カーテンコールの最中にしょっちゅう思うことがあるがあります。そんな毎公演スタンディングオベーションしなくてもいいんじゃないのと。
本来スタンディングオベーションとは、ハイクオリティな公演に対しての賞賛です。しかし実際のところは、公演のクオリティに関係なくスタオベが行われており、もはや慣例となってしまっている現状があります。
「3回目のカーテンコールで立つ」という”暗黙の流れ”みたいなのが出来上がっちゃってますよね。
物語が終わった後にキャストが順番に出てきて客席に向かってお辞儀をして、客席は精一杯拍手をする。カンパニーが舞台袖に引っ込んでは舞台に戻り、また引っ込んでは戻り・・・というお決まりが数回繰り返されます。
でも正直なところ、スタンディングするほどでもないと思ってしまう公演も残念ながらあります。周りの観客もそう思っているはず。でも自分も含めてやはりスタンディングしてしまいます。
もくじ
そもそもスタンディングオベーションとは
スタンディングオベーション(英: Standing ovation)は、演奏会やスポーツなど人が集まるイベントなどで、観客が立ち上がって拍手を送ることである。素晴らしい演奏や演技、プレーに感動した観客による最大限の賛辞である。昔日本語では満場総立ちと表現することがあった。逆に非難する場合は、ブーイングが用いられる。
辞書的な定義では「素晴らしい公演だと思ったから立って拍手を送り賛辞を表する」ということですね。感動を現す最大限の賛辞だそうです。
もちろん筆者の認識も辞書通りの意味です。だからミュージカルに通い始めたころに違和感があったことをよく覚えています。
と思いましたが、色々な公演を観ていくうちになんとなく悟った。なんか毎回してない?と。
もちろんほとんどの作品は素晴らしいものばかりです。でも本当に稀にですが1万円以上のチケット代に値するのかどうか疑ってしまうような公演に遭遇してしまうこともあります。
「カカロットー!!こんな作品でスタンディングするなーっ!!」と思ってしまう。会社で気に食わない上司に作り笑いしなきゃいけない時もある。お給料もらってるから。でも劇場ではそんなことしなくていい。
スタンディングオベーションする人のタイプ分け
でもよく考えてみたら、別に全員が全員「素晴らしい公演だと思ったから」スタンディングオベーションしているわけではないんですよね。
ということで、スタオベをタイプ別に分類してみた。
スタオベする3つの理由
①素晴らしい公演への賛辞
②良し悪しに関わらない作り手への感謝
③ステージが見えなくなったからしぶしぶ
①素晴らしい公演への賛辞
辞書的な意味の「観客が送る最大の賛辞」としてスタンディングするタイプ。
そもそものスタオベの成り立ちですが、1743年にロンドンで国王ジョージ2世の前で「メサイア」が演奏された時にそのあまりの素晴らしさにジョージ2世が立ち上がって拍手し、それを見た周りの観客もつられて立ち上がり拍手を送ったことがスタンディングオベーションの始まりと言われてます。
つまりジョージ2世タイプです。
筆者としては、スタオベって本来はこういうものだよなあと思っています。全く義務的なものではなく、感激のあまり自然と腰が浮き上がってしまった、というもの。
②良し悪しに関わらい作り手への感謝
公演の素晴らしさやクオリティに関わらず、キャストや裏方スタッフ・オーケストラなど作り手全体に対して「お疲れ様」の意味を込めてスタンディングするタイプ。
なんというか、人間としてできてる!こんな人間になりたい!
怪我や病気から役者復帰したキャストに対して「よく戻ってきてくれたね」の意味かもしれないし、オーケストラに対して「素晴らしい音楽をありがとう」の意味かもしれない。
③ステージが見えなくなったからしぶしぶ
ぶっちゃけこれが一番多いんじゃないかなと思ういます。前の座席の人が立ったら視界が遮られるのでステージが見えなくなるんです。
ちなみに、おけぴネットさんによるアンケートではこんな結果になりました。
別にスタンディングするほど素晴らしい公演じゃなかったし腰も痛い。
でも立たないとキャストたちの晴れやかな笑顔や達成感を噛みしめた表情を見逃しちゃうわ!と思って立つ。
最後列近い席で観てるとわかるんですが、客席が立ちだすのって全席一斉にバラバラと立つわけじゃなくて、前のほうの座席の人が立ったら順々に後ろに流れていくように立っていくんですよね。ウェーブみたいなイメージです。
ちなみに筆者はこのタイプです。もちろん本当に素晴らしいと思った公演の時は積極的に立つけれどね!
超ハイレベルな回だけスタオベが起きるようになると嬉しい
スタオベ自体を否定する気は全くないのですが、スタオベの希少価値がもう少し上がるとなんだか嬉しい気がします。
というのも、「もう本当に本当に素晴らしすぎる公演だった!!!」という演目に出会ったときに、その感情を表現する方法ってないんですよ。だって大して素晴らしくない公演でもスタオベされちゃうから。
だから、あまりにも突き抜けた素晴らしさを表現する最終奥義みたいな表現がほしい。それがスタオベになってくれたらもっと嬉しい。
最終奥義・・・なんだろう?個人的にはショーストップと言われる現象が起きたときは身震いしてしまいます。次のシーンに進めないほど拍手喝采が鳴りやまないという現象のことです。
スタオベが慣例化されてしまっている以上、ショーストップこそ嘘偽りなき最大の賛辞であるのかなと思います。
立ちたくなければ立たなくてよし
最後にもう一つ思うことは、観劇ビギナーの人もみんなが立ってるからって義務的に立つ必要ないよということ。素晴らしい公演だった!と思えば立てばいいし、正直微妙だったなと思えば立たなくていい。