインテーマ曲をバッグに祐さん登場!

舞台セットを使ったド派手な登場とは裏腹に衣装はピンク色の公演Tシャツにジーンズという超ラフスタイルのギャップ満載。

他の3公演はミュージカル公演の衣装にちなんだ服装や浴衣だったので何の変哲もないラフな格好はちょっと勿体ない気持ちになりましたが、淡いピンクに包まれた普通のお兄さんスタイルの祐さんもそれはそれでレアで良かったです。

 

舞台の上には椅子とテーブルとちょっとした小道具のみ。ここまで殺風景極まりない帝劇を見るのは最初で最後かもしれません。

そんな砂漠のようなステージにTシャツジーパンで立っていてもオーラのある祐さんはさすがです。物理的に大柄ということもありますが、祐さんって舞台上での存在感がとにかく大きいですよね。改めて実感しました。

 

今回公演のメインビジュアルは不思議の国のアリスをイメージしたようなデザインですが、まさにその絵の通り開幕早々に面白おかしい独特雰囲気がただよっています。まさに祐さんワールド。

 

緩さと真剣さの絶妙なバランス

その後、すぐに中川さんも登場。片膝を付いて胸に手を当てるポーズで奈落からせり上がります。

お二人ともどちらかというとボケタイプなので会話の収集がつかなくなるのでは?と思っていましたが、穏やかな空気感の中で次から次へとテンポよくトークが繰り広げられます!この空気感が本当に良かった。

 

祐さんも中川さんもまるでナレーションのようなヒーリングボイスで話しますが、お二人の会話の中に不自然なやいびつさは一切ありません。穏やかな海のさざ波にように途切れることなく、かつゆったりとした上質な時間が流れていきます。

ときには真剣な演劇界の話になったり、ミュージカルに対する哲学的な議論をしたり、はたまたゆる~い思い出トークに花を咲かせてみたり・・・

 

言葉では上手く表現できませんが、お二人がつくりだす空気感は非常に心地よいものでした。当初はもっとシュールで宇宙的な世界観になるかなと予想していましたが、とても地に足のついた空間でしたね。

 

常に気配り上手な祐さん

「アッキーのファンの方が聞けないような質問を僕が代わりにたくさん聞いてみたいと思います」という祐さんの宣言どおり、基本的に祐さんが中川さんに話題や質問を投げかける形式で会話が進んでいきます。

それだけでなく、「さっきの表情、下手しもてのお客様にも見えるようにもう一回やって」とお願いしてみたりと、常に客席にいる中川さんファンの方に気を配っていた姿が印象的でした。

とは言っても、なんやかんやで最終的に祐さんが話題と笑いを強奪するんですよね(笑) なんか既視感あるな…と感じていましたが、これ徹子の部屋スタイルですね。

 

激動の数か月間

トークの始まりはやはりコロナ禍でどう過ごしていたかという話題に。

祐さんは中止になってしまった公演は『ヘアスプレー』のみとのことでしたが、中川さんは全公演中止になった公演もあれば直前に無観客上演の決定した公演もあり、はたまた突発的に上演が決定したコンサートもあり、とにかく激動の数か月間を過ごされていた様子です。

中川さん自体は爽やかに話していましたが、内容自体は相当ハードなものです。うんうん、と耳を傾ける祐さん。

 

コロナ禍によるストレスだけでなく、日々変化するスケジュールに精力的に対応し続けるために必要な体力・精神力は並大抵のものではないはず。

それにも関わらず、ステージ上で観る中川さんはいつもどおり軽やかで上品でした。改めて素晴らしいエンターテイナーだなと!

 

そして、舞台役者ならではのコロナに纏わるエピソードも繰り出しました。とくにPCR検査の唾液の話はなかなかリアリティがありました。

公演ごとに毎回PCR検査マストだそうですが、規定量の唾液を出すのに毎回時間がかかるとお話される祐さんに対して「家から劇場に来るまでの移動時間で既に唾液を口の中に溜めておくんですよ!」と語る中川さん。

帝劇のステージ上での会話とは思えないようなリアル過ぎる会話と謎の唾液マウントに少し笑ってしまいましたが、これもトークショーの醍醐味ですよね。煌びやかで緊張感のある普段のステージでは到底聞けないような裏話です。

 

コロナ禍で変化する上演形式

劇場によってコロナ対策に差異があるという話題に。

コロナ禍での公演再開にあたって、客席のソーシャルディスタンスなど上演にはいくつかのルールが定められています。ただし、幕間なしの一幕ものであることが条件であったり、逆に喚起のために幕間必須であったりと、どうやら会場によって差異がある様子とお話されていました。

 

12月にシアタークリエにて上演予定『オトコ・フタリ』も「当初は幕間ありの2幕ものだったんだけどコロナの影響で急遽1幕ものに変更になっちゃったんだよね~」と少し残念そうな(?)祐さん。

中川さんによると「まだ業界全体のルールが統一されていないのでは?」とのことです。たしかに筆者も最近観劇活動を再開していますが、劇場によって対策加減は結構違うんですよね。

 

トークショーでは言及されていない完全な余談ですが、全演者がフェイスシールドをつけて舞台上で演技している公演もあるんだそうです。

※内田理央さん主演の『星の数ほど星に願いを』という公演です。舞台写真はこちらのリンクから見れます。

 

さらに話はそれますが、今回はぴあでチケットを取ったので電子チケットで入場しました。

 

ぴあの電子チケット

 

コロナ禍では劇場の電子化がさらに進むかもしれませんね。紙チケットの場合は今は来場者が自分でチケットもぎりするので入り口が結構混雑していますが、電子チケットであれば物理的な紙を触る必要がありませんし、チェックも非常にスムーズです。

 

ソーシャルディスタンスvs.ラブシーン

上演中の役者同士もある程度の距離を保つ必要があります。そのため、中川さんの次回公演『ビューティフル』ではソニンさんとのラブシーンの演出がかなり変更するそうです。

そこから派生した話題が面白かった!頭ではソーシャルディスタンスを意識していたとしても、中川さんの「役者としてのスイッチが入って気持ちが盛り上がってしまったら止められないかもしれない」というトークに。

 

ちょっと意外でした。中川さんファンの方には周知の事実なのかもしれませんが、中川さんは役にのめり込んで憑依するようなタイプではないと思っていました。

たしかに『フランケンシュタイン』では婚約者ジュリアに対するスキンシップの仕方や激しさが回によってだいぶ差異がありました。どちらかと言うと計算しながらお芝居するタイプだと思っていたのでちょっと意外な一面です。

 

ミュージカルだけでなく今後の演劇において恋愛モノの扱いが相当難しくなりますよね。恋人同士の役なのに全く近づかないとかちょっと奇妙すぎます。

つい数日前に観劇した『フラッシュダンス』では主人公のアレックスと恋人ニックはガッツリ絡み合っていましたが、そのあたりも劇場や主催によって方針が違うんでしょうかね?

 

実は1回しか共演していない二人

まさに相思相愛なお二人からは想像もできませんが、コンサートを除くとミュージカル作品では『モーツァルト!』でしか共演していないそうです。年齢差はあれど二人とも何年間もミュージカル界を引っ張る存在であるはずなのに、意外や意外。

『モーツァルト!』では敵対する役柄だったので、今後共演の機会があるならば祐さんが中川さんを教え導く関係性の物語でぜひ共演してほしい!

 

親子でもよいし、師匠と弟子でもよいし・・・とにかく、心を通わせるような役柄でのお二人を観たいです。全公演中止になってしまった『チェーザレ』がもし再演するなら、ロドリーゴ役は別所さんと祐さんのダブルでぜひどうですか?

 

それにしても1作品でしか共演していないとは思えないほど仲の良さですよね。ただの仲良しというよりも、もっと人間としての根っこの部分で共鳴しあうものがあるんだろうなぁと思います。

 

祐さん!東宝さん!ありがとう!

祐さんが今回のようなトークショーを開催するのは後にも先にも今回が最初で最後ではないでしょうか。

もちろん度重なる公演中止に対する商業的なリカバリーとしての役割もあるかと予想しますが、コロナ禍で何か自分にできることはないか?と考えての東宝さん&祐さんのご厚意も大きかったのだと思います。

 

祐さんや中川さんのように、ミュージカル界を牽引する存在であるお二人は今後の演劇界ならびに演劇ファンの精神的支柱にもなりえると今回強く実感しました。

いつもと変わりないお二人から生まれる緩さあり真面目ありの軽快なトークにはなんだか安心感がありますよね。

 

とくにコロナ禍で今まで見せたことのない気持ちを吐露したり激しい言葉を綴る役者さんもやはり時々見かけます。

そんな役者さんたちが悪いとは言いませんが、コロナ以前と変わらない姿を見せてくれる役者さんのプロ意識と心意気には心底感服します。

 

今度祐さんと中川さんが揃っている姿を舞台上で観るときは、ぜひぜひ『モーツァルト!』以来2度目のミュージカル共演作品であってほしい!と強く願います。

 

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