日本のミュージカル界を担うミュージカルスターたちがミュージカルナンバーを豪華歌い上げるコンサート。
普段あまりミュージカルスターのコンサートには足を運ばないのですが、あのイ・ソジョンさんが出演されるということで潜入してきました。
イ・ソジョンさんは『ミス・サイゴン』のキム役で韓国人で初めて本場アメリカのブロードウェイミュージカルの主演に抜擢された女優さんです。
韓国は本当にミュージカルのレベルが高いですよね。強い声帯を持っているという国民性に加えて、国を挙げてミュージカルというエンタメを盛り上げているだけあります。
そんなイソジョンさん来日公演でもありますし、その他のメンツもかなり豪華&歌うまだったので足を運んでみました。
Brand New Musical Concert 2019
<出演者> ※2019年8月10日公演
・中川晃教
・加藤和樹
・伊礼彼方
・藤岡正明
・イソジョン
・山野靖博(コーラス)
<会場>
<セットリスト>
★1幕★
[LA LA LAND]
・Another Day of Sun
全員
[Catch me if you can]
・Fly Fly Away
藤岡正明
[GOLD]
・Field of Angels
伊礼彼方
[モーツァルト!]
・愛していれば分かり合える
中川晃教 イソジョン
・僕こそミュージック
加藤和樹
・影を逃れて
中川晃教
[ミス・サイゴン]
・命をあげよう
イソジョン
・神よ何故?
藤岡正明
[エリザベート]
・最後のダンス
伊礼彼方
[タイタニック]
・The Proposal/The Night was Alive
藤岡正明 加藤和樹
[RENT]
・What You Own
伊礼彼方 藤岡正明
・Seasons of Love
全員
★2幕★
[ジャージー・ボーイズ]
・メドレー
中川晃教 加藤和樹
伊礼彼方 藤岡正明 山野靖博
[怪人と探偵]
・世界で一番綺麗な宝石
中川晃教
・真実の鏡
加藤和樹
[レ・ミゼラブル]
・彼を帰して
藤岡正明
・Stars(スペイン語版)
伊礼彼方
[ロミオ&ジュリエット]
・本当の俺じゃない
加藤和樹
[Stop!Look!Listen!]
・I Love a Piano
イソジョン
[グランドホテル]
・Love Can't Happen
伊礼彼方
[フランケンシュタイン]
・ただ一つの未来
中川晃教 加藤和樹
・君の夢の中で
加藤和樹
・偉大なる生命創造の歴史が始まる
中川晃教
[ジキル&ハイド]
・This is the Moment
伊礼彼方
[The Greatest Showman]
・The Other Side
中川晃教 藤岡正明
・This is Me
全員
中川晃教さん
相変わらず歌が上手かった。いや本当に上手い。
中川さんの歌唱は『モーツァルト!』『怪人と探偵』『フランケンシュタイン』などほとんど自身の持ち歌でした。
そのせいもあってか、中川さんはミュージカルではなくコンサートであっても観客をグっと作品の世界観に引きずり込むのが本当に達者。
1幕前半の『モーツァルト!』の”影を逃れて”なんて、たぶんこの日で断トツの爆音拍手でした。
かなり天井の高いホールだったのですが、実際に観客が座っている一階席だけでなく天井いっぱいまでぎっしりと観客がひしめいているかのような錯覚に陥りました。
それくらい会場中に拍手と歓声で満ちていたなぁ。実際すごかったもん。たぶん会場の温度が2度は上昇した。
中川さんの僕こそミュージックはテレビやコンサートなどで聴いたことがある人が多いと思いますが、影を逃れては結構珍しいかも?
2019年秋上演の新作ミュージカル『探偵と怪人』からも初出しの楽曲”世界で一番綺麗な宝石”を披露。世界に一つだけの花・・・ではなく、愛という名の宝石を盗んだ怪人の心情を歌った曲だそうです。
スリルサスペンス作品なのかなと予想していたのですが、楽曲の雰囲気からして結構ジャジーでロマンチックなテイストの作品なのかな?
一回聞いただけでは「おお!!良い曲だ!!」とは正直ならなかったのですが、中川さんにとても合っている楽曲だなと思いました。
『探偵と怪人』観に行った方がいいですかね?うーん、迷い中。
『フランケンシュタイン』からは、”ただ一つの未来”と”偉大なる生命創造の歴史”が始まるの2曲。
やぱり『フランケンシュタイン』の楽曲たちってかなり浮いてるよね!いや、もちろんいい意味です。
それまでしっとりとした大人のバラードやロックテイストの乗れる曲だったり、いかにもミュージカルコンサートという雰囲気だったのですが、フランケンパートに入った瞬間、会場の空気がガラっと変わりました。
照明も何故かいきなり本気だしてきた。”ただ一つの未来”はミュージカルの中では実験体が4体並んでいる中で歌唱される曲なのですが、それを再現するかのように背景に4つの大きな光源が常にチカチカと光る演出でした。
”偉大なる生命創造の歴史が始まる”は、2017年1月の公演から2年半経ったこともあってか相当クセが強くなっていた笑
もうちょっとストレートに歌ってほしいな・・・とちょっと思ったり思わなかったり。
衣装はいつもの中川さんにしてはかなり落ち着いた感じのシックなスーツ・・・かと思いきや2幕後半はノースリーブでした。
藤岡さんに、袖引き千切られたのか?みたいにツッコまれていたのが面白かった。
全体的にMCっぽい立ち回りをしていたので、ご自身のお話というよりは場を回すことを意識されていたかな?通訳さんありとはいえ日本語がわからないイ・ソジョンさんへの些細な配慮と気配りが素晴らしかったです。
中川さんは男性にも女性にも、生きとし生けるもの全てにジェントルマンなところが大好きですよ、筆者は・・・
加藤和樹さん
Brand New Musical Concert 2019初日、無事に終わりました!来てくれた皆さんありがとうございました!楽しんでいただけましたか?自身、初のミュージカルコンサートということでドキドキでしたが、ライブ、ミュージカルともまた違った空気感に包まれました。
明日は田代万里生さんを加えて2回公演! pic.twitter.com/iwLaXOh10Q— 加藤和樹 (@kazuki_kato1007) August 10, 2019
相変わらず男前でした。
中川さんとは打って変わって、特に1幕はご自身の持ち歌が一切なかったのでちょっと大変そうだった。
とくに『モーツァルト!』の”僕こそミュージック”は日本のモーツァルト役のレジェンドと言っても過言ではない中川さんの目の前で歌う緊張感についてはその後のMCでも語ってました。
筆者が作品のファンだからということもあるかもしれませんが、やはり『フランケンシュタイン』の”君の夢の中で”が聴けたのは感無量でした。
この曲、2017年の日本公演以来『フランケンシュタイン』の出演者が自分たちのコンサートやライブで相当歌っているナンバーです。
それほど観客だけでなく出演者の心にも残った素晴らしい楽曲なわけです。が、実際にこの曲を劇中で歌唱するアンリを演じた加藤さんによる歌唱は2017年以来初めてでした。
やっぱり本物はいいね!筆者の中ではやはりアンリ・デュプレ=加藤和樹さんなのです。
逆に、ジャージー・ボーイズメドレーでは加藤さんは唯一、本公演に出演していない中での歌唱だったせいか、ちょっと居心地悪そうでした笑
今回のコンサートは中川さん・伊礼さん・藤岡さんなんていう自由人たちが多かったので加藤さんはちょっと控えめな感じでした。ファンの方はちょっと物足りなかったかも?
この手のミュージカルコンサートへの出演は今回が初めてだそうです(意外!)そのせいか緊張していたのかもしれません。
筆者としては、これだけ自由で各々のワールドが確立している人たちに囲まれながらも、常に周りに気を配って周囲を立てようとする加藤さんの本領発揮回(笑)でもあったので、これはこれで加藤さんらしい大和撫子感を楽しみました。
これだけ年間相当数のミュージカルに出演されているのに、ミュージカルコンサート出演は初めてというのは結構驚き。
これだけ歌うまメンツの中でも全く浮いていなかったので、加藤さんもこれを機に「歌手・俳優・声優」ではなく「ミュージカル俳優」として今後も活躍してほしいです。
伊礼彼方さん
BRAND NEW MUSICALにお越しくださり誠にありがとうございました。
無事に幕が開きました。
あっという間に終わってしまうのがもったいないですが、それがライブやコンサートの醍醐味。
楽しんで頂けてたら幸いです。
明日も全力で! pic.twitter.com/LkVt655Gkm— 伊礼彼方 Kanata Irei (@irei_kanata) August 10, 2019
こんなに陽気な方だったんですね!笑
出演作はもちろん観たことあるのですが、フリーなトークをしている姿は実は初めて見たかもしれません。クールなイメージだったのですが、良い意味で裏切られました。面白い人でした。
アルゼンチンと日本、2つの故郷を持つだけあって異国情緒感じる歌唱。とくに『エリザベート』の”最後のダンス”の熱気凄かったです。
こんな暑苦しいトート嫌だ(笑
ウソウソ、冗談です。クラシカルでゴシックな楽曲の多い『エリザベート』の中で唯一のロック調の楽曲を、これでもかというほどロックな熱風感じる楽曲に様変わり。
黄泉の帝王というかギャングの帝王?マフィア?なんだかそんな感じ。葉巻吸ってペルシャ猫飼ってそうなトートだ。ルドルフの「猫をころした」でマジめの説教始めそう。
以前どこかの記事にも書いたのですが、伊礼さんはそのうち本当にトート役やりそうですよね?トートといえばウェーブのかかったロングヘアーですが、伊礼さんのトートはリーゼント似合いそうですね。
『レ・ミゼラブル』からスペイン語版のStarsとして"Estrellas"も歌唱していました。ご自身のアルバムEleganteに収録されているバージョンですね。
異国情緒あふれるジャベール警部も素敵でしたが、Starsはやはり日本語で聴きたかった。
伊礼さんは今回のコンサートでミュージカル界の貴族担当と言っていましたが、革命家とか兵士のように頬に土埃が付いてそうな渋い役も似合うと思うんですよね~。
話は逸れますが、宝塚で公演されている『チェ・ゲバラ』がもし東宝作品化されたら主演は伊礼彼方さんと上原理生さんのダブルキャストになると予想してます。間違いなし。
藤岡正明さん
Brand New Musical Concert2019
お越し頂いた皆様ありがとうございました!
残念ながら来られなかった皆様応援ありがとうございました! pic.twitter.com/q5jOsRx43L— 藤岡正明スタッフ (@fujiokaschool22) August 11, 2019
中川さんに続き、相変わらず歌が上手かった。
今回のコンサートでは『ミス・サイゴン』の”神よ何故?”、『レ・ミゼラブル』の”彼を帰して”のように神に祈る系ナンバーが多かったです。
伊礼さんの「貴族役担当です」に続いて藤岡さんは「労働者役担当です」と言って会場を沸かせていました。本当に藤岡さん以上に労働者役が似合うミュージカル俳優いないと思います。
『タイタニック』の”The Proposal”も歌唱していましたが、『タイタニック』は藤岡さん演じるバレットがいるかいないかで作品の完成度が大きく変わってくるんじゃないかな?と思ったほどのハマリ役でした。
「ミュージカル界のプリンス」とは正反対の立ち位置にいる役者さんなんですが、なぜかバツグンに存在感のある不思議な人ですよね。
非日常の頂点とも言えるようなミュージカルというエンターテインメントの中で際立つ、藤岡さんの芝居のリアリティと人間味。
この世に見放されて荒みきった精神で地を這いながら必死に生活しながらも、心の奥底には神に祈る純粋さがずっと残っている・・・みたいな役が最高に似合うんですよね。
筆者的にはジャン・バルジャンを演じて欲しい役者不動のNo.1なんですが、体格的にたぶんできないのが残念でしょうがないです(マリウスを担げないといけないから)
中川さんとは同い年かつデビュー同期ということで、かなり仲良さげにトークしていました。中川さんがこんなに(いい意味で)雑に誰かを扱うのって相当レアですよね。いいもの見れました。
中川さんが藤岡さんに「マサ、ホント歌上手いよね」と言っていて会場の誰もが心の中で同じツッコミしたはず。
最後にイ・ソジョンさんに英語で「今日のコンサートどうでした?」とさらっと聞いていたのがかっこよかった。惚れました。
イ・ソジョンさん
韓国から来日してくださったミュージカル女優さん。
前述したとおり、18歳で渡米し、『ミス・サイゴン』のキム役を射止め韓国人として初めて本場ブロードウェイで主演を張った女優さん。
確かにめっちゃくちゃ上手かったんだけど、正直ちょっとよくわからなかった。あまりにも上手すぎて筆者の脳を超えていたのかもしれません。
本場ブロードウェイの歌唱を普段から楽しんでいる方には堪らない絶品の歌唱なんだろうと思うのですが、日本のミュージカル界にどっぷり浸かっている自分にはいまちいピンとこなかった。
中川さんとの『モーツァルト!』の”愛していれば分かり合える”のデュエットは日本語で披露されました。ちょっと大変そうだった。
その後に英語で歌唱された『ミス・サイゴン』の”命のあげよう”はやはり素晴らしかったです。本役かつ慣れている言語での歌唱なだけあって最高でした。
これを機に日本の作品にも韓国人の方もどんどん出演してほしいですよね。韓国ミュージカルって男性も女性もほんとに全員ありえないくらい歌上手いですから・・・
イ・ソジョンさんの公式サイトはこちら
感想まとめ
実は行こうかどうか迷っていたのですが、行ってよかった!
この手のコンサートってMCパートが多い印象だったのですが、今回のコンサートはMCは(いい意味で)最小限でした。
時間ギリギリまでとにかくミュージカルソングを届けることがコンセプトだと感じました。
そして、ミュージカルソングの中でも王道中の王道の楽曲から少しマニアックなものまで、演者のファンであってもミュージカル自体のファンであっても、ミュージカルが好きな人なら誰でも楽しめるセットリストになっていました。
ここまで良質なセットリストのミュージカルコンサートは久しぶりでした。
ミュージカルコンサートと題しつつ「ここで一曲、日本の昔ながらの名曲を・・・」なんて、しれっとミュージカル関係ない楽曲始まったりするコンサート多い。
「いや、ミュージカルの曲を聴きに来たんだよ!」とツッコミしなくていいコンサートは最高です。残念ながら田代万里生さん不在の回でしたが大満足でした。
和洋折衷の色とりどりの料理が次から次へと運ばれてくる、世界中のフルコースを楽しめるようなコンサートでした。
筆者がレポした今回の8/10分は衛星劇場さんで放送されるそうなので是非チェックを!
🎊新着情報🎊
Brand New Musical Concert 2019✨
【収録日】8月10日(土)CS放送局 #衛星劇場 にて
2019年10月放送決定💕#中川晃教 #加藤和樹 #伊礼彼方 #イ・ソジョン #藤岡正明 #山野靖博(#Chorus)指揮 #井村誠貴
演奏 #ブランニューチェンバーオーケストラ
視聴案内 https://t.co/6znoCZZr5r— CSチャンネル 衛星劇場 (@EISEI_GEKIJO) August 10, 2019
おしまい!