
2020年公演、ついに初日が明けました
2020年ミュージカル『フランケンシュタイン』ついに幕を開けました。
筆者は初日の中川・加藤ペア、二日目の柿澤・小西ペアをとりあえず観てきました。全体的な感想・各キャスト・演出などについては今月おそらく大量に記事更新します。それほど素晴らしい再演でした。
再演で最も気になっていたことは、なんといってもやはりプリンシパル唯一の変更キャスト・エレン/エヴァ役の露崎さんです。本記事では露崎さんについての感想を書いていきます。
※初演の濱田めぐみさんと比較する感想がどうしても多くなってしまいました。印象の違いであって決して優劣の比較ではありませんが、キャストの比較があまり好きではない方はお気をつけてください。
ざっくりとした結論

顔写真つきのキャストボードやっぱりいいよね
一言で言うならばよかったです。すごく良かった!
ファン感謝祭のときに「その日に私が」を歌唱されている姿を生で拝見したのですが、その時は正直不安でしかありませんでした。歌唱面においてもお芝居の面においても。
せっかく待ちわびた待望の再演で唯一ひとつだけ気がかりだったことが新キャストの、しかもミュージカル初挑戦の露崎エレンの存在でした。
ここからはエレンとエヴァ、それぞれの感想を書いていきます。
エレンについて
まず何よりも最初に感じた印象はエレンがより一般人らしくなったということ。
ちょっと誤解を招きそうな表現ですね。決して冴えないモブ感が出たという意味ではありません。
濱田さんのエレンを思い返してみると、彼女はどこか少し浮世離れした不思議なオーラを纏った女性でした。
決して近寄りがたいわけでもないし冷たいわけでもないし。でもなんだかちょっと特別な雰囲気があるというか。これはフランケンシュタイン家の”亡霊”がなかったとしても、きっと彼女が生まれ持った特有の憂いだと思うのです。
一方露崎さんのエレンはどこにでもいる優しくて善良な弟想いの女性という印象。どこにだっている普通の人。
忌々しい過去がなければ、きっと村の女性たちと一切なんら変わらず気さくに和気あいあいと暮らしていた景色が目に浮かびます。
そこで気づいた。露崎さんのエレンが普通っぽいからこそビクターの狂気がより際立ってると!
露崎エレンの場合は「弟は狂ってるし、まともそうに見えるお姉ちゃんもちょっと独特なオーラがあるし・・・姉弟揃って変わりもんだわ」とはならない。
エレン、ルンゲ、アンリ、ジュリア。みんな普通の良い人たち。なのにどうして、なんでビクターだけが・・・ッ!と、ビクターの異常性や不揃いの悲しさがさらに際立つんですよね。
どこにでもいる普通の正しく善良な人々の中に偶然生まれてしまった不良品っぽさが更に強くなった。
だからこそ「狂った弟が真っ当に生きていくこと」を心の底から苦しんでいる様子がより辛かった・・・。
露崎さんのエレンは、ビクターのことは誰よりも理解しているつもりだけど、そんな自分にすら到底理解できない狂気の世界が実は彼の中に潜んでいることすらイマイチ気づいていないような印象を受けました。
エレンがあまりにも普通っぽいからこそ、弟を真に理解できない苦しみがより伝わってくる。
2017年初演と比較してビクターの狂気度がさらに高まっている印象(とくに柿澤さん)。
これはビクターのお芝居や演出の影響だけではなく、エレンが普通っぽくなったことも多いのでは、と考えています。
エヴァについて
全部の文字に濁点ついてそうな第一声の「まだ見つからないのかい!?」を聴いたときに、おぉ、そういう感じ!?と良い意味で驚きました。
濱田さんのエヴァと比較するとかなり下品になりました。もちろん褒め言葉です。
なんというか、「気に入らないことがあるとすぐに大声で怒鳴り散らすタイプだなこの人・・・」っていう風に、街中とかで声質を聴いただけでなんとなく想像できる人っているじゃないですか。まさにあんな感じ。
濱田さんのエヴァはコロシアムの経営者のマダム感と言いますか、ほんのりとゴージャスな雰囲気がありました。一方露崎さんのエヴァはなんだかものすごく育ちが悪そう。
虐げられて必死に這い上がってきた。だから自分もそうされてきたように他人を虐げる。貧困や暴力が生む負のスパイラルを感じる。
柿澤さんのジャックにもそんな背景をなんとなく想像します。だから露崎さんエヴァは柿澤さんとの相性がすごく良いなと。
1幕のビクターはジュリアやルンゲのように愛情が愛情を呼ぶような温かい人たちに支えられています。一方で2幕の怪物は暴力がさらなる暴力を生む環境で育った残虐な人たちに虐げられる。
殺らなきゃ殺られる殺伐とした育ちをしたであろうドスの効いた露崎エヴァは、この1幕と2幕の環境の対比がさらに際立って好きです。
この作品の小さなテーマのひとつに「育ち方」「育てられ方」みたいなものがあると感じています。
幼少期のビクターはもちろん、赤子のように愛情を愛情で返し暴力を暴力でかえす怪物もそうだし。この作品を観ていると、ひとりの人間が育つ環境や周りの人たちの属性ってすごく大事だよね・・・って強く思います。
まとめ

筆者は「笑ってよ。」がいちばん好きです
再演である意味いちばんの注目を集めていた(?)露崎さん。まず初回の2回観た感想では筆者はけっこう好きです。
とはいえまだまだ初日が始まったばかりです。どんどん変わっていくかもしれません。
初日公演の登場シーンの「平和の時代」は客席にも緊張が伝わるほどでしたが、終盤はすごく良かった。
いや、それだけでなく初回公演から二日目公演でさらに目まぐるしく進化していました。夜中に4公演くらいやってました?ってくらいの進化スピード。すごい。
そして、喉のペースを気にされているのか(?)かなり抑え目な印象を受けました。たぶん本気出したらスコーーンッ!と響くような歌唱だと思います。なんせ書初めが「体力温存」でしたから。
お芝居・歌唱、どちらにおいても千秋楽までにとんでもなく化けると思います。
というか、初日公演のカーテンコールでもうあと一歩で泣いてしまいそうな感極まった表情を見たら応援せざるをえないよ・・・
『フランケンシュタイン』のファンとしては、濱田さんのエレンが恋しい。どっちが良いとか悪いとかの話じゃないけど、やっぱりただただ恋しい。
日本版『フランケンシュタイン』の独特の艶っぽさは濱田さんがつくりあげた世界観だと思っています。でも濱田さんのエレンではなくてもビクターもアンリも、その他の人物たちも当然素晴らしいし、前述した露崎さんエレンが持つ良さもある。
でもやっぱり濱田さんのエレンをもう一度観たい。どうしてもそう思ってしまうよ。