加藤和樹 小西遼生 中川晃教 柿澤勇人 フランケンシュタイン

『フランケンシュタイン』どのキャストの組み合わせを選ぶべきか!(中川柿澤ビクター・加藤小西アンリ)

2019年8月3日

 

フランケンシュタイン

 

2017年1月に日生劇場にて日本初演され、色んな意味でこれまで観たことのない世界観と音楽に魅了された中毒患者を大量生産した作品です。

2020年1月に待望の再演が決定!イェイ!!

 

キャストはエレン役のみ変更となりましたが、メインのビクター役:中川晃教さん、柿澤勇人さん、アンリ役:加藤和樹さん、小西遼生さんは変わらず続投です。

ぼちぼちチケット先行予約が始まりましたが、

 

「ダブルキャスト、どの組み合わせみればいいのよおぉぉ」

 

と、フランケンシュタインを観たことのない人は迷っているはず!

ということで、筆者によるそれぞれのペアの特徴とオススメをお教えしましょう!!

 



 

まず前提:今作は一人二役

まず前提として、『フラケンシュタイン』はプリンシパルが全員一人二役を演じます。公演ごとに役柄が変わるのではなくて、1公演の中で様変わりします。

 

メインキャスト

①ビクター・フランケンシュタイン役
→後半は闘技場の主人ジャック役

■中川晃教さん

■柿澤勇人さん

②アンリ・デュプレ役
→後半は怪物役

■加藤和樹さん

■小西遼生さん

 

ちょっとややこしいですが、結局のとおり以下の4パターンの役者の組み合わせがあります。全キャスト制覇しようとなると、少なくとも4回観に行かないといけないわけですね。

 

キャスト組み合わせパターン

①中川ビクター・加藤アンリ

②中川ビクター・小西アンリ

③柿澤ビクター・加藤アンリ

④柿澤ビクター・小西アンリ

 

2017年公演でフランケン中毒になった人はおそらく全てのペアで最低3回くらいは観に行くと思うんですが、初見の場合は「さすがに4回も行かないでしょw」という人も多いと思うので、組み合わせ別の特徴とタイプ別のオススメを書いていきますよ。

 

※あくまで筆者が考える特徴なので、解釈違いはご容赦くださいね。

 

①中川ビクター・加藤アンリ

 

このペアの特徴

・最も対等で最も清い友情を感じられる
・ハッピーエンドの可能性を秘めてるかも?
・実は共依存かもしれない

 

まだ『フランケンシュタイン』を観たこと人にはネタバレになってしまうかもしれないですが、この作品は当然バッドエンドです。

このペアの特徴として筆者が感じるのは、4ペアの中で最も爽やかで、しかもバッドエンドの中でも最もハッピーエンドに一番近いところにいる気がします。

中川×加藤のペアだけは何故か、エンディング後にハッピーエンドになれる可能性がもしかしたら1%くらいあるんじゃないか?と感じるんですよね。

 

そして、このペアはビクターとアンリが対等な男同士という雰囲気がします。キャッチコピーの「美しき友情」が一番似合うペア。

「共同研究者」という言葉が最も似合う関係性だと思うんですよね。加藤さんも言ってましたが、共に歩んでる感があるんです。

ゆっくりとしっかりと、失敗も多いけど互いに励まし合いながら着実に進んでいく。そんな感じ。

2人がお互いをしっかり見つめながら同じ歩のスピードで足並みそろってるバディ!

 

そんなこともあってか最終的には、加藤怪物は中川ビクターに対しては憎しみ以外の感情の割合もかなり多い気がするんですよね。

ただの憎しみだけでなくて、ビクターへの憐みとか、ほんとにほんの少しだけ同情みたいなものも感じるような、ないような・・・

 

一方で、おそらく中川ビクターも怪物に対してかなり情けを持ってますよね。

怪物が命からがら逃げようとするときにビクターは怪物を銃で撃とうとしますが、加藤怪物に対しては本気で銃殺する気はなかったんじゃないかと思う。

 

そして、中川ビクターって柿澤ビクターと比べるとかなりまともな人間性を持ってそう。

『フランケンシュタイン』のストーリーでの中川ビクターは運が無くて全て悪い方の選択肢を選んでしまったがゆえにあのバッドエンドになってしまったのでは、と思わせるビクターだと思います。

「もしここでこの選択をしていなければ・・・」と思ってしまう連続が続くんですよね。

だからこそ、バッドエンドに対しては「なんでこんなことになっちゃったのよぉ~~!!(泣)」という思いが一番強いペアでもあります。

 

あと、この2人って実は最もお互いへの依存度が強いんじゃないかな・・・?加藤アンリは中川ビクターを支えてるつもりだけど、加藤アンリにとって中川ビクターは実は唯一の心の拠り所なんじゃないの?と考えてしまう。

 

ちなみに筆者はこのペアが一番好きです。あと、歌唱面で安定しているペアでもありますかね。

 

こんな人にオススメだよ

・爽やかな組み合わせが好きだ
・残酷すぎない切ないエンディングがいい
・男同士の友情モノに惹かれる

 

このペアの東京公演一覧

・1月8日  (水)18:00
・1月10日(金)13:00
・1月16日(木)13:00
・1月17日(金)18:00
・1月19日(日)12:00
・1月23日(木)18:00
・1月26日(日)13:00
・1月29日(水)18:00

 

②中川ビクター・小西アンリ

 

このペアの特徴

・最も純粋さを感じるペアが故に残酷
・自立しあったペア
・4ペアの中では実は異色かも?

 

陽の純粋さを持つ中川ビクターと陰の純粋さを持つ小西アンリ。

小西アンリって加藤アンリと比較すると、とにかく憂いが強いです。アンリって序盤はこの世の中の不条理さに絶望しきった状態でビクターと出会うんですよね。

加藤アンリはビクターと出会ってから徐々に天性の明るさの片鱗が顔を出してくるんですが、小西アンリの場合はビクターと出会った後もこの世に対する絶望はさほど変わっていないだと思う。

それもあってか、加藤アンリは「君がこの世の中を正しい世界に変えてくれ!」と、世界を変える救世主にでもなってくれという思いを感じる一方、

小西アンリは「この絶望的な世界を少しでもマシなものにしてほしい」という半分諦めのような暗い希望を感じる。

 

だから、中川ビクターに対しての小西アンリは、中川ビクターが持つ真っ直ぐすぎるところに虚しさみたいなものを抱いているんじゃないかと思います。

「どんなにビクターが世界を変えたいと思っても、人間の欲望がある限り絶望的な世の中が続くことにはなんら変わらないんだ」と、純粋すぎるがゆえに世界の醜さに耐えられない様子というか。

 

柿澤ビクターは世界を変えたいというよりも自分の実験を成功させたいという願望が強い一方、中川ビクターは自分の研究を通して本当に世界を正しい道に導きたいという考えが根底にあるんだと思います。

だからこそ、中川ビクターと小西アンリの純粋さの方向性が真逆すぎて悲しいんですよね。

 

中川ビクターって柿澤ビクターと違って、もしかしたら怪物とも上手く暮らしていく共存ルートもあったんじゃないかって思わせるじゃないですか。

加藤怪物となら上手くやれてたかもしれないけれど、小西怪物の場合はどう考えても最後はバッドエンドが待っているような気がしてならない。

前述したとおり、この作品って「ビクターがあのときこうしていればこんなことには」と思うシーンが多いんですが、中川ビクター×小西アンリは、中川ビクターがどんな最善ルートを選んだとしても絶対バッドエンドになってしまいそう。

それだけ小西アンリの絶大な負のパワーを感じるペアでもあります。

 

あとそうだ、例えば柿澤ビクター×両アンリは怪物になる前も想いのぶつかり合いが激しいんですが、この中川×小西ペアはなんだか二人ともお互いの方ではなくそれぞれ前を向いて進んでる感じがします。

そして歌唱面でも真逆ですよね。透き通るようなクリアな中川さんと少しハスキーな小西さん。

ちょっと夜のボート的なペアかな。

 

話がそれますが、この2人ってなんだかちょっと不思議なペアですよね?

正直、『フランケンシュタイン』と聞いてこのペアはあまり思い浮かべないです。

 

こんな人にオススメだよ

・あまり激しい憎しみ合いは好きじゃない
・小西アンリの負のパワーを味わいたい
・日曜は仕事で行けないんだよ・・・

 

このペアの東京公演一覧

・1月11日(土)17:00
・1月13日(月)17:00
・1月15日(水)18:00 ★
・1月18日(土)13:00
・1月21日(火)13:00
・1月22日(水)13:00
・1月25日(土)12:00
・1月27日(月)13:00

★:スペシャルバージョン

 



 

③柿澤ビクター・加藤アンリ

 

このペアの特徴

・母性溢れるペア
・最も激しくぶつかるペア
・前半が朗らかな分、後半のエグさ際立つ

 

このペアの特徴ですが、アンリに終始甘えっぱなしのビクターって感じですかね。

中川ビクター・加藤アンリが共に歩を進めるペアだとするならば、柿澤ビクター・加藤アンリは突っ走るビクターの後ろを優しくサポートしながら追いかけていくペア。

イメージですが、実験道具を両手いっぱいに抱えて研究室に向かって走るけど途中でモノを落としまくってるのに気付かないビクターと、それを笑って拾いながら歩いて付いていくアンリって感じですよね。

 

ただ、前半そんなフワフワした雰囲気のせいか、後半のエグさが際立つペアでもあるんですよね・・・

ちなみにこのペアで筆者が最も好きなシーンは生まれたての怪物に対するビクターの反応。

怪物のような人ならざるモノを生み出してしまったことにまだ気づかない柿澤ビクターは、明らかに挙動がおかしい怪物のことを「蘇生直後だからまだ上手く喋ったり歩いたりできないだけのアンリ」だと思ってるんですよね。

だから動物のような状態の怪物を、まるで赤ちゃんをあやすみたいに「こっちにおいで、大丈夫だよアンリ」と、まるで小さくて可愛いペットとか赤ん坊に対する愛おしさみたいなのが滲み出てるんですよ。

柿澤ビクターは生まれたての怪物を自分の手で生み出した可愛くてしょうがない成功体第一号として捉えてるんですよね、きっと。

嬉しくて嬉しくてたまらないみたいに、ちょっと薄ら笑いを浮かべてる狂気。

前半の母性感じる加藤アンリと無邪気な子供っぽい柿澤ビクターの暖かい関係性が、このシーンで一気に崩壊するんですよ。

虚しいような、不気味なような、なんとも言えない気分になるんですよね。

 

ちなみに筆者はこの柿澤×加藤のペアが『フランケンシュタイン』と聞いて最初に思いつくペアでもあります。

この作品って「激しさ」みたいなものが大きな特徴のひとつだと思うんですが、このペアがたぶん最も激しい。身体的な意味での動きも一番多いだろうし、心理的な意味での起伏も一番大きい。

前半は比較的朗らかなペアですが、そのせいもあってか後半のエグさが目立つ2人ですよね。

 

こんな人にオススメだよ

・無邪気少年と母性お兄さんの関係性が好き
・朗らかさとエグさのギャップすら楽しめる
・やっぱり日曜は仕事なんだよ・・・

 

このペアの東京公演一覧

・1月11日(土)12:00
・1月13日(月)12:00
・1月15日(水)13:00
・1月20日(月)13:00
・1月21日(火)18:00 ★
・1月25日(土)17:00
・1月27日(月)18:00
・1月28日(火)13:00

★:スペシャルバージョン

 

 

④柿澤ビクター・小西アンリ

 

このペアの特徴

・禁忌を犯す最もセクシーなペア
・救い、なし!
・怪物の憎しみ断トツのNo.1

 

この組み合わせはなんだかセクシーさを感じます。一番アダルトな雰囲気のするペアですよね。

「禁忌を犯した人体実験」という言葉が最も似合うと思うんです。

かつ、絶望とか憎しみとか、『フランケンシュタイン』が持つ残虐さが際立ちすぎてます。

2020年公演で初めて『フランケンシュタイン』を観る人はこの作品の評判をたぶんたくさん聞いてますよね。で、中には「そんなに残酷な作品なら観てやろうじゃないの!」っていう変態もいますよね。

そういうタイプはこの組み合わせをオススメしますよ。ただでさえ容赦のない世界観の容赦さなが限界突破してますから・・・

 

そして、小西さんが「ビクターへの憎しみは中川ビクターより柿澤ビクターの方が圧倒的に強い」と言っていた通りです。

あまり書くとネタバレになるので表現をぼかしますが、ラストに怪物とビクターが対峙するんですよ。

その時の小西怪物の柿澤ビクターに対する姿勢は、このペアに関しては憎しみ100%である気がします。

他のペアでの怪物はほんの少しだけ憐みとか哀しみとか、まだ違う感情も抱いてそうなんですけどね。このペアは完全に憎しみしか感じない。

小西怪物を生きながらえようとするエネルギーの源は、120%柿澤ビクターへの復讐心なんだと思います。

 

そして、この組み合わせの小西アンリってなんだか最初から既に最悪の未来にどこか勘付いている雰囲気がありません?

だから♪一杯の酒に人生を込めてという、アンリがビクターに「酒飲んで酔って歌って騒ごうぜ!」と元気づける明るいシーンがあるんですが、ここでさえなんだか哀愁漂ってる。

 

とにもかくにも残酷度No.1のペアだと思います。

このペアに関してはバットエンドは「そりゃそうなるよね」と謎の納得感がある。

 

こんな人にオススメだよ

・飛びぬけた残酷さを期待している
・セクシーな大人の友情が好きだ
・バッドエンド愛好家

 

このペアの東京公演一覧

・1月9日  (木)13:00
・1月12日(日)13:00
・1月17日(金)13:00
・1月19日(日)17:00
・1月23日(木)13:00
・1月29日(水)13:00
・1月30日(木)12:00

 

以上、4ペアの特徴でした!

 

筆者のオススメの組み合わせ!

ちなみに筆者は前述したとおり「中川ビクター×加藤アンリ」が一番好きです。

初演で観た回数が多いこともあってか、アンリといえば加藤さんのイメージがどうしても強いのと、やっぱり中川さんの「偉大なる生命創造の歴史が始まる」が聴きたいんですよね!

もちろん柿澤さんのビクターも好きだけど、この曲はやはり中川さんで聴きたい。

ミュージカルってやっぱり楽曲ありきですから、ミュージカル作品として観るなら絶対にこのペアかな。

 

逆に、『フランケンシュタイン』という作品の世界観を楽しむなら「柿澤ビクター×小西アンリ」が好きです。

残虐さ、おぞましさ、救いのなさ、人間のエゴ、尽きることない欲望、などなど、この作品のテーマがこれでもかというほど詰まりきったペアですよね。

 

でも結局のところどのペアもやっぱりそれぞれの良さがあることは間違いないです。だから2020年公演から観る人は試しに1公演と言わずにせめて2公演は観て欲しい!

 

少しでもペア決定の参考になれればと思います。

おしまい!

 

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