ミュージカル『フランケンシュタイン』待望の再演が2020年1月8日から日生劇場で幕を開けました。いやー、待ちわびた。再演見れるなら死んでも後悔しない。
千秋楽までにまだまだ変化していくことは間違いないですが、再演についての全体的な第一印象としての感想をまとめました。
もくじ
キャストごとの感想
まず初演からプリンシパルにほぼ変更がなかったことに多大な感謝。特にメインのビクターとアンリの4人が全員続投したことは初演のファンとしては本当に嬉しい限り。
でも逆に考えればこの4人のフランケンが観れるのはたぶん2020年公演で見納めでしょうね。いや、そもそもフランケン自体見納めかもしれません。定期的な再演がほぼ確定しているような大演目ではないので。
中川晃教
本日F!無事に終演しました〜
泳いで🏊♂️からの〜チェーザレの記者発表に向けて練習🎼からの〜もう眠いぃZzzz笑
北極で再会するラストシーンのひとつ前のシーン。
怪物の歌にジーン。
♪どう生きるのか..どう恋をして..どう死ねばいい..
答えも出せずに、自分のものだと信じているのさ..人間は。
💓 pic.twitter.com/Pe5Lno4U2s— 中川晃教 (@nakagawa1982aki) January 10, 2020
筆者の中では『フランケンシュタイン』といえば中川さんは絶対に欠かせない一人です。中川さんの絶唱あってこその日本版フランケンであると思う。
2020年の初日公演では、パっと見の第一印象は2017年再演から大きく変更はないかな?という印象。初演で完成され尽くされたビクター像を変わらず演じ切っていました。
歌唱は相変わらず素晴らしすぎます。グリフィンドールに1000億点。コレよコレ!!と毎曲ゾクゾクしてしまう。中川さんの歌だけでもチケット代の価値があると思う。
中川さんのフランケンの楽曲は中川さんとしてのコンサートでちょこちょこと聴く機会があったので、そこまで久しぶりという感覚はありませんでしたが、やはりビクター役として歌唱している姿を見ると熱いものがあります。
お芝居の面ですが、1つ気になったことがあります。
酒屋のシーンでアンリに愚痴を言いながらフラフラと立ち上がるところ。初日公演はアンリの首をグ・・・ッと掴むようにゆっくりと立ち上がっていました。
酩酊状態で首を求める深層欲望がおもわず顕在化されてしまったような不気味さがあってすごく良かった。
その他の小さな変更点として1幕が降りるときの「アンリィ―――ッ!!」の絶叫のあとに「うぁ˝あああ・・・」という慟哭がありました。絶望感がより伝わってきて好きです。
あと、筆者はやっぱり再演初回公演の中川ビクター・加藤アンリのペアがいちばん好きです。多くのキャストや作品ファンが大切にしている「絶望の中にある僅かな希望」を最も体現している組み合わせだと思います。
最後の最後にほんの少しの希望の影を感じられるペアなんですよね。
柿澤勇人
ふはははははは☺︎
初日ひひひひひひ。
ありがとうございました☺︎#フランケンシュタインホッピー頼んだのに焼酎の割合おかしくない?
やるよ。飲むよ。 pic.twitter.com/bOObY4kkGg
— 柿澤勇人&STAFF (@kakizawa_hayato) January 9, 2020
柿澤さんのビクターもいい意味で初演と大きな変化はなかったかなという印象です。
ビクターの自己中っぷり、ナルシストっぷりは柿澤ビクターの真骨頂だと思っているのですが、初演よりとくにナルシスト度がかなり上がったと思います。良い~!
中川ビクターの「♪偉大なる生命創造~」は生命創造への欲望とアンリ救済の割合がちょうど半々、いやアンリを救いたい気持ちのほうが若干上回っている印象です。
一方、柿澤ビクターは9:1くらい。めっちゃイキり散らしてますよね。俺が新世界の神になるんダァ・・・って超ナルシー入っちゃってる。この曲って歌詞自体も相当な自己陶酔の世界ですよね。
中川ビクターは音楽として最高に似合うし、柿澤ビクターは歌詞がとにかく似合う。
立ちあがったアンリ(怪物)を見て心底嬉しそうに笑いだす柿澤ビクターはアンリを救ったというより”新たな生命”を創造したことへの喜びに見えます。だからここのシーンは柿澤ビクターだとまさに神の領域を冒してしまったことへの罰が始まっていくことに強い説得力を感じる。
ジャックのお下品さは初演よりもパワーアップしてました。スタート時点でこれなら千秋楽近くはエグいことになっていそう。
初演は多少の苦情はあったものの演出家の板垣さんのお許しもありお下品さを最後まで突き通してましたよね(笑)
ただごめんなさい、筆者は柿澤さんの下品なジャックはあまり好きじゃないです。世界観が一気に崩れる平泉成のモノマネも正直やめて欲しい。柿澤ジャックの、一見コミカルなのに中身はかなりヤバい奴って感じの雰囲気は大好きなんですけど。
加藤和樹
ミュージカルフランケンシュタイン初日無事に終了。観に来てくれた皆さんありがとうございました。韓国から脚本・歌詞・演出のワン・ヨンボムさんら韓国スタッフの皆さんが観に来てくれました。初演よりさらに繊細な芝居になったとのお言葉。嬉しかった。まだまだここからです。最後まで駆け抜けます。 pic.twitter.com/kI7djddkCv
— 加藤和樹 (@kazuki_kato1007) January 8, 2020
アンリ/怪物役の加藤さん。初演から断トツに進化したキャストだと感じました。
まずアンリについては、殺人の罪で処刑が決まった「あ~~人殺し~~」のシーン。ここの加藤アンリの表情が本当によかった・・・!
処刑宣告された人間とは思えないような清々しい表情。もう一歩でもはや微笑みの領域になりそうなほどです。初演のこのシーンの加藤アンリってここまで爽やかな表情でしたっけ?もう少し覚悟を決めたような険しい表情だった気がする。
この神聖な表情の加藤アンリに物凄い狂気を感じた。この物語の本物の狂人はビクターじゃなくて実はアンリなんじゃないの?と一瞬思ってしまうほど。
冷静に考えれば、おそらくビクターとルンゲがステファンを本気で説得すればアンリの処刑は免れると思うんです。加えてビクターも正当防衛として罪を免れることもできるかもしれない。ステファンってただでさえ権力者なので。
そのことは聡明なアンリならよくわかっているはずだと思うんです。それでも友人をかばって死を選んだアンリ。これってよく考えたら結構狂気的ですよね。
まるで大切な誰かのために死ぬ喜びを自ら得ようとしているようにも見えてしまう。生きる意味を悶々と考えていたアンリのことならなおさら。そういったアンリの中に潜む心の闇みたいなものを感じる加藤アンリの表情でしたね。
自分の命を捧げてでも他人のために生きる。彼なりの美学なのかもしれません。
そして、怪物についても初演よりも相当進化していたと思います。というか作品全体を通して初演から最も進化したところは加藤怪物だと感じました。
詳しくは他の記事で単体の感想を書こうと思いますが、歌唱・芝居全ての面で相当パワーアップしていました。いや~素晴らしい。加藤さんって本当に努力家ですよね。
小西遼生
小西さんもアンリ・怪物ともに初演から良い意味で大きな変化はなかったかな?ただ、作品にかける本気度みたいな気概というかオーラというか、そういったものがとても強いことは客席から観てもびしびし伝わってきます...!
ファン感謝祭でもそうだったんですけど、小西さんはこの作品をただの男同士の友情物語で終わらせたくないという想いが強いですよね。怪物の小西さんを観ているとその想いは並々ならぬ覚悟であることが怖いくらいわかります。
小西怪物はとにかく顔の歪み・体の歪みの表現が直視できない程おぞましい。小西さんはざっくりとした分類では一応イケメン俳優枠ですよね。それであの顔面の歪みをやりきるのは本当にスゴいことだと思うんですよ。物理的にも精神的にもあそこまでの表情はなかなかできるもんじゃない。
お芝居とわかっていても見てられないくらいヒドい姿を演じきることで、ビクターがどれ程の禁忌を犯したかが本当にリアルに伝わってくる。こんなモノを生み出しちゃったんだ・・・って。
怪物って黒いロングコートだし長髪だし、見方によっては結構カッコいい系のキャラクターになってしまいがちだと思います。ファンタジーらしい異形の存在として演じたほうが役者としては色んな意味で”手っ取り早い”ですよね。人気も出るだろうし、そっちのほうが演じやすいだろうし。
それでもなお、あそこまで人間ならぬモノを演じるのは並大抵の気合いじゃないと思うんです。ここまで気合いの入った役作りには本当に感服です。
小西怪物で観るフランケンは、ビクターが倫理的に完全に一線超えてしまったことに説得力がありすぎます。小西怪物の存在そのものが神から与えられたビクターへの罰のように見える。
そして何よりも『フランケンシュタイン』がそれほどの想いを持った役者さんによって作られていることが作品ファンとしてはすごくすごく嬉しいですよね!
作品の世界観は好きなんだけど役者さんから「たぶんこの作品そんなに思い入れないんだろうな...」って、どうしても伝わってきちゃうことってやっぱりあるんですよね。
露崎春女
初演から唯一変更のあったプリンシパルキャストです。日本版『フランケンシュタイン』の独特の艶っぽさや哀愁は初演の濱田さんが形成していたと言っても過言ではないほど重要な存在でした。
そんなエレンがまさかの変更。しかも新キャストの露崎さんはミュージカル(お芝居)初挑戦です。正直心配すぎた。
蓋を開けてみれば思ったよりもずっと良かったです。
濱田さんのエレンと比較してしまうと、そりゃ濱田さんのエレンのほうが好きですよ。でも優劣を比較したってしょうがない。超実力派の後任&ミュージカル初挑戦ということを鑑みれば、露崎さんのパフォーマンスは相当素晴らしい出来だと思います。
何よりもご本人が役作りや作品に対して真剣に臨んでいることがヒシヒシと伝わってくる!丁寧で優しいお芝居だと思います。「ミュージカル畑のキャリアじゃないんだから多少はしょうがないでしょ?」という手抜きは一切感じません。
本音を言えば濱田さんのエレンをもう一度観たいという気持ちはやっぱり変わらない。でもキャスト変更やダブルキャストという文化があるミュージカルという世界で、一人のキャストに執着してしまうと楽しめなくなってしまうと思うんです。
だから多少無理やりにでもキャスト変更に対してポジティブな気持ちを持つようにしたほうが絶対楽しい、というのが筆者の持論です。
はまめぐじゃないと見れたもんじゃないよ!!という気持ちは痛いほどわかる・・・でも少しだけ気持ちを変えてみて、ぜひ露崎さんのエレンも観てみてほしい。キャストが変わったことで作品を新たな視点で見れたり、新しい印象を持つ醍醐味もありますし!
露崎さんのエレン・エヴァについてはこちらの記事で初日の感想を書いたのでよろしければぜひ。
音月桂
いやー、よかった。特にカトリーヌ!音月さんのカトリーヌ最高です。初演よりもドスの効いた低音とスコーーーンッ!抜けるシャウとにも似た叫びが良い。
「♪生きるということは」の音月カトリーヌの迫力すごいですよね。歌唱面でも相当歌が上手くなっている印象でした。
あと初演のときはあまり考えなかったんだけど、他人のために生きたり死んだりするということは、誰かに愛されたり信頼される経験があるからこそできる行動なんだなとカトリーヌをみて痛感。
誰にも愛されないカトリーヌは自分が明日生きることしか考えることができない一方、本物の友情を手に入れた満足感のあるアンリは他人(ビクター)のために明日を諦めることができる。カトリーヌだって怪物のために薬を盛らない選択肢もあったはずです。
カトリーヌはジュリアと正反対の女性として描かれているけど、ある意味アンリとの対比でもあるのかなぁ。
初演のときは音月さんは低音が強い役者さんとして、ジュリアというよりカトリーヌとして抜擢されたという印象がありました。でも再演を観たらジュリア役も実は結構ハマってるんじゃ?と思うようになりました。
というのも、ジュリアってパっと見はテンプレお嬢様だけど本当はたぶんかなりお転婆で底抜けに明るい女性ですよね。行動力もあって心が強くて。
というかこの作品の登場人物でジュリアだけ圧倒的に陽キャですよね...(笑)あんなビクターのことを変わらず愛し続けられたり、何が起こっても泣き叫ぶような動揺はしないし。根っからのポジティブウーマン。カトリーヌとは真逆の自己肯定感の鬼です。
ジュリアのそういう怖いくらいのポジティブさみたいなものが音月さんだとなんかしっくりくる。音月さんがそういうタイプなのかどうかは知らないですけど。
あと音月さんは「ラ・マンチャの男」のアルドンザ役とかそのうちやりそうだなぁなんてことも思いましたね!観たいぞ!
鈴木壮馬
フランケンシュタインは、お陰さまで2組の初日を無事に迎えさせて頂くことが出来ました。沢山の熱いご声援を頂きまして、本当にどうもありがとうございました。アッキー、カッキー、和樹、遼生を筆頭にチーム一丸となって千秋楽まで駆け抜けて参ります❗️#フランケンシュタイン#初日#日生劇場 pic.twitter.com/dV72gRilgd
— 鈴木壮麻 公式 アカウント Soma Suzuki #フランケンシュタイン (@somaparu) January 9, 2020
ルンゲ役は壮馬さんしか考えられません。ある意味エレンの濱田さんよりも思い入れがあるかも。
全体的にルンゲの表情の変化は初演よりも強くなった印象があります。
ルンゲはこの作品で唯一の(?)コメディ多めの人物なのでコミカルな愛らしさに目が行きがちですが、ルンゲの真骨頂は台詞がないシーンでの表情の些細な変化であることは間違いない。
特に「♪孤独な少年の物語」は是非是非ルンゲに注目して見てみてほしい!余計泣けます。
リトルビクターの「生命、有機の結合・・・」と歌い出すシーンのルンゲの表情が本当にグっとくる。悲しいような悔しいような、とてもとても辛い表情です。初演はもう少し唖然としたような表情だっとような気がします。
その直後ステファンにぶたれた後にビクターをそっと抱きしめているときも、もう切なすぎる・・・
あのシーンのルンゲって「この子はたぶん普通の人生は送れない。だから自分が出来る限り支えなければ」と覚悟した瞬間だと思うんです。執事としての業務を超えて、一人の人間としての使命を感じているような熱の籠った目。
ビクターのことを真に理解しているのは、実はジュリアでもエレンでもアンリでもなくルンゲだと思うんですよね。ビクターが人体実験以上の禁忌を犯そうと増々おかしくなっていっても、最後までビクターに振り落とされずについてくるのは絶対にルンゲ。
そこに説得力があるのは壮馬さんの細かなお芝居の賜物でしょう。
相島一之
相島さんは相変わらずお芝居が本当に素晴らしい。ステファンもフェルナンドも登場シーン自体はそこまで多くないので初演から大きな変化は特になかったように見えましたが、やはり相島さんは台詞のひとつひとつが本当に上手い!
演劇素人にもわかるほど”間”が天才的です。
物語はビクター視点なのでステファンは若干悪い人のような描かれ方ですが、冷静に考えたらステファンってめちゃくちゃまともですよね。市長として市民に信頼されていますし。
ビクターは地位もあるし才能もあるけど、忌々しい過去とあの性格を考えれば、父親としてはあんな男には絶対に娘を渡したくないはずです。それでもジュリアをビクターの夫として認めたのは、やはり娘の気持ちを第一に考えてあげたいからだと思うんです。
相島さんのステファンって、一見冷たそうだけど実は娘にはデレデレのパパって感じがすごい似合う。
唯一の歌唱シーン「♪平和の時代」については、ストレートプレイ畑の方なのでご愛嬌ということで。
さて、ここからはアンサンブルキャストについての感想です。
アンサンブルについて
かなりメンバーチェンジしたアンサンブル
アンサンブルキャストは実は2017年初演よりも結構入れ替わっています。男性はそこまで大きく変わっていませんが、女性は半数以上メンバーチェンジしています。
<初演から続投>
朝隈濯朗
新井俊一
後藤晋彦
当銀大輔
丸山泰右
安福毅
江見ひかる
木村晶子
栗山絵美
山田裕美子
<今回から参加>
岩橋大
宇部洋之
白石拓也
門田奈菜
水野貴以
宮田佳奈
望月ちほ
吉井乃歌
<初演のみ参加>
遠山祐介
原慎一郎
佐々木崇
可知寛子
福田えり
彩橋みゆ
谷口あかり
原宏美
台詞のあるわかりやすい役で言うと、まずウォルターの母親役は福田さんから栗山さんにチェンジ。
息子を殺されて慟哭しきった狂いかけの福田さんの母親がめちゃくちゃ好きでした。特にアンリ裁判の「その悪魔を死刑にして!」の「死刑にして!」の迫真っぷりよ...!
栗原さんはもう少し冷静で、内なる怒りと憎しみが強い感じかな。どちらも印象強くていいですよね。
エレン絞首刑の「まるで子供のように育てられたのに」の、何故かやけに印象に残る市民役は遠山さんから新井さんにチェンジ。
変更なしのアンサンブルキャストは、ウェリントン将軍の当銀さんやチューバヤの後藤さん、酒屋のマスターの朝隈さんなど。目立つアンサンブルの役は大きな変更はなかったですね。
初演アンサンブルのほうが好きだったかも
あくまで好みの問題なので決して優劣の話をしたいわけじゃないんですが、アンサンブルキャストは初演のほうが好きでした。ビクターの父親役の原さんが抜けたのも痛いし、占い師の可知さんも惜しいし。
傭兵隊長の佐々木さんが抜けたのもちょっと残念かなあ。ショットガンを抱えた傭兵たちがズラズラと登場するときに隊長役の佐々木さんが圧倒的に背が高くてリーダー感が強かったのが好きでした。
2017年初演からの変更点
ここからは初演からの演出面での変更点について。
まず驚いたのは、初演からそこまで大きな変更がなかったこと。『フランケンシュタイン』って物語のテンポも速いし、登場人物の心情が全て語られるわけじゃないし、正直初見殺しの作品です。
初見だと「???」となってしまうシーンが結構あるので、そのへんをもう少しわかりやすくする変更があるだろうなと予想していましたが、裏切られました。
特に酒場の朗らかシーンからいきなりのデン↑デン↓デンデーーーン!「あ~~~人殺し~~!(迫真)」の流れはいくらなんでも急すぎるでしょ。あそこは絶対何かしらの変更があるかと思ったけどありませんでしたね。
何度も観ると展開が急すぎてもはやシュールコメディです。絶対に笑ってはいけないフランケンシュタイン始まってる。
わかりやすさ?伝わりやすさダァ?そんなもんはいいんだよ!!フランケンってのは考察と深読みで自分で余白を埋めるのが醍醐味だろーが!!とビンタされた気分ですね。たしかにその通りです。ここまでフランケンワールドを突き通されると、ある意味気持ちいい。
あと、なんか変な語彙もそのままでした。「キレたぼっちゃん」とか。
とはいえ細かな部分は結構変わってましたので何点かピックアップしています。
①「けれど君は」まさかのカット
初演は「♪ただ一つの未来」のあとに質問ですか命令ですかのくだりの直後に短いアンリのソロナンバー「♪けれど君は」がありましたが、再演はまさかのばっさりカット。おい!
「♪けれど君は」歌唱後のどこか少し満足げなアンリが走り去った後にカラフルな花火が上がり、「♪平和の時代」に突入という流れでした。なぜカットした...
あのシーンって、アンリがビクターの理念に共感しただけでなく後の熱い友情の良い伏線になっていたと思うんですが。1分もないほどの短いナンバーだから全体の尺の関係ですかね?それとも何か大人の事情かなあ。
加藤さん・小西さんファンにはちょっと残念ポイントかもしれません。
②酒場のダンス振付
全体的に振付がちょこちょこ変わっていましたが、「♪一杯の酒に人生を込めて」の振付はかなり変わりました。この曲の初演の振付は森川次郎さんでしたが、再演はキャストの一人の当銀さんに変更になりました。
アンリが女性とソロダンスする振付良いですよね。ビクターを元気しようと、ちょっとくらい無茶しようぜ!というアンリの健気さがより出ていると思います。
唯一のザ・ミュージカルっぽいシーンですが、ミュージカルらしさが強くなった感じがします。
③怪物とカトリーヌのやりとり
初演は怪物を手当てしようと恐る恐るながら自ら怪物に近づいたカトリーヌですが、再演は通りすがりに見つけたような演出に変更されました。正直これは改悪じゃないか...筆者は初演のほうが好きでした。
二人のやりとり自体も初演よりかなりテンポアップしています。
④闘技場火災のスモーク
初演は怪物が闘技場に火を放ったあとに出る煙の演出のスモークがかなりモクモク焚かれていましたが、再演はちょっと控えめ。おまけに初回公演はスモーク無しでした。かわりに燃えているようなライティングが強くなったかも?
怪物が一面のスモークの中にそそり立っている光景がなんとも不気味でなんとも悲しくて、もくもく焚いたほうが筆者は好きかなあ。
あのスモークって曲の最後のほうはD席くらいまで覆いくらい広がるので、劇場中にまで怪物の悲しみが広がっていくような感覚になるのが良かったなあ。
⑤ジャックの髪型
とさかみたいな髪型になりましたね。大した変更ではありませんが初演から見ている人がギョっとするポイントNo.1?
フランケンシュタイン!
本日17時開演‼️アンリ/怪物役の小西遼生さんとのペア初日です^ ^観にいらっしゃるみなさん‼️
また心で観劇くださるみなさ〜ん‼️
応援を宜しくお願いします🤲🤲↓2幕、怪物をごみ扱いする闘技場の亭主Jack。このコスチューム/ヘアスタイル気に入っています。お楽しみにっ‼️ pic.twitter.com/RtugPl5FPc
— 中川晃教 (@nakagawa1982aki) January 11, 2020
⑥ウォルターの髪型
個人的にめちゃくちゃ気になりました。なんだあの音楽家みたいなカツラは!
まとめ
色々書いてきましたが、再演はまだまだ始まったばかりです。初演時も千秋楽に向けてかなり変化していったので、今回も公演を重ねるごとに進化していくことでしょう!
再演についての現時点の感想は良い意味でも悪い意味でも大きな変更なしです。特に大きく改善された部分もなければ、悪くなったところもないかなぁ、という印象です。(役者さんたちの歌唱や役作りはもちろん進化していたけども)
とはいえフランケンが帰ってきたことが本当に嬉しい!作品の毛色的に2020年公演以降の再演が必ずしもあるとは限りません。2020年公演もまだまだ観劇しますが、一回一回を噛みしめながら観ないとなぁ...