加藤和樹 中川晃教 ハプスブルクの宝剣

【感想】NHK『ハプスブルクの宝剣』第6回~第10回 │ 味方を失い続ける恋愛脳エドゥアルト

2020年3月23日

 

第2週は加藤フリードリヒ和樹の登場です

 

NHKオーディオドラマ『ハプスブルクの宝剣』の第2週6回~10回の感想をまとめています。第一週の感想は前回の記事でまとめています。

 

こちらの公式HPにて聴き逃し放送も楽しめます。公開期限があるのでお早めに!

▶オーディオドラマ『ハプスブルクの宝剣』公式ホームページ

 

 

第6回~10回までのあらすじとサマリー

第6回(2020/3/16)「その男フリードリヒ」

● フリードリヒ初登場
● エディ&フリードリヒの交友回
● 想いが募りあうテレーゼとの恋模様

 

異様なまでの軍人教育を受け育てられたフリードリヒの登場です。声を担当するのは加藤和樹さん。

1万のプロイセン軍と共に登場する冷徹で残酷な男ですが、根っこの部分では人間としての優しさがありそうな雰囲気がする声です。いかにも加藤さんらしい。

 

フリードリヒの父であるフリードリヒ・ヴィルヘルム1世の意向でプロイセン軍の兵士は長身で揃えられているという解説が途中で入ります。

この説明を音声で聞くと改めて思ったのですが、これってすごいミュージカルで舞台映えする設定ですよね。スラッとした長身のアンサンブル数名を統率するリーダー加藤和樹。良い絵だ・・・

 

やはりミュージカル化を熱望しているだけあってか聴いていると、どうしても「ミュージカルになったらこのシーンはどういう演出になるだろう?」と考えてしまいます。

 

そして、やはり低音の役者さんが加わると物語が一気に大人びる感じがしますね!

第一週の5回までは中川さん演じるエリヤーフーも田代さん演じるフランツも高めの声質なので、今回初参加の加藤さんの低く鋭い声質が新鮮です。物語にとても映えます。

 

エドゥアルトの「楽しい一夜を過ごさせて頂きました」という”誤解されやすい一言”で終わり。いやあ、昨夜はお楽しみでしたね・・・

 

 

第7回(2020/3/17)「死闘の果て」

● フリードリヒに強く惹かれるエドゥアルト
● 「ハプスブルクの宝剣」の由来が判明
● ネッカル河での戦闘シーン多めの軍事回

 

ネッカル河への出撃と対戦が中心の回です。

戦場で華麗に戦うフリードリヒの姿を見てすっかり惚れ込むエドゥアルト。男も女もお構いなく魅力的でさえあれば即落ちするのがエドゥアルトという人間なんですね。

 

第6回ではお休みだったフランツも再登場し、彼の口からタイトルである「ハプスブルクの宝剣」の正体が語られます。それはエドゥアルト自身の異名のことでした。

オイゲン殿はエディをたいそう気に入り、ハプスブルク家の宝剣として代々伝わってきた刀の一部を使って作った護指をエディに送ります。

ラジオでは端折られていましたが、ハプスブルク家には愛刀の護指で側近の身体を飾るという古い慣習があるらしい。

 

つまり、オイゲン殿がエディを自身の懐刀ふところがたな、ひいてはハプスブルク家を守る宝剣として認めたということです。熱いタイトル回収!

 

フランツがエディに護指をつけてあげた後に「将軍に見えるぞ」と言いますが、そのあとにエディが小さく発する「よせよ」というセリフはオーディオドラマオリジナルです。

たった3文字のセリフですが、これはナイスオリジナルですね!いいセリフだー!

 

気恥ずかしさ、喜び、達成感、驚き・・・エディの中に渦巻く様々な感情がフッと現れるような呟きでした。

 

しかし物語は急展開。オイゲン殿の軍隊に対して独断で指示を出したことが原因でフリードリヒは軍法会議にかけられてしまいます。

エドゥアルトはフリードリヒを救い出すことを誓います。

 

 

第8回(2020/3/18)「裏切りの代償」

● フリードリヒとの友情があっさり崩壊
● ユダヤ人旧友ズィーゲルとの友情も崩壊
● エディの寝室に押し掛けるテレーゼ

 

軍法会議にかけられてしまったフリードリヒを救うため、オイゲン殿に頼み込むエドゥアルト。オイゲン殿はエドゥアルトをたいそう気に入っているので、すんなりフリードリヒを開放します。

しかし「君はまだ職務を完了していないぞ。フリードリヒに関する諜報活動の報告書を早く出せ!」と、フリードリヒの目の前でエドゥアルトに言い放つオイゲン殿。またも職務の奴隷か!

 

友情を感じていたエドゥアルトがスパイであったことを知ってしまうフリードリヒは「この私の友情を裏切った罪!ただで済むとは思うな!」と激怒して馬に乗って去ってしまいます。

しかしこのシーン、原作小説ではフリードリヒは何も言葉を発しないんですよね。復讐をハッキリ宣言するような冷たい目つきでエディを見つめ、馬に乗り去るのみです。

 

オーディオドラマなので、原作通り何も言わずに去ってしまうと復讐心を燃やすフリードリヒを描写することができません。

でも筆者としては何も言わない原作の演出のほうが好みかなあ。裏切ったエディに対して言葉すら与えないという緊張感が良いですよね。冷酷モードにチェンジした瞬間をまざまざと見せつけられるとでも言いますか。

 

その後、舞台はトスカナ大公国に移ります。

エドゥアルトは学生時代の友人であるユダヤ人医師ズィーゲルを訪ねます。しかしズィーゲルに自身がキリスト教徒に改宗したことを黙っていたため、ズィーゲルは大激怒。エドゥアルトを裏切り者と罵ります。

 

「フリードリヒを失い、ズィーゲルを失い、僕はどこまで一人になっていくのだろう」と嘆くエドゥアルト。手のひらからポロポロと大切な人たちが零れ落ちていく様子を見ると、なんとかシュタインを思い出しますね。

 

そして、テレーゼとの関係性にも大きな動きを迎えます。

テレーゼがエドゥアルトの寝室バルコニーに庭木をよじ登っておしかけます。もう我慢できない私を抱いて!と、プロイセン軍も驚くレベルの全軍突撃。

 

しかし、寝室をノックするジャカンが二人に迫り・・・!という緊迫のシーンで終了。

 

 

第9回(2020/3/19)「テレーゼの涙」

● ユダヤ人であることがテレーゼにバレる
● 親友エディと妻テレーゼの関係性を察するフランツ
● 新天地ハンガリーにて熱く迎えられるエディ

 

ジャッカルの何気ない一言でエドゥアルトがユダヤ人であることがテレーゼにバレてしまいます。「あなたに抱かれるくらいなら死んだほうがマシよ!」とエドゥアルトを突き放すテレーゼ。

ハプスブルク家はユダヤ人を忌み嫌っているのです。

 

エドゥアルトがユダヤの出自であるという噂が宮廷中に蔓延し、キリスト教徒からも疎まれるようになってしまいます。

ズィーゲルのようにユダヤ人からも忌み嫌われ、どこにも居場所の無くなるエドゥアルト。

 

しかし、フランツはテレーゼの父である皇帝陛下にエドゥアルトはユダヤ人ではないと断言します。皇帝に嘘をついてまでエドゥアルトを守ろうとするフランツ。

これは生涯かけてエドゥアルトを守るという断固たる意志表示でもあります。

 

そのことをオイゲン公子から知らされたエドゥアルトは、フランツに対する忠誠と友情を再認識するのでした。

そんなこともあって、フランツの妻であるテレーゼから離れるためにハンガリーに赴きます。

 

エドゥアルトがハンガリーに発つことを知ったテレーゼはフランツに対して「なんなのあの人!」と憤りますが、フランツは「もう少し優しい気持ちで接してやってくれないか」と諭します。

それに対して「これ以上できません」と喉を絞るようにして答えたテレーゼの姿を見て「言い過ぎて悪かった、愛しているよ」と抱きしめるフランツ。

 

楽しみにしていたワンシーンの一つでしたが、オーディオドラマでめちゃくちゃあっさり描かれて驚きましたね。ここ超重要な熱いシーンですよ!

原作小説によると、実はフランツはこのテレーゼの姿を見てテレーゼとエドゥアルトが互いに愛し合っていることに感づきます。

そして、エデュアルトが遠方に発とうとしているのは、彼自身がテレーゼと距離を置こうと努力しているのだということまで察します。

 

エデュアルトが遠くにいる間に妻であるテレーゼを深く愛し、安定した愛情で包み込んであげれば彼女も次第に幸せになれるだろう・・・と。

 

わずか一瞬で察し、理解し、決意する。フランツの懐の大きさと男らしさよ・・・!

彼は何も主張できないのではなく、あえて何も主張しないんですね。決して言葉に出さない強さがあるわけです。友人に対しても、妻に対しても、そしてフランツ自身に対しても真っすぐで一貫性のある人格者ですよ。

 

第2週タームで最も熱いムーブをしたのはフランツだと思いますね。エドゥアルトも少しは見習って!

 

そして、エドゥアルトはトルコの国境に近いハンガリー南部へと発ちます。

ハンガリー人たちが焚火を囲んで何やら遊んでいる様子。ハンガリーでは焚火の炎を徐々に大きくして、誰が最も高い火の上を飛べるかを競う余興に興じています。

 

その中でもトップのバチャーニというハンガリー人の男に対して、何故か飛び入りで張り合おうとするエドゥアルト。

ハンガリー人たちにナイストライを見せつけたエドゥアルトはハンガリー人たちに熱く歓迎され、仲間だと認められます。

 

 

第10回(2020/3/20)「迫りくる危機」

● ゲオルク・カイトが新たな仲間となる
● テレーゼを支えるエディに頼み込むフランツ
● 宮廷に戻りフランツ、テレーゼと再会するエディ

 

エドゥアルトがハンガリー人たちと仲良くやり過ぎたせいで、オーストリア参謀が「ハンガリー軍は軍規の乱れた要塞である」と苦言を呈します。そのせいでバチャーニもすっかりヘソを曲げてしまう。

次第にハンガリー兵とオーストリア兵の統率の取れなくなり、トルコとの戦局は次第に困窮していきます。

 

そんな中、亡きオイゲン公子の従者であったゲオルク・カイトがエドゥアルトの元を訪ねます。

彼はフリードリヒが即位したことをエドゥアルトに伝え、プロイセンへ潜り込ませるスパイとして雇います。

 

ほどなくして、ハプスブルク家の皇帝カール6世が亡くなったことを受け、エドゥアルトは2児の父となったフランツの元に戻ります。宮廷では女でありながら広大なハプスブルクの領土と帝国の威信を守ろう必死に足掻くテレーゼ。

そんな彼女を支えるために、フランツはエドゥアルトに彼女の力になってくれないかと打診します。本当に信頼できる人間にしかテレーゼとこの国の未来を任せられないんだ、と。

 

普通、自分の妻と関係のあった男に再び妻を頼むなんてこと無理です。エドゥアルトのことを信頼しての行動なのでしょうが、これは結果的にエドゥアルトもテレーゼも苦しめることになるような。

一見華々しい生活をしているように見えるフランツ。エドゥアルトが抱く孤独と種類は違えど、彼もまた孤独であることがわかる回でもあります。

 

 

第2週の感想まとめ

熱いタイトル回収!

今回の第2週タームでは第7回「死闘の果て」にてタイトルである『ハプスブルクの宝剣』の意味が判明します。

あらゆる創作物においてタイトル回収シーンはやっぱり興奮してしまいます。

 

作品のタイトルの意味がわかるシーンは、たいていの作品は序盤か終盤ですよね。(作品名=主人公の名前など、そもそもパっと見で意味がわかるタイトルは除く)

 

筆者はタイトルの意味や由来が中盤の何気ないワンシーンで判明する作品が大好きなんです。小粋というか、洒落てるというか・・・

「おぉ...!ここで語られるか...!」って目が開く感じがしますね。

 

 

バランス最高のキャスト陣!

第2週タームでやっとメインキャストが全員揃いました。改めて聴いてみるとすごくバランスの良いキャストだなと思います。

尖った天才肌のエディ、柔和で凡人感のあるフランツ、冷徹でエッジの効いたフリードリヒ、一癖ある可憐さを持つテレーゼ。4人全員が全く違う形のピースなのに、並べてみると均整の取れた一つの絵としてぴったりと綺麗にハマる!

 

音声だけでここまで楽しめるんだから、やっぱり実際の生の舞台で観たいなあ。

歴史的にはフリードリヒやマリア・テレジアは超有名どころですが、ミュージカルを中心とする創作物ではそこまでスポットライトが当てられません。やはり彼らより少し後の時代のアントワネットやロベスピエールに着目されがちですからね。

 

18世紀初頭が舞台の作品って、よく考えてみればあまりないような・・・

 

 

行き当たりばったりの恋愛脳エディ

第2週でも相変わらずエドゥアルトはありとあらゆる人物に惚れまくってます。どんだけ惚れっぽいんだ!

エドゥアルト自身は自分の行動はすべて己の信念と野望を実現するためだ、と思い込んでいそうですが、実は意外と他人中心ですよね。フランツに尽くしたい、テレーゼに好かれたい、フリードリヒに気に入られたい・・・

 

エドゥアルトの行動は一見するとかなり無鉄砲で後先知らずですが、筆者はこういう主人公好きです。頭に血が上りやすくて、とにかく体が動いちゃうタイプというか。

最近の作品の流行って人を巻き込むよりも巻き込まれる側で、動的よりも静的でニヒルな主人公が多いじゃないですか。エディみたいに人間関係をしっちゃかめっちゃに掻き回すタイプの主人公のほうがやっぱりTHE・主人公って感じがします。

 

筆者は小説上巻までしか読んでいないので第3週タームからは未知の領域になります。エディには引き続き、常にやや暴走気味で頑張ってほしい!

 

HARI
あっという間の折り返しポイントでした!

 

 

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