上原理生さんのソロコンサートに行ってきました。
2019年『レ・ミゼラブル』でジャベール役を熱演し、より一層ミュージカル俳優として確固たる存在感を放つ上原さん。
『1789 -バスティーユの恋人たち-』や『レ・ミゼラブル』で何度か拝見していますが、役どころの割に歌唱ナンバーが少ないことが多い。
一度じっくり歌唱を聴いてみたいと思い立ち、ソロコンサートに参加してみました。
前売りは即日完売したそうですが、急遽関係者席を解放したとか。
東京文化会館!
会場は東京文化会館(小ホール)
上野駅の目に前にある立派なホールです。
上原さんは東京藝術大学卒業なので、上野は4年間通いつめた思い入れのある土地だとか。
ちなみに目と鼻のさきで現在ハプスブルク展も開催中です。
関連記事:ミュージカル好きがハプスブルク展に行ってきた!花總まりさん音声ガイドもあるよ
セットリスト
<1幕>
1.You raise me up
2.星は光りぬ ※伊語歌唱
3.Can't Help Falling in Love
4.Love Of My Life
5.Love Me Tonight
6.Love Story
7.愛のメモリー
8.いのちの歌
<2幕>
9.A New Life
10.Ever More
11.Maybe Tomorrow
12.Man of la Mancha
13.抑えがたい欲望
14.ブイ・ドイ
15.星よ
<Encoere>
16.明日へ
※赤字は日本語歌唱
1幕
1幕はオペラ楽曲・映画音楽・歌謡曲と、バラエティパックのような楽曲リスト。
2幕は全編ミュージカルナンバーだったので、1幕は上原さんが歌いたい曲、2幕は観客からの需要が強い曲、という印象でした。
ご本人いわく「愛」で溢れたナンバーとのことで、"Love"がタイトルに付く楽曲だらけ。
とても良い意味で原曲の雰囲気全くなし!(笑
上原流・情熱的かつセクシーな仕上がりになっていました。
とはいえ、やはり筆者的にはミュージカルソングが聴きたい。
ということで、感想は2幕をじっくり書きました。
2幕
ド頭は『ジキル&ハイド』より♪A New Lifeという娼婦のルーシーが後半で歌唱するナンバーです。
本編では濱田めぐみさんや笹本玲奈さんが歌唱していますが、岡幸二郎さんのように男性がカバーすることも多い曲。
岡さんはしっとりと艶やかにカバーされていましたが、上原さんのNew Lifeはエネルギーみなぎる力強いバージョンでした。
次に、エマ・ワトソン主演映画版『美女と野獣』より♪Ever More
ビーストのナンバーですね。上原さんのビースト良い・・・不器用だけど実は誰よりも情が深くて臆病、みたいな役すごい似合いそうですよね。
続いて、『アニー』より♪Maybe と♪Tomorrowのメドレー
アニー!?!?
ミュージカル界のラストサムライことダンディーで渋い上原さんの口から出なさそうな言葉上位に食い込みそうな「アニー」という作品名を発した瞬間、会場が笑いにつつまれるという(笑
ここまでセクシーで艶やかな♪Tomorrowは初めて聴きましたし、たぶん今後もないでしょう。
子役の曲すら自分の歌にしてしまう器用さは、さすがミュージカル俳優というところでしょうか。
次は『ラ・マンチャの男』より♪Man of la Mancha
これは本当に素晴らしかった・・・!スペインの熱砂を感じる情熱的で真っ赤な歌唱!
上原さんの周囲に空高く舞い上がる土ぼこりが見えるような錯覚。歌唱が終わって突然馬がステージ上に登場してそのまま乗馬&走り去っても何も違和感なさそうなほどの完成した世界観でした。
この曲は男女問わず数々のミュージカル俳優によって披露されているので、曲だけは知っている人が多いと思います。
が、やはり松本白鷗さんの『ラ・マンチャの男』を観てからだと思うことがまた違って新鮮でした。
ただ勇ましいだけの楽曲だけでなく、私にはどこかほんの少し人生の侘しさや虚無みたいなものを感じる曲なんです。
上原さんのソロコンとは話が逸れますが、やはり白鷗さんの本編を観たことない人にはぜひ1度でいいから観て欲しい。曲に対する印象が変わるはずです。
そして、歌唱直後の拍手と歓声が凄まじかった。
アニーからここまで一気にグイっと雰囲気を変えていく強引な力強さとたくましさみたいなものもまた上原さんの魅力なのかもしれません。
続きまして、『ダンス・オブ・ヴァンパイア』から♪抑えがたい欲望
これも素晴らしかった!!今回のコンサートで一番好きです。
本編では吸血鬼であるクロロック伯爵が何百年も生きながらえる孤独を絶唱するナンバー。
さては山口伯爵の後釜を狙ってるな!?
いや、それほどの見事な伯爵っぷりだったという意味です。上原さんは『美女と野獣』のビーストといい吸血鬼といい、人智を超えた人外の役がとても似合うんじゃないかな。
ミュージカルでの人外といえば・・・フランケンの怪物とか?ちょっと観たいかも。上原さんの怪物なら間違ってチューバヤ倒して物語終わりそうです。
なんというか、人外であることゆえの苦悩や葛藤を歌わせたらナンバーワンじゃないですか?♪俺は怪物とか聴きたいなぁ。
ちなみに筆者が今まで観た上原さんで一番好きな役は『スカーレット・ピンパーネル』のロべスピエール・・・ではなく、プリンス・オブ・ウェールズ。
なんかレッサーパンダみたいな愛らしさありませんでした?天然早着替えプリンス。
さてラスト2曲です。『ミス・サイゴン』から♪ブイ・ドイ
ここまできって、やっと本役のナンバーがきました。
2020年のサイゴン公演も上原さんはジョン役続投です。さすが何年もやっている役だけあって堂々とした貫禄のあるパフォーマンスでした。
ラスト、『レ・ミゼラブル』より♪星よ
こちらも本役のナンバー。2019年のレミゼで最年少ジャベールとして参戦。歌唱前のMCで「ずっとアンジョルラスだったからやっとレミゼで持ち歌ができた」と喜んだことを話していました。
たしかに上原さんって意外と持ち歌少ないのかも?『1789』も大勢で歌うパーティーソングだし。
東京文化会館じゃ狭すぎると思ってしまうほどの迫力のある歌唱でした。ぐっじょぶ!
アンコールはMISIAさんの♪明日へという曲で締め。
全体を通しての感想
素晴らしいコンサートでしたが、日本語歌唱の少なさに驚きました。
全16曲のうち10曲が外国語歌唱。欲を言うともう少し日本語で聴きたかったかな・・・とくにミュージカルナンバーは。
上原さんはたぶん、できれば英語で歌いたい人なんですね。
とはいえ、やはり歌唱自体は絶品中の絶品!
歌の上手い人はミュージカル界にそこら中にいますが、バリトンでここまで声量と歌唱力のある人はなかなかいないはず。
テノール向けの楽曲が多いなか苦労こそ多いと予想しますが、群雄割拠のミュージカル俳優の中では一味違い個性派として確実にファンを増やしている印象です。
ワイルドでダンディーなミュージカル俳優ってあんまり思いつかないです(吉原光夫さんのような路線?)
公演終了後のファンクラブ入会コーナーに続々と観客が集まり、皆さん申込み用紙をせっせと記入していました。たしかにこれは入会したくなる。
最後にひとつ。
公演自体は最高でしたが、観客のマナーの悪さには正直引いてしまった・・・
上原さんのファンだから、ということではないと思いたいですが、それにしてもひどかった。いたる場所・タイミングでスマホが鳴るわ、フライング掛け声やら、歌唱中の雑談やら。
まとめ!
いや~、行ってよかった!上質で熱いコンサートでした。
これから増々露出が増えること間違いなしの上原理生さん。
最近はどこか、歌よりも容姿や雰囲気が重視されがち?なミュージカル界ですが、やはり圧倒的な歌唱力のある方のパフォーマンスは最高です。
【上原理生】 『上原理生コンサート2019』気付けばタイトルに"LOVE"並んでいた前半、そして後半は意外な新曲からお馴染みの楽曲までミュージカルナンバーを中心に心を込めてお届けしました。オールスタンディングのカーテンコール、お足元の悪い中、ご来場本当にありがとうございました。#上原理生 pic.twitter.com/9KCZ1ZywJ0
— ORCHARD (@orchard_info) October 26, 2019
とはいえ、何より
セカンドアルバム待ってます!
今回披露された♪ブイ・ドイや♪抑えがたい欲望が収録されている1stアルバムです。