ペテン師と詐欺師

福田雄一による『ペテン師と詐欺師』は良作or駄作どちらに転ぶか

2019年6月16日

 

 

2019年9月上演のミュージカル『ペテン師と詐欺師』

本日、プレイガイドにてチケット販売が開始されました。そして、結構な売れ行きです。

前回、みどころと公演情報をまとめた記事を書きました。今回は上演が近づいてきたこともあり、今作に対する本音をちょっと書きたいと思います。

の前に、まずは作品の上演歴史から。

 

原作は1988年公開の映画

ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ』というタイトルで上演されています。英語タイトルはDirty Rotten Scoundrelsなので、だまされてリビエラは邦題のサブタイです。

ちなみに直訳すると、汚い腐れ野郎悪党共みたいな感じ。なので、日本語訳は「悪党」でひとくくりにするとヤクザもの?ギャングもの?とよくわからないので、より詳細にペテン師と詐欺師としたわけですね。

 

1988年公開原作映画

 

詐欺師映画のゴールデンエイジ

詐欺師映画の傑作といえば、1973年公開のスティング(THE STING)が有名。

舞台は1930年代のシカゴで、主人公は復讐に燃える若き詐欺師フッカーと賭博師ゴンドーフ。マフィアに仲間を殺害され、究極の詐欺を企てるふたりの物語。

 

 

この映画、めちゃくちゃ面白いです。そして、面白いだけでなく煙草を吸ったりハットをかぶったり、とにかく仕草のひとつひとつが色気がとてつもない。

”ベテラン詐欺師と若手詐欺師の騙し騙され物語”と聞くと、このスティングを思い出す人が多いんじゃないかなと思います。

このように、1970年代、80年代はタッグものの詐欺師映画の全盛期といっても過言ではないほどなのです。

 

そんな『ペテン師と詐欺師』がブロードウェイミュージカルに

 

2005年にブロードウェイミュージカル化されています。

原作の映画は1988年公開なので、実に17年の時を経てミュージカルに生まれ変わったわけです。

この動画はイギリス公演のOfficialトレイラー映像です。どんな作品なのか大体の雰囲気はこれで掴めるはず。

見ての通り、オシャレでクールな演出と爽快な馬鹿騒ぎ感があり、あんまり深いこと考えずに楽しめるエンターテインメント作品です。

余談ですが、17年も経ってからミュージカル化されたということは、今話題の映画で舞台化まで行かなかった作品でも何年間か寝かせてミュージカルに返り咲く可能性も大いにあるってことですよね。

 



 

日本での舞台化は2006年から

 

日本では加賀丈史さん・市村正親さんのコンビで2006年に舞台化されており、2008年に再演されています。

そして、2008年公演には今やミュージカル女優として日本を代表する一人といっても過言ではないソニンさんも出演しています。

そして、2013年にも石原慎一さん、津田英佑さん、梶雅人さんらによって東京芸術劇場シアターウェストで上演されています。

 

 

ですので、日本公演は今回の石丸幹二さん・山田孝之さんコンビの公演で4回目となるわけです。意外と歴史があるわけですね。

 

で、今回公演に対する本音はというと

今回の公演のキャストを初めてみたとき、、福田雄一ファミリーと石丸幹二による未知との遭遇という印象でした。

 

福田さんといえば、ドラマ『勇者ヨシヒコ』やら映画『銀魂』シリーズだったりと、有名作を手掛ける売れっ子脚本家。とにかくコメディ色が強いことが特徴。

 

そして、出演キャストが「福田組」と呼ばれるように、福田監督作品の超常連キャストがいます。ムロツヨシさんや佐藤二朗さんなんかは20作以上出演しています。

今回『ペテン師と詐欺師』で若手ペテン師役の山田孝之さんは7作出演。

なので、福田監督×山田孝之作品となると、今回の『ペテン師と詐欺師』もなんとなく「あ~、あんな感じになるのかな?」と大体の雰囲気とかノリが想像ついちゃうんですよね。

 

が、しかし!!

 

今回はそこに石丸幹二という福田組の要素のカケラもない生粋のミュージカル俳優がダブル主演のひとりになるわけです。

福田監督はこれまでもミュージカル作品も多く手掛けていますが、ミュージカル界からの主演キャストは柿澤勇人さんだったり浦井健治さんだったりと、まあ福田監督が起用しそうだな~っていう雰囲気がもともとあった役者が多いんですよね。

 

なので今回、福田監督作品っぽい雰囲気が微塵もない石丸さんが出演するのは本当に驚いた。

というか、正直なところ結構不安。

 

あの独特の若者向けのノリ

福田組×石丸幹二。それはまるでエイリアンとの遭遇

 

福田監督の作品を見たことがある人ならわかると思うんだけど、笑いの対象はかなり若めです。

言い方はあまりよくないかもしれないけど、高校生から大学生くらいまでがゲラゲラ笑い転げるような感じ。

レベルが低いって言ってるわけじゃないです。単純に、ターゲット層の問題。

 

一方ミュージカルはというと、ご存じのとおり年齢層はかなり高いです。もちろん作品にもよるけど、だいたいは40代50代の割合がかなり多い。

これまで福田監督が手掛けてきたミュージカルは何本か見に行きましたが、正直なところあまり観客にハマってないなと感じてしまう演出やノリが結構多かった。

 

なので、私自身は福田監督のミュージカルを見るときは、福田監督による作品であるということを強く念頭において見る必要があると思っています。

レミゼとかオペラ座の怪人とか、まさにミュージカルミュージカルした作品を想像していくと金返せと言いたくなるかもしれないので注意した方がいいと思います。

 

逆にコメディ色の強いミュージカルが好きな人にはハマるはず。

そこで今回石丸幹二ですよ。あの石丸幹二。

『スカーレット・ピンパーネル』だったり、コメディチックな作品には多数出演しているけれども、あくまでも本格派王道ミュージカルというカテゴリの中でのコメディ作品。

今回の『ペテン師と詐欺師』はまず原作が超コメディだし、それに加えて”コメディの鬼才”の異名を持つ福田監督によるコメディの追加トッピング。コメディマシマシなのである。

 

、正反対の存在とも言える「福田監督×石丸幹二」を化学反応だなんて表現しているメディアが結構ありますが、化学反応なんてレベルじゃないです。もはや核実験。

 



 

内輪ネタと時事ネタは健在か封印か

福田監督作品の特徴としてもうひとつ。内輪ネタと時事ネタがめちゃくちゃ多い。

 

時事ネタはまぁ、コメディっぽい作品ならよくあることだけど。内輪ネタに関しては福田監督作品以上に激しい作品は見たことないです。

いや、内輪ネタ・時事ネタが多い演劇作品結構あるじゃん?と感じる方もいるかもしれませんが、その多くはオリジナル作品であることが多いと思います。

 

オリジナル作品であれば”原作ファン”というものがいるわけではないので、多少勝手にやっても許されるし面白い。

しかし、福田監督作品は原作ミュージカルがある作品なわけで。当然、原作ファンがいる。

これ以上書くと批判になってしまいそうなのでやめておきます。

 

やっぱり止まらないから続けちゃお。

あと、役者ネタっていうんですかね。その役者の過去の出演作に関するネタも多いんですよね。『ブロードウェイと銃弾』のときは城田優さんが出演していたのでエリザベートネタが入っていました。

 

正直に言うと、観終わったあと1週間も1か月も思い返しては「いい作品だったなぁ」と感じるような作品というよりは、その場その場の瞬間最大風速の笑いを優先しているという印象があります。

 

で、何が言いたいかというと、

石丸さんは内輪ネタや時事ネタとは正反対の位置にいる役者だと思っています。石丸さんも福田作品監督の出演者のひとりとして、「参加」するんでしょうか。

 

良作となるか駄作となるか

もちろんまだ上演前なので観てからじゃないと判断できないし、すべきではない。

重ねて言っておきたいのは、福田監督も石丸さんもともに素晴らしい一流の監督・役者であることには間違いはなく。ただ、あまりにも異色すぎるということだけです。

 

 

いや、もしかしたらものすごい化学反応を起こして最強のコメディ作品になるのかもしれない。

最初、なんだこれ!?と思ったカレーうどんだって食べてみたらめちゃくちゃ美味しかったし。

とにかく、なにがどうであれ必見作品には間違いなし。

 

『ペテン師と詐欺師』出演の山田孝之さん主演の『勇者ヨシヒコ』シリーズ。手っ取り早く福田ワールドを体感できるのはこの作品だと思います!そして面白い。

 

★追記!初日公演観てきました

関連記事:【感想】2019『ペテン師と詐欺師』初日公演 │ 石丸幹二は対福田演出最強の防波堤

 

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