観劇ハウツー よもやま話

ミュージカルはネタバレ無法地帯。どこまでが許されるのか │ マナー違反と言いづらい理由

2019年12月23日

 

聞いてしまった・・・ネタバレ・・・

 

上演中の映画や新刊のネタバレについては、最近ではネット上でもかなりセンシティブ。

未視聴の人の目にいきなりに飛び込んでしまわないように、SNS上ではfsetter(ふせったー)なんてサービスが頻繁に使われています。

これらのサービスを利用しながら、自分の感想や結末を一方的に見せてしまわないように何かしらの配慮がなされることが増えてきました。

 

一方でミュージカルは他のエンタメよりもネタバレに対する抵抗や配慮はかなり緩めに感じます。

観劇趣味を始めた頃は結構な衝撃でしたが、もはや慣れてしまいました。でも改めて考えてみるとかなり特殊な文化です。

 

本記事ではそんな”ミュージカルにおけるネタバレ”について考えています。

 

注意!

本記事では、そもそも物語の結末を知らない人が大半である新作ミュージカルや比較的規模の小さいオリジナルミュージカルは対象外としています。また、記事内にもミュージカル作品のネタバレが含まれているのでご注意ください。

 

衝撃!ネタバレ飛び交う劇場ロビー

 

観劇を始めた頃に何よりも驚いたのは、劇場のロビーでのネタバレ会話の多さよ。

 

「●●が暗殺されるシーンのXXさんは迫力あるよね」
「●●が死ぬときにお迎えにくるXXには泣かされる」
「●●さんは最後XXになるシーンが見事よね」
「●●が焼け落ちるシーンの舞台セットすごいよね」

 

などなどなど、ネタバレ会話がもうとにかく多いですね。右も左もわからない超初心者の頃は

「えぇ~!それネタバレじゃん・・・なんでロビーで話すの?聞きたくなかったよぉ・・・」

ということがよくありました。

 

あぁ何度もネタバレに遭遇するなんて。どんだけマナーの悪いジャンルなんだ。ミュージカルって規律のある世界じゃないの?パラダイスじゃないぞここは。

ブツブツ・・・不貞腐れていましたがそのうち気づきました。むしろこれが標準レベルなんじゃ?と。

 

映画館の上演前にネタバレ会話なんてしようものなら、作品によってはタコ殴りされてもしょうがない。でもミュージカルは「ちょっとアンタ!ネタバレやめてよ!」なんて注意する人はいません。

 

なぜでしょう?

 

HARI
ミュージカルのネタバレの緩さについて考えてみた

 



 

グランドミュージカルのネタバレが緩い理由

グランドミュージカルにおいてネタバレトークやネタバレ投稿がゆる~い理由はだいたいこの3つに絞られます。

この3つの割合こそ作品によって違えど、総括して”ミュージカルってそういうもん”と言われることが多いです。

 

ゆるゆるの理由

①そもそも歴史的事実だから
②原作自体が有名だから
③何十年も上演されているから

 

①そもそも歴史的事実だから

 

ミュージカルは史実を扱った作品が多いです。フランス革命とかベトナム戦争とかね。

それと同時に実在の人物を題材とした作品も人気。『モーツァルト!』や『マリー・アントワネット』はその名の通り彼らが主役になります。

 

そのため『マリー・アントワネット』という作品についての会話で、アントワネットがギロチンで最期を遂げることは紛れもない歴史上の事実。

だから「アントワネットが最期処刑されるなんて知らなかった!ネタバレだ!」と騒ぐのはちょっとお門違いですよね。

 

また、誰もが知っている歴史上の有名人とは言いづらいエリザベートのような人物の末路については、一般教養レベルではないものの実在した人物の生涯であることには変わりありません。

つまりミュージカル作品としてのネタバレ以前に歴史的史実なのです。

 

HARI
では、史実ではない創作の場合はどうでしょう?

 

 

②原作自体が有名だから

 

例えばミュージカルの金字塔『レ・ミゼラブル』。

この作品では6月暴動という史実の事件が題材となっているものの、登場人物やストーリーは基本的にオリジナル。

しかし、原作はヴィクトル・ユゴー著の超有名な長編小説です。小説として有名であるだけでなく、キリスト教系の学校では倫理の授業の題材としてもよく取り上げられます(荒くれ者が司教の慈悲によって改心する話なので)

 

しかも最近ではヒュー・ジャックマン主演の映画化が世界的メガヒットを記録しているので、もはや全く知らない人のほうが珍しいくらい。

つまりミュージカル以前に誰もが知っているような超有名原作が題材であるということ。

 

劇団四季のようにディズニー作品のミュージカルの場合は、観客の中で原作を観たことがない人のほうが少ないくらいかもしれません。

観客は有名原作のミュージカル版をわざわざ観に来ているのですから、たしかに物語の核に関する会話をしてもなんとなく許されそうな緩い雰囲気があるのは事実です。

 

 

③何十年も上演されているから

『ラ・マンチャの男』1,100回上演記念写真@帝国劇場

 

グランドミュージカルは何十年間も再演されつづけている作品が多いです。いわゆるロングランってやつですね。

 

ロングラン公演の例

『ラ・マンチャの男』:50年(1969年初演)
『レ・ミゼラブル』:32年(1987年初演)
『ミス・サイゴン』:27年(1992年初演)

 

ミュージカルのファンは一度観た作品でも再演されるたびに劇場に足を運ぶので、再演され続けている作品ほどリピーター客の割合が増えていきます。

つまりその作品を一度でも観たことがある観客がかなり多いということです。

 

そんなこともあってか、ストーリーの結末自体を楽しみに観劇に来る人の割合はかなり少ないと思います。

筆者含めたいていの観客はその公演の素晴らしい楽曲や演出・キャストの熱演によって引き起こされる高揚感を味わうことが目的なのです。

 

HARI
原作自体有名だったり何度も再演されていたり・・・それらが複合して”ミュージカルってそういうもん”という認識があるのです

 

 

あなたのネタバレはどこから?ネタバレ許容レベル!

ひー!聞きたくない!

 

ところで。

一口にネタバレと言っても、ネタバレの定義って実は人によって結構違います。本記事では4段階にしてみました。

もちろん作品の種類にもよりますが完全初見の場合は筆者はLv1が多いかなあ。

 

完全初見の場合のネタバレ許容レベル

Lv1. 公式サイトのあらすじくらいは読む
Lv2. 観る前にSNSなどで評判もチェックする
Lv3. 結末以外の展開ならネタバレに感じない
Lv4. (結末含め)調べ尽くしてから観る

 

Lv1. 公式サイトのあらすじくらいは読む

公式サイトには当たり前っちゃ当たり前ですが決定的なネタバレは書いていません。ネタバレ嫌いの人でも公式サイトのあらすじや登場人物だけは頭に入れてから観るという人が多いんじゃなかろうか。

作品によっては展開が早く説明が少ないので、むしろ公式サイトの最低限の情報すらない状態で観てしまうとストーリーに追いついていくのが大変なこともあります。

 

また、近年はSNSの発達で公式以外の第三者からのノイズがとにかく耳に入ってくるんですよね。それがうっとおしく聞こえてしまう、というタイプも多いと思います。

オタクによるオタクの解釈に毒された先入観を抱きたくない。わかる。

 

HARI
公式は絶対的存在ですよね

 

 

Lv2. 観る前にSNSなどで評判もチェックする

評判やら口コミも知っておきたいタイプ。面白いか面白くないかだけでなく自分にとって嫌悪的な表現や演出がないかも重要なのです。

どんなに面白くても犬や子供が死ぬシーンがある作品はダメ・・・って人、めちゃくちゃ多いですからね。

昔レミゼに誘った知人から「小さい子が死ぬシーンないよね?」と聞かれて「あるよ!」と答えたら断られました。

 

HARI
SNSの声はリアルな評判だからね!

 

 

Lv3. 結末以外の展開ならネタバレに感じない

最終的な結末以外ならOKよ!というタイプ。体感ですがミュージカルのファンは他のエンタメと比較してこのタイプが多いような気がします。

というか公式のあらすじで結末の直前まで書いちゃってるような作品が多いです。え?そんなとこまで言っちゃうの?って思いますよね。

 

HARI
『フランケンシュタイン』の公式あらすじなんて物語の8割くらいの内容書いちゃってるよ!

 

 

Lv4. (結末含め)調べ尽くしてから観る

物語の起承転結、登場人物の設定、作品の舞台背景、細かいギミックや豆知識・・・そのすべてを知り尽くしてから観る!!

 

そんな狂人いるんかいな、何が面白いんや。

と驚くかもしれませんが本当にいるんです!筆者の父がまさにこのタイプ。作品に関する知識があればあるほど面白く観れるらしい。アブロンシウス教授タイプですね。

たしかに美術館や観光先に行く前にお目当てのモノについて調べ尽くす人は結構いますよね。予習したことを実際に目で見て「なるほど、コレね~!」と感動することができます。

 

このタイプの観劇ファンはミュージカルを物語というより芸術鑑賞として楽しんでいるんでしょう・・・いや、やっぱり筆者には理解できない・・・

 



 

絶対にネタバレを見ないための自衛方法

いくら原作が有名だろうが何十年再演されていようが、自分にとっては未知の作品であり未知の物語。だからネタバレは絶対に見たくない!

そういう場合はどうしよう?徹底的に自衛するしかないです。

 

ネタバレ止めようよ!といくら呼びかけたとしても「ミュージカルってそういうもん」という考え方の人が多いし、実際そういうもんだし。

 

ミュージカルのネタバレ対策

①ネットは完全遮断
②パンフレットは観劇後に読む
③劇場内での会話を聞かない

 

①ネットは完全遮断

当たり前ですがネットの世界はネタバレの宝庫。

個人のSNSやブログにはネタバレだらけです。ブログなんてSNSより皆かなり自由にやってるのでネタバレ祭りです。絶対地雷踏みたくないの!と叫びながら地雷平原に自ら特攻するようなもん。

 

むしろ気を付けたいのはTwitterなどのSNS。なんとなく眺めているだけで意図せずネタバレを見てしまうから怖い。

 

ネタバレにならないように配慮したツイートでも、違う人のツイートが何個も重なるとなんとなく推測できちゃうんですよね。

ラストシーンのロナンが本当に泣ける!
ロナンの想いが現代にも届いているといいよね
ロナンを囲む革命家たちの芝居がヤバイ・・・

 

絶対ロナン最後に死ぬじゃん~~~~!!

一つ一つのツイートだけならまだわかりませんが、何度もつらなると「あ、これ死ぬやつだ」って気づいちゃう。

 

ネット上のありとあらゆるところにネタバレが転がっています。絶対にネタバレされたくないならネットを完全遮断しておけばとりあえず観劇当日までは安心。

 

 

②パンフレットは観劇後に読む

役者や脚本家のインタビュー・対談にはネタバレてんこ盛りです。観劇後に読もう!

とくにミュージカルの曲のタイトルってかなり直訳かつ説明的なので、曲目リストでもネタバレをくらう可能性が十分にあります。

 

『レミゼラブル』の「ファンティーヌの死」「ジャベールの自殺」、『ジキル&ハイド』の「ルーシーの死」なんてあまりにも直球で初見のときは驚きましたよ。

 

「●●死す!」系のド直球ネタバレソングが多いからねミュージカルは!

 

 

③劇場内での会話を聞かない

筆者が最もネタバレに遭遇するのは劇場での観客の会話です。開演前や幕間でしょっちゅうネタバレトークが聞こえてきます。

隣の席の人たちがネタバレ会話しだしたら無理やり口を塞いでやる意外は防ぎようがないので幕間中はできれば座席を離れてロビーでウロウロすることをオススメします。

開演前も公演の妨げにならない程度に上演直前に席に向かうとよいです。

 

いやむしろネタバレトークする人たちが移動しながら会話してほしいよね!夜神月も人に聞かれたくない会話は移動しながらが一番って言ってた。

 

ちなみに筆者は絶対にネタバレされたくない作品の場合は幕間は劇場の外に出ちゃいます。エェ!?そこまで喋る!?っていうくらいネタバレトークしまくる観客、たまにいますからね!

 

 

でもネタバレ会話はやっぱりダメ

グランドミュージカルでのネタバレはわりと緩めではありますがやはりネタバレ行為であることには変わりありません。

最近ミュージカルに興味を持った学生さんが一生懸命貯めた貯金で購入したチケットを持って、これから始まる未知の物語に胸を躍らせているかもしれません。

 

グランドミュージカルのネタバレはマナー違反なの?という問いには一口にYESともNOとも言えません。

ですが、これネタバレかな?と思う内容はマナーを守る意味でもトラブルを避ける意味でも劇場内では決して喋らないにこしたことない。これだけは確実です。

 

HARI
このサイトはネタバレだらけだから気を付けてね!

 

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