加藤和樹 小西遼生 中川晃教 柿澤勇人 フランケンシュタイン

フランケンシュタインのファン感謝祭レポ!2020年キャストの感想

2019年7月29日

 

ミュージカル『フランケンシュタイン』

韓国発のミュージカルで、日本では2017年に初演されました。

 

血も涙もない残酷なストーリーと急すぎる展開にも関わらず、深い考察を誘う設定と魅力的な人物関係のおかげもあり、一部熱狂的すぎる信者を抱える作品。

2017年公演のあとに音源化もなく、映像化もなく。信者たちは作中の実験体さながらうめき声をあげながら再演を渇望していました。

 

そこで2020年の再演ですよ。もう首がね、取れそうになるくらい喜びました。

 

再演に向けて7月29日にファン感謝祭と題して製作発表会が行われました。150様限定抽選にみごと当選!イェイ

今回は2020年公演のキャスト感想と期待を中心にレポしていきます。

 

 

※会場の場所は公開できない情報なので記載していません。

 



 

全体の流れ

■トーク:40分
・中川さん
・柿澤さん
・加藤さん
・小西さん
・東宝P篠崎さん
・演出板垣さん

■歌唱:5分
・露崎さん「その日に私が」

■締めのあいさつ:10分
・全員

 

間の時間なども合わせるとトータルでぴったり1時間程度のイベントでした。

 

トーク

ビクター役:中川晃教

 

 

まずは初演時の歌唱披露のときのお話をされていました。実はかなり緊張していたんだとか(ホンマかいな)

 

柿澤さんと二人で同じ曲を同時に歌う構成でしたが、中川さんだけ最後めっちゃくちゃ長いロングトーン。

アッキー大人げないと話題になったやつですね。実は柿澤さんと最後どれくらい伸ばすか話もしていたのに結局あの長さになってしまったとか。

 

ちなみにこの動画です。

 

初演時以来、これまでご自身のコンサートでたびたびフランケンシュタインの楽曲を歌唱していることについても触れていました。

お客様からの需要も高いし、何よりこの曲をやるとやり切った感というか、場が引き締まるんだとか。

 

そして、韓国の野外フェスで「偉大なる生命創造の歴史が始まる」を披露したことについては、韓国のお客様はとにかくパワーがすごい。ハッキリ言って熱量では日本のお客さん負けてる、と力強くお話されていました。

 

「偉大なる~」のイントロが流れた瞬間に「ぉ˝ぉ˝お˝おおお~~!」という歓声が聞こえたみたい。日本だったらまずあり得ないですよね。ちょっとザワ・・・っとするだけで笑

 

感受性豊かな激しい韓国の国民性もあるけれども、ミュージカルがエンタメのひとつとして確立しているのも理由のひとつとのこと。

 

これに関しては加藤さんも悔しいと言っていました。韓国は国をあげてミュージカルを推進しているけど、日本ではミュージカルはまだ一部の人が楽しむよくわからない世界って感じだからね・・・

 

全体をとおして中川さん自身もかなり話していたけど、しきりに他のキャストへ話を振っている姿が印象的でした。

ビクターって独りよがりで気なんか絶対使えない奴だと思うんだけど、中川ビクターはご本人の人柄もあってか、結構社交性高そうなビクターですよね。

 

ビクター役:柿澤勇人

 

 

もう一人のビクター、柿澤さん。

中川さんとは違ってフランケンシュタインの楽曲は自身のコンサートでは絶対に歌わないんだそうです。理由は難しすぎるから。

 

柿澤さんといえばジャック役を演じるときのはっちゃけっぷりが凄かったですが、演出板垣さんによると実はやりすぎだというクレーム寄りのご意見もあったんだとか。

柿澤さんに公演後それを伝えたんだけど、「でも続けていいよ」と言ったそうです。「次またクレーム来たらそのとき止めよう」って。

 

これ劇場的に大丈夫?っていうワードをバンバンだしてたから、そりゃ苦情も来るよ・・・と正直思いました。はっちゃけを通り越して下品の領域まで足を踏み込んでた。

 

柿澤さん自体はあまり多くは話していなかったけど、他のキャストが柿澤さんについて語ることがすごく多かったですね。

余り自分からは語らないのになぜか周りが柿澤さんのことを気にしてしまう、ってそれもう柿澤ビクターそのものだなと思いました。

 



 

アンリ役:加藤和樹

 

 

アンリ役の加藤さん。

加藤さんもあまりたくさんお話していた印象はないですが、ひとつひとつの言葉を丁寧に考えながら発している印象でした

 

自分からたくさん発言するというよりは、誰かの発言に補足したり、話を振ったり。とにかく周りをたてることを考えている方だなと。めちゃくちゃアンリっぽい。

 

中川ビクターと柿澤ビクターへの接し方の違いについて語っていましたがかなり面白かったです。

中川ビクターに対しては共に歩んでいこうという想い。一方柿澤ビクターに対しては自分が支えてあげなきゃという想い。

 

このあと間髪いれずに中川さんが「支えられてぇ~~!」と言って会場がドっと湧いてましたね。

 

柿澤ビクターは自分がしっかり見ておかないと何か突拍子もないことをやりだすんじゃないかって不安になるんだそうな。

たしかに中川ビクターって何か新しい実験をしようと思いついたらアンリに「これどう思う?」って意見を求めそうですよね。

 

でも柿澤ビクターってアンリに意見求めるという行動すら思いつかず自分一人で突っ走りそう。

 

アンリ役:小西遼生

 

 

もう一人のアンリ役小西さん。

小西さんはたぶん一番口数が少なかったかな。でも発言するたびにかなり印象に残るような深いことをおっしゃっていました。

 

特に会場全体が聞き入っていたのがアンリ/怪物の役作りの話。

 

「怪物ってロングコートにカッコいい髪型で、一見するとダークでクールな役柄にも見えちゃう。でも重要なのは”人ならざる者”であるおぞましさとか、恐ろしさをいかに体現できるかということ。」

 

たしかに初演での小西さんの怪物ってまさに人ならざる異物でしたよね。口がかなり歪んでいたし、身体もグニャグニャと蠢いていたし。

 

ハッキリ言ってかなり気持ち悪かった。でもこの気持ち悪さ・気味悪さが重要なんだとハっとしました。

 

加えて、ただの男の友情物語で終わらせないことを意識していると言っていました。

 

これって結構すごい発言だと思います。というのも、『フランケンシュタイン』の宣伝文句って悲しくも美しい男の友情じゃないですか。

それを覆すともとれる鋭い発言ですよね。そんな美しいだけの関係じゃないんだアンリとビクターは、という。口数の少ない小西さんからはそんな並々ならぬ気概を感じました。

 

ダブルビクターとの関わりかたについては、柿澤ビクターは目と演技で気持ちを飛ばしてくる一方で、中川ビクターは歌声で飛ばしてくる。

飛ばす方法はそれぞれ違うのに、受け取るものは全く一緒だと言っていました。観客としてもこの違いめちゃくちゃわかる。

 

全然関係ないですが、RPGだと柿澤さんは肉弾戦のファイタータイプで、中川さんは歌とか楽器で攻撃するタイプっぽいですよね。いやむしろ回復役?

 

ダブルビクターもかなり違いがありますが、ダブルアンリも相当違いますよね。

加藤さんが静かに暖かくビクターを見守るアンリであるなら、小西さんは静かに冷静にビクターを見守るアンリ。なんだか改めてそんな印象でした。

 

加藤さんは発言者の方を見ながらウンウンと傾聴の姿勢を見せていましたが、小西さんは基本的に、前とも下とも言えない虚空を見つめて静かに聞いていました。

 

小西さんは発言数自体はかなり少なかったものの、今回の感謝祭のMVPじゃないかなってくらい作品の核心に迫ることに言及されていました。

 

ちなみに怪物になったあとのビクターへの憎しみは中川ビクターより柿澤ビクターに対しての方が圧倒的に強いんだとか笑

 

演出:板垣恭一

演出の板垣さん。

初演版の裏話を語ってくれました。日本初演版は韓国初演版と韓国再演版のいいとこ取りをしたそうな。

 

韓国版でいまいち腑に落ちないところがあって、少し補強というか補足をしたそうです。そのわりにはかなり急展開のオンパレードだったけど。

 

ビクター、アンリの4人がそれぞれ全員いい意味で主張の強い意思を持った役者であることについても言及されていたかな。

 

東宝P:篠崎さん

東宝プロデューサーの篠崎さん。MCのような立ち位置で場を盛り上げてくれました。

 

まず今回のファン感謝祭についてお話してくれました。限定150名に対して応募総数は約2000とか。13倍ほどの倍率だったわけですね。

今回の募集フォームに好きなシーンや歌詞を書く欄がありましたが、そちらについてもかなり言及していました。相当しっかり読んでくれていた印象です。

 

怪物を「怪人」と書く人が多かったと言ってましたよ笑

 

そして、初演時の稽古場での出来事についても裏話をしてくれました。

柿澤さんは最初から色んな突拍子もないことを試してみるんだけど、中川さんは稽古終盤までシンプルに積み上げて、最後の最後で爆発するタイプなんだそう。

 

この違いもなんだかダブルビクターの違いのようで面白いですよね。柿澤ビクターは常にあっちゃこっちゃ飛び回って色んなこと仕出かすんだけど大体なんとか収まる。

 

でも中川ビクターはじっと静かに実験してるなと思ったら実は最後に一番ヤバいことやらかした、どうしよう、みたいな。

 

歌唱

エレン役:露崎春女

 

歌唱は新エレン役の露崎さんによる「その日に私が」の一曲のみでした。

てっきりビクター、アンリ、エレンの歌唱を聴けると思っていたので、ちょっと残念。

 

トーク男子勢がはけて会場がパッと暗くなり、露崎さんが登場。

ピアノの伴奏のみで「その日に私が」を歌唱しました。ここから新エレンへの感想です。若干辛口なので嫌な方は戻ってくださいね。

 

正直言って、かなり物足りなかった・・・

いや、確かに歌唱力はバツグンだと思うし、堂々とした歌唱披露でした。

 

でもミュージカルの歌唱か、と言われるとうーん。やっぱりどこか、か細いというかドスがないというか。ちょっと綺麗すぎる感じっていうんでしょうか。

フランケンシュタインの楽曲には聞こえなかったかな・・・J-POPのようだった。

 

声質はJ-POPなら「良く通るクリアな声質」という評価だろうけども、正直かなりキンキンして聞こえました。

 

初代エレンが濱田さんなんていう歌唱力の怪物みたいな化け物級の上手さなので、そんな彼女とミュージカル初挑戦の露崎さんが比較されるのは相当酷だと思います。

でも濱田さんのエレンはやっぱりすごかった・・・単純な歌唱力もあるけど表現力も凄まじかったじゃないですか。

 

フランケン一族の呪いと、それを打ち消す様な切なる祈りを体現したような歌声でしたよね。温かみのある澄んだ歌声のはずなのに、何故か捕われたような籠った暗い歌声にも聞こえるんですよ。なんて怪奇現象。

 

もちろん稽古もこれからだし、なんなら生まれて初めてのミュージカル歌唱でこれだけ堂々と歌唱されていれば、本番には期待できる・・・はず。

 

繰り返しになるますが、歌唱力は疑いようもないですよ。そして、どちらかというとエヴァが似合いそうな声質だなと感じたので「欲と血の世界」はちょっぴり期待です。

 

それにいざ始まったみたら制作発表会なんだったの?ってくらい進化する役者さんなんてザラにいるし。

 

それでもやっぱり濱田さんのエレンで再演を観たかった・・・濱田さんのドスの効いた不幸オーラ満点のエレンが好きだった。

 

露崎エレンの第一印象は申し訳ないけどフランケンシュタインの世界観には全く合っていないかな。

あくまでも第一印象ですけどね。

 

 

締めのご挨拶

歌唱が終了し、最後に本日の出演者全員で締めのご挨拶。

 

一人1分程度でしたが、中川さんだけ6分くらい早口で話しててちょっと面白かったです。でも素晴らしい締めの言葉でした。

最後に報道陣向けに5分ほど撮影タイムがありました。ずーっとカメラを向けられながらも1秒も崩れることなく笑顔でシャキっとしているなんて、紛れもない芸能人だ。

 

まとめ

新エレンの歌唱も聴けたし、初演の裏話も面白かったし、体感30分くらいのイベントでした。

「ファン感謝祭」というよりは制作発表会に近かったかな。

 

この手のイベントって司会者やコメンテーター含めてだれか一人は作品についてよくわかっていない冷めた人が登壇しがちなんだけど、今回は本当に全員フランケンへの熱が凄かったです。

そして、フランケンのファンがかなり暑苦しい人たちだということを重々理解してくださっているような気がしました。

 

 

ありがとう東宝!

 

2020年版は音源化・映像化してください!!

 

 

中川さんの15周年記念コンサートのCDで「偉大なる生命創造の歴史が始まる」が収録されてるよ。歌唱直後の拍手の音が大きすぎて、どれだけ凄まじい歌唱だったかがよく伝わる。

 

感謝祭でみんなが食べさせられてたクマカレー。

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