ミュージカルのチケットを初めて買う人が最初に迷うことの代表例のひとつ。それがどの座席のチケットを買えばいいか?だと思う。
S席やらB席やら、何が違うの?一番高い席買えば一番楽しめるの?それとも、一番安い席でも十分楽しめるの?自分も観劇初心者の頃はよく検索しました。
なんて言われてもピンとこない。大金払って一番高いS席を買うべき?それともお手頃価格のB席?
そこで本記事では、観劇初心者向けに座席の種類についてと、タイプ別にどの種類を購入すべきかについて書いていきます。
もくじ
ミュージカルのチケットって誰でも買えるの?
誰でも今すぐ買えます!
「チケットぴあ」「イープラス」など、一般的なチケット販売サイトからでももちろん購入可能ですし、劇場に直接行けば劇場で当日券も販売してます。
なんとなくイメージとして、ミュージカルのチケットって何か親しみのない特殊な販売方法があるのかと想像する人も多いかもしれません。しかし実際はまったくそんなことはなく、コンサートやお笑いのチケットの購入とやり方は全く一緒。
また、会員費が必要ですが劇団四季や東宝の公演チケットをいち早く安く購入できるサイトもあります。こちらについては後ほど詳しく説明します。
チケットの価格はどれくらい?
チケットは座席の位置によって値段が違います!
観たい!と思う公演があったらチケットぴあやイープラスなどのチケット販売サイトを覗いてみましょう。すると、座席のランクに応じてチケットの価格が異なることがわかるはず。
まず大前提ですが、小劇場を除いて東宝・劇団四季・宝塚などほとんどのミュージカルには座席の種別というものがあります。劇場の規模にもよりますが、だいたいこんなかんじ。
例1
『レ・ミゼラブル』帝国劇場公演
●S席:14,000円
●A席:9,500円
●B席:5,000円
例2
『アラジン』劇団四季公演
●S席 :12,000円
●A席 :8,000円
●B席 :6,000円
●C席 :3,000円
例3
『王様と私』(特殊な公演)
2019年夏上演のケリー・オハラ×渡辺謙による『王様と私』はケリー・オハラ来日公演ということもあり、なんとSS席:19,000円で、一番安いB席ですら9,000円。
●SS席:19,000円
●S席 :15,000円
●A席 :12,000円
●B席 :9,000円
ケリー・オハラと渡辺謙を生で、しかも日本で観れるなんて安いもん・・・なのかどうかはよくわかりません。
価格はわかった、じゃあ実際の座席の位置は?
例えば、S席・A席・B席の3種類に分類されている公演で、全部で1800席ある劇場を想定とすると、3等分されてそれぞれ600席ずつあると思いません?
自分は最初そう思ってましたが、実は全然違うんです。
なんとS席は全体の60%以上を占めてます。A席は約27%と3割にも満たず、B席にいたっては約10%。つまりミュージカルの席はほとんどがS席なのです!
いやいや、S席って1割くらいの選ばれしガチ勢の席じゃないんかい・・・というツッコミは置いておいて。
なので、とりあえずA席を買っておけば前と後ろから数えてちょうど半分くらいの席で観れるんじゃない?なんて思ったら危ない。A席でも2階席以上になることが多いのでご注意を。
ちなみに、B席→A席→S席の順で完売になることがほとんどで、当日券もB席・A席は完売で、S席だけちょっとだけ残っているというパターンがいちばん多いです。B席が速攻で完売してしまうのは、単純に席数が少ないこともあるし、何度もリピートして同じ作品を観る人は比較的安いB席を狙うためです。。
最上級席であるS席がほぼ半数を占めている現状についてはコチラの記事に書いています。
観劇タイプ別のオススメ座席
では、座席の感覚が掴めたところで、タイプ別にオススメ席を書いていきます。
30才女性
とにかくコスパの良い席で観たい!
高値を払って最大限楽しむ、というよりかはどちらかというと、そこそこの値段で8割楽しめればいいや、というタイプの方にはA席をオススメします。
というのも、たしかにB席(場合によってはC席)は最も安価ではありますが、肉眼で役者の表情まで観ることはできないですし、やはり臨場感という意味ではS席やA席と比較するとだいぶ落ちてしまいます。
逆にS席を購入したとしても前の方の席ではあるがかなり端っこの席になってしまう可能性もある。
となると、観劇後に「1万円札でおつりが返ってくる価格でコレなら十分もとは取ったよね!」と最もコスパの良さを感じられるのはA席だと思います。
25才女性
憧れの○○さんがミュージカルデビュー!○○さんをかぶりついて見たいわ!
全体のフォーメーションを楽しむ大人数でのダンスや豪華な舞台セットは二の次、とにかくお目当ての役者が観たいのだ!というタイプはずばりS席をオススメします。
いわゆる「かぶりつき」と言われる観劇スタイル。
A席やB席を買ってしまうとお目当ての役者の額から滴る汗を見逃すかもしれません。ぜひS席を買って舞台から近い席を狙いましょう。
「でも特定の俳優だけ目で追ってたら周りの席の人に変に思われないかな・・・」という方。
大丈夫です。最前列でオペラグラス抱えてる怪しい人、結構います。
35才男性
高値でもいいからとにかく1番いい席で観たい
チケットは高くてもいいから、とびっきり一番いい席で観たい!というタイプ。
正直、一番難易度が高い。ミュージカルファンは9割このタイプといってもいいくらい。そりゃあみんな多少高くても最も良い席を狙いにいきます。
前述したとおり、S席・A席・B席は全座席が3等分されているわけじゃなくて半分はS席に偏ってます。ですので、たとえS席を購入したとしても1階最後列だったり2階席だったりすることもよーくある。
つまり、S席のなかにもとびっきりの良い席や値段の割りにそうでもない席があるわけです。
例えば1階席が全てS席の公演だった場合、上図の2つの星の座席は観え方や迫力は段違いですが同じS席なので価格は一緒。
なんて非情な世の中なんだ・・・
S席の中でもとびっきり良席チケットを確保するには?
ずばり、チケット先行予約を活用しよう。
当然と言えば当然ですが、S席のなかでも良い席から順にチケットは売れていきます。
人気公演の評判を耳にして「観てみたいな、行ってみようかな」と思った時からチケットを確保しようと思っても良席はほとんどゼロといっていいほど残っていません。
公演期間が始まってからチケットを確保しようとしても時すでに遅し!
つまり、逆に言えば先手を打つことが重要!
チケットの販売は大体は先行予約・先行販売が終わった後に一般販売が始まります。ちょっとでも気になる・観てみたいかも、という公演があったならば、先行予約の抽選に申し込もう。
先行販売・先行予約抽選申込みの方法
チケットの先行販売・先行予約の4つの方法を紹介します。
①「チケットぴあ」「イープラス」などの一般販売サイト(無料)
会員登録無料の一般チケットエージェンシーにも、先行予約や先行販売があります。どうせ買うなら公演期間が始まってからではなく、公演の数ヶ月前に先行予約を申し込もう。
②劇団四季「四季の会」(有料年会費あり)
劇団四季の公演を観たいのであれば、ぜひ会員登録をオススメ。
劇団四季公式の劇団四季自体のファンクラブのようなものです。会員費はコースにもよりますが、年間2,000円とかなりお得。毎月郵送される会報誌も手に入ります。
③東宝ナビザーブ(無料)
東宝の公演を観たいのであれば、ぜひ会員登録をオススメ。しかも無料!
四季の会のようなファンクラブというよりは、チケット販売に重きを置いたサイト。会報誌などはなく、メルマガ配信のみ。そこは無料なので当然と言えば当然。
ちなみに「東宝ってなによ、映画じゃないの?」と思われるかもですが日本のミュージカルは劇団四季、宝塚、東宝の3本柱によって支えられていると言っても過言じゃないくらいの主催団体です。東宝系ミュージカルの代表例といえば『レ・ミゼラブル』とかが有名ですかね。
ミュージカル好き同士の初対面では「お前どこ中?」みたいなノリで「宝塚?東宝?」と聞きあうのが流儀なのです。(ウソ)
④役者のファンクラブ(有料年会費あり)
若干邪道な気もしますが、役者のファンクラブ限定会員のチケット先行予約で確保する方法。
ミュージシャンのライブチケットなんかと一緒で、役者のファンクラブにはファンクラブ先行予約や先行販売がができます。ファンクラブに入るのは若干ハードルが高いような気もしますが、なんやかんやで良い席をゲットするための一番確実な手段な気がする。
もちろん、ファンクラブでの先行=確実いい席を確保できる、というわけじゃないです。というか、人気公演なら普通に抽選外れる。そんなに外れることないんじゃないの?ひどくない?ってくらい外れる。
お気に入りの役者に運命的に出会ってしまって、今後もこの人の公演を観るわ!という人はいっそファンクラブに入ってしまうのもいい手です。
ミュージカル役者のファンクラブは個々の差はあるものの、年会費4,000円~6,000円くらいが相場。
別に特段好きな訳じゃないけど人気公演に出まくる売れっ子役者だからファンクラブ入っているのよ、というツワモノも結構いるとかいないとか。
ちなみにファンクラブによっては1列まるまるそのファンクラブでチケットを確保している場合があるので右も左も皆おなじファンクラブ会員、なんてこと結構あります。
その俳優が登場するやいなや、1列全員同じタイミングでオペラグラスを抱えて野鳥観察のごとく同じ方向に首を動かすのでちょっと怖い。
さらに細かい話
舞台最前列から最後列までの縦の座席にはこれまで書いたとおりランクがあります。価格差はないものの横の座席にも分類があるのです。
多くの劇場はセンターブロック、右サイドブロック、左サイドブロックの3つのブロックで形成されています。
当然、センターブロックが一番オススメです。
ミュージカルはどの角度から見ても楽しめるようにつくられているとはいえ、やはりセンターの席だとダンスのフォーメーションも綺麗ですし、迫力があります。
そしてセンターブロックからチケットはどんどん売れていくので、チケットを選んでいる時によく下図のような選択を迫られる事がある。
9列目サイドブロックの席 or 20列目センターブロックの席
これはもう完全に好みの問題ですが、多少横からの確度になってもいいから舞台を近くに感じたい!か、多少後ろになってもいいからセンターの座席で観たい!のどちらのタイプであるかによると思う。
ちなみに自分なら20列目センターブロックの方の席を選びます。
ちなみに、帝国劇場ほどの大劇場になるとさらに「サブセンターブロック」なるエリアもあります。
で、結局一番いい席はどこなの?
結局最もいい席はどこなのかと言うと、個人的見解はずばりここです。
赤いエリアが1番オススメです。
好きな席選んでいいよと言われたらミュージカルファンの8割はこのエリアを選ぶと思います。
理由としては、近すぎず遠すぎないので役者の表情も舞台全体も観ることができることと、舞台から真正面なのでまるで自分のために上演されているかのような感覚を楽しめること。
端っこの座席には端っこの座席の良さがもちろんあるけども、やっぱり置いてけぼり感というか疎外感みたいなものをほんの少し感じたりする。
座席を指定して購入できる公演もたくさんあるので、もしこのあたりのエリアに空席があったらぜひここで観て欲しいです。
S席はお金持ちの特権?
座席のランクによって価格が異なるこのシステムにはちょっと持論があるのです。
これまで書いてきたとおり、ミュージカルや舞台のチケットは座席ごとにランクがあり、ランクに応じて値付けされています。このシステム、お金が無い学生とかにはあまり好まれないかもしれないけど、個人的には本当に素晴らしい仕組みだと思う。
観劇が本当に好きで、たったの3時間に1万円以上消費してでも良い席で観たいのだという人はそれ相応の席があるし、大金払うのはハードル高いけどこの値段なら観劇デビューしてみようかな、という人にはある意味体験価格として手の届きやすい席がある。
東京ドームのコンサートなんて最前列の最後列で何十メートルもあるのに値段一緒なんですよ。本当に同じ価格で販売すべきものなの?と常々思ってしまう。
お金のない学生の頃は全席抽選一律価格にしてくれれば自分も前の方で観れるのに、と指をくわえて観てました。学生の自分にこのシステムの素晴らしさを語ったら「じゃあお金が無いなら良い席で見るなっていうの?」と反発されそうですが、その通りなのです。
観劇は生き物として生きていく上で無くても全く問題ない「娯楽」であることには間違いありません。
でもその娯楽にさえ、毎日一生懸命働いて手にしたお金をたくさん使ってでも良い席で観劇したいのだ!という人たちで連日日本中の劇場が埋め尽くされるほど観劇は楽しく中毒性のあるものなのだと思います。