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フランス革命ミュージカルの付き物?なぜ「断頭台の露と消える」と表現するのか

 

 

【断頭台の露と消える】を分解してみよう

フランス革命作品に必ずと言っていいほど登場するギロチン。

このギロチンによって処刑され命を落とすことを【断頭台の露と消える】と表現されることが多々あります。

 

断頭台=ギロチン、露と消える=死ぬ・消えるという意味ですが、何故この2つのワードがセットになっているのでしょうか。慣用句として慣れ親しんだ表現ではありますが、よくよく考えてみると不思議です。

ちょっと気になったので今回調べてみました。

 

まず、【露と消える】という言葉には、大きく以下3つの意味が込められているようです。

 

①存在が無くなる・死ぬ
②跡形もなく消失する
③夢や野望が打ち砕かれる

 

③の意味を見てハッとしました。なるほどね!と。

 

話は少しそれますが、本や映画では「露と消える」という言い回しは、若く有望な人物が病死や事故で亡くなるときに使用されることの多い表現です。老人には使われないのです。

なぜなら、”病気でさえなければ実現したであろう輝かしい未来や野望”があったからですね。夢半ばでバタッ...と倒れてしまったという雰囲気が出る表現です。

 

つまり、【断頭台の露と消えた】という言葉には、ただギロチンで死んでしまったというだけでなく、夢や野望を抱いたまま無念に散ったというニュアンスが濃くでるということです。

 

フランス革命では平民だけでなく多くの革命家や王族たちもギロチンで処刑されました。彼らにはそれぞれが抱く理想のフランス国家像があったはずです。

ただ「処刑されてしまった」というだけでなく、己の野望を達成することなくギロチンの刃によって儚くあっけなく散ってしまう命、というトーンが強くなるわけですね。

 

”露”という独特の言い回しに対して「儚いな~」くらいにしか思っていませんでしたが、成り立ちを考えてみるとフランス革命当時の激しさや危うさが伝わってくる表現もあるのですね。納得納得。

 

ミュージカルにおけるギロチンと言えば

ミュージカルでギロチンといえば、筆者はやはり『スカーレット・ピンパーネル』を連想します!

フランス革命勃発後のフランスをはたから見るイギリス貴族の冒険活劇です。観ていて飽きないとっても面白い作品。

 

この作品の序盤に敵役ショーヴランという男と群衆たちが歌うマダム・ギロチンというナンバーがあります。タイトルの通り、ギロチンを主題としたおどろおどろしい一曲。

※ちなみに何故マダムかと言いますと、ギロチンは女性名詞だからです。

 

 

話は戻ってこのマダム・ギロチンというナンバーですが、日本語版でしか聴いたことのない人はぜひぜひ英語版で聴いてみてください。

原版(英語)、本当にカッコいいんですよ!

 

歌にはその言語ごとの良さがあるので「この曲は日本語だと変だわ~」とか「これは英語で聴くに限るでしょ」なんてことはあまり言いたくないのですが、マダム・ギロチンだけは圧倒的に英語版のほうが好きです。

 

なんといっても語感のリズムが良いんですよね。まず、サビの出だしの韻が最高。

 

サビの歌詞いろいろ

【梅芸版】
・血の裁きを喰らわせろ

【宝塚版】
・滑り落ちるよ その刃

【英語版】
・Sing! Swing ! Savor the sting!
・Flash! Slash! Glisten and gash!

※sing=歌え、swing=揺れろ
flash=フラッシュ、Slash=切り裂け
ginsten=煌めけ、gash=深く抉れ

 

英語版のサビは語尾に~ingと~shが付く動詞で始まります。実際に聴いてもらえばわかるんだけど、この鋭い発音がギロチンの「シュッ!」というおぞましい音のように聞こえるようになっています。

※宝塚版は直接的な「シュッ」という歌詞があります。

 

 

優雅な貴婦人が鼻歌まじりに踊りながら、閃光の如き速さで刃を振り下ろしている。ドレスには真っ赤な返り血が・・・

なんてシーンを彷彿とさせますよね。

 

一度でいいのでぜひ英語版のマダム・ギロチン聴いてみて欲しいです。Amazonでも視聴できます。

 

以上、ギロチンと言えば、の『スカーレット・ピンパーネル』についてでした。このド迫力はまさにフランク・ワイルドホーンの真骨頂!

ちなみに他のミュージカルでの死の表現として思いつくもので、『エリザベート』の凶刃きょうじんに倒れた】という言い回しがあります。【狂刃の露と消えた】とは言わないですよね。凶刃の場合は必ず+倒れるなんですね。

 

断頭台の露メーカー?処刑人の実態

ギロチンを語る上で外せない人物と言えば、シャルル=アンリ・サンソン。フランスの処刑人一族に生まれた処刑人です。

彼の時代にギロチンが発明されました。フランス革命の登場人物のほぼ全員の処刑に携わっています。

 

生涯で何千人もの人間の処刑を取り仕切った彼ですが、サンソン自体は死刑制度反対派でした。なんとも物悲しい・・・

 

シャルル=アンリ・サンソン(出典:Wiki

 

フランス革命の陰の主人公であるサンソン家にスポットライトを当てた『イノサン』というコミックの知名度のおかげもあってか、最近はサンソン家の存在を知っているも増えてきました。

 

ミュージカル化された『イノサン』は開いた口が塞がらないレベルの駄作でしたが、原作の漫画『イノサン』は素晴らしいのでオススメです。

 

 

ちなみに英語では

残念ながら、日本語のような詩的な言い回しは見つかりませんでした。be guillotinedとか lose one's life on the guillotineみたいな割と直接的な表現が主流のようです。

死を直接的に表現しない、または死をタブー視する傾向が比較的強い日本だからこそ生まれた独特の表現なのかもしれません。

 

ご当地フランス語ではなんて言うんだろう?知ってる人誰か教えて!

 

和の心を持つ表現?

ギロチン自体には日本とは縁もゆかりもない西洋的なイメージがあります。しかし【露と消える】という表現からは、なんだか非常に叙情的でしっとりとしたみやびな印象を持ちますよね。

 

それにギロチンは元々、人道的な道具なのです。

ギロチン発明前は身分によって処刑方法が異なったため、特に平民は絶命するまで長時間耐えがたい苦痛を味わっていました。そのため、貴族も平民も平等に一瞬で刑を執行することができるギロチンには、様々な人の想いが込められてたわけです。

(結果的に処刑が”効率化”されてしまいましたが)

 

【露と消える】という日本独特の表現は、慈悲溢れる西洋婦人マダムと日本人の心を繋ぐ魅惑のワードなのかもしれません。

 

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