ファクトリーガールズ 観劇レポ

【感想】初日公演観劇レポ!『FACTORY GIRLS(ファクトリーガールズ) ~私が描く物語~』

2019年9月26日

 

世界初演!新進気鋭のミュージカル

 

2019年9月25日に世界初演を迎えるミュージカル『FACTORY GIRLS ~私が描く物語~』の初日公演を観てきました。

感想の記事になります!

 

あらすじや登場人物などの予習はこちらの記事のほうでまとめているので、よければご参照ください。

 

 

注意!

結末に関わるような具体的なネタバレなしの感想にはなりますが、多少はネタバレありなのでご注意ください。

 



 

劇場は赤坂ACTシアター

 

HARI
チケットを用意して、いざ入場!

 

すると、入り口でなんと化粧品のサンプルを貰いました。会場間違ったかと思った。

 

 

帰宅して調べてみたのですが、主演の柚希さんが広告塔になっている化粧品みたいです。

公式サイトを開くと柚希さんが出てきました。

 

劇場に入ると、色とりどりのお花たち。赤坂ACTは祝い花の圧力がすごい。

 

そうそうたるメンバーだ

 

物販はこんな感じです。

 

パンフレットはちょっと高め

 

パンフレットは他の公演と比較すると、少し小さめでした。

作中で登場するローウェル誌と同じサイズにしているのかな?

 

 

柚希さんのグッズもたくさん売っています。

 

REON祭り

 

開場直後なら空いていたよ

 

ロビーの様子はというと、男性客がやけに多かったような気がします。女性キャストが多いから?

もしくは、初日だから関係者のお偉いさん方かもしれません。スーツのオジサマたちがかなり多かったです。

アミューズ祭りの公演なので、アミューズの方たちかな。

 

筆者は2階席だったのですが、2階席は残念ながら4割ほどは空席でした。後ろ3列ほどはマルっと列ごと空席のエリアもあるほどで・・・

 

結構長いね!

 

上演時間はこんな感じです。

 

さぁ、いざ開演です!わくわく

 

初日公演の感想!

ロックミュージカル×ファクトリーガールたち

”新作ロックミュージカル”と銘打たれた作品であるだけあって、かなり今風の楽曲でした。

オーケストラはおらず、ステージ後方で5名ほどのバンドが奏でています。

ただ、ロックというよりポップスっぽい印象でした。というか、まさにアミューズっぽい。

 

「ファクトリーガール」とは、柚希礼音さん演じる主人公を含む、19世紀アメリカの紡績工場で労働する女性たちのことです。

彼女たちの奮闘の日々を描いた作品になります。

 

工場が舞台のミュージカルだけあって、極彩色は一切なし。

基本的に茶色やら薄緑やら、カントリーを彷彿とさせるような色合いなので、豪華絢爛なミュージカルが好きな人にはちょっと物足りないかも?

 

具体的な感想はこのあと詳しく書いていきますが、結論から言うと「リピートはしない公演かな・・・」という感想です。

正直、筆者には合わなかった。

 

いや、キャストの歌唱やお芝居は素晴らしいです(とくにソニンさん)

決して面白くない分けじゃないのですが、合わなかったです。

 

工場というより女子高?

実際のサラ・バグリー

 

この作品は、19世紀アメリカで労働者たちの労働環境向上のために活動した実在のサラ・バグリーという女性の話です。

当時の労働者たちは、劣悪な環境で1日で14時間もの長時間労働を強いられている紡績工場の女性たちがメイン。

 

”ファクトリーガール”と聞くと、ミュージカルファンは間違いなく『レ・ミゼラブル』のファンティーヌが働く工場をイメージするはず。

あの工場って、毎日生きていくために必死にみんな鬼みたいな形相で汗水垂らして労働している印象があります。

まさに、きつい・汚い・危険の3Kの仕事。

 

しかし、本作『ファクトリーガールズ』で描かれる彼女たちは、なんというか悲壮感ゼロ。

そりゃ平日は過酷でも、週末はショッピングを楽しんだり、町の舞踏会でハメをはずすシーンなんかもあって。

紡績工場で疲弊され搾取される女性たち、という印象は全くありませんでした。

 

途中、鯨油(げいゆ)でできたランプが工場に導入されたせいで、日が暮れたあとも労働を強いられるというシリアスなシーンがあります。

確かに、実際かなり過酷で大変な生活を送っているはずです。でも当の本人たちはめちゃくちゃ明るいし元気。

 

基本的に彼女たちがキャッキャウフフしているシーンが終始多いです。

そのせいか、紡績工場というより女子高のような印象だったかな・・・

 

言葉は少し悪いですが、私はこのへんのノーテンキ感があまり合わなかった。

もうすこしシリアスなテイストでもよかったのでは・・・と思ってしまった。

 

全体的に結構コメディテイストなんです。とくに工場のオーナー。

 

工場のオーナーに虐げられ搾取されるシーンはあるのに、そこもかなりギャグテイスト。あんなにギャグっぽくする必要あるのかなー、とちょっと思ってしまった。

シリアスなシーンでも、パロディを含んだ面白おかしいようなセリフや動き。正直うすら寒いと感じることもあった。

あれじゃあ、指示されたキャストが可哀そうだよ・・・

 

過酷な工場という舞台設定にも関わらず、終始コメディタッチのキャピキャピ感。

いや、むしろそれでシリアステイストだと、テーマも内容も暗すぎるからあえてこうしたのかも?

 

なんだかこき下ろすようで申し訳ないんですが、キャストの歌唱やお芝居は素晴らしかったです。

とくに柚希さん・ソニンさん・剣さん。

そのへんについても書いていきます。

 

元気印?柚希礼音さんのサラ・バグリー

 

実在の人物である主人公サラ・バグリーを演じるのは、柚希礼音さん。

宝塚の元男役トップスターであるだけあって、手足も長く背も高い。2階席にもしっかる伝わる存在感と大きさはさすがのスター!という印象でした。

 

田舎の農園の娘であったが、とある事情で紡績工場で働くことになります。

剣さん演じるローレル夫人が面倒をみるファクトリーガールたちの寮のような場所で生活させてもらえるようになります。

サラはファクトリーガールたちに比べると年齢はかなり上という設定。

つまり、年端もいかない少女たちに囲まれた共同生活が始まります。

 

過酷な工場の外の世界から来た自由な思想を持つ年上のお姉さんが、少女たちを勇ましく導き、リーダーとして奔走する。

この図は柚希さんに本当に本当にピッタリとマッチしていたと思います。超ハマり役かも?

 

現代社会でもこういう図ってあるじゃないですか。

経験のない年上の女性が転職してきて、年下の先輩たちに仕事や作法を教えてもらう。

これって結構ややこしい状況だと思います。教えてるほうも、教えられるほうも。

こういうのって、年上の女性のほうがフレンドリーで素直だったり、根明だったりすると上手くいくことが多いような気がします。

 

柚希さん演じるサラはまさにこれだな~!と。

部外者であったはずのサラは、毎日ドタバタしつつも可愛らしい少女たちに教わりながら、いつの間にか彼女たちのリーダー的存在になっていく。

しかも、サラはただのリーダーではなく、少女たちの精神的支柱のような役割でもあります。この人間性が本当に柚希さんらしくて、とてもリアル。

 

舞台以外での柚希さんのことは正直ほとんど知らないし、どんな男役トップだったかもあまりわかりません。

それでもなお伝わる圧倒的な人徳のようなものを感じました。たぶん、お話の中だけの話じゃない、本当に人間としてのリーダー性があるんだろうなと。

 

私たちを工場から解放して!太陽の光を浴びさせて!と主張するファクトリーガールたちの前に現れた、さびれた汚い工場に突然咲いた、大きすぎる大輪のひまわり。

そんなイメージです。

 

この人についていきたい。この人を支えたい。気が付けばそのハツラツとした姿を目で追ってしまう。実在のサラもきっとそんな女性だったはず。

ハマり役や~!

 

カーテンコールでは誰よりも深くお辞儀をされていて、うなじが見えそうになるくらいでした。

 

珍し、しっとりソニン

 

柚希さんがドタバタ系お姉さんなら、ソニンさんはしっとりおっとり系の物静かな女性。

ローウェルという文芸誌の編集長を務めるハリエット・ファーリーという実在の人物の役です。

 

サラと固く友情を結び、ハリエットもまた工場の労働環境の向上のために力を合わせます。

しかし、ハリエットはどちらかと言うと保守派。

もちろんサラたちのことは応援するけど、でもまだその時じゃない。だからもう少し落ち着いて、サラ。と、ファクトリーガールたちの怒りや興奮を抑制する立場。

 

これまでソニンさんと言えば、『1789 -バスティーユの恋人たち- 』や『マリー・アントワネット』など、貴族たちに牙を向く熱い女性を演じてきました。

パッと見、少し攻撃的な印象のある役柄が多かった。

でも今作では、かなーーり、しっとりとした艶やかな女性です。なんとも色っぽい。

 

今すぐ行動だ!革命だ!シャオラァッ!!な武闘派のソレーヌやマルグリッドとは正反対の物静かな理知的な女性。

ソニンさんってこんな役もできるのか・・・!と、感激。

 

囁いているような話し方なのに、セリフははっきりと聞き取れるんですよね。スゴい。

ミュージカルなので、小声で会話するような静かなシーンでも多少は声を張る必要があるはず。

ソニンさんは本当に静かな場所でポツリポツリと呟くような発声。それでも何を言っているのか明確。スゴい。

ソニンさんって歌唱力が評価されがちだけど、芝居もめちゃくちゃ上手い技巧派女優さんだと再認識。

 

元気ハツラツなファクトリーガールズとは対照的に、ハリエットは一人心境を吐露するような静寂に包まれるようなシーンが多いです。

静かな空間で、ハリエットがしっとりと穏やかに話す。動のファクトリーガールズたちと、静のハリエット。この緩急が素敵でした。

 

ちょっとネタバレっぽくなりますが、ラスト近くにハリエットが自分の殻を脱ぎ捨てて覚醒するシーンがあります。

ここが本当にカッコよかった!鳥肌立ちました。

今までずっと、過去に捉われながら本当の自分を表現できずにいたハリエットが、頭の上のガラスの天井を叩き壊すようなシーン。

 

正直、この作品の主人公ってサラじゃなくてハリエットだよね?

サラ率いるファクトリーガールズたちに影響され、控えめで勇気のなかった自分を乗り越えるハリエットの物語じゃないかなあ。

そう思ってしまう程の存在感でした。

 



 

珍し、一般人の剣幸さん

剣幸(つるぎみゆき)さんはファクトリーガールズたちのお世話をするラーコム夫人と、ファクトリーガールの一人であるルーシーの40年後の二役。

剣さんには珍しく(?)一般ピープルの役です。

 

剣さんと言えば、『ラブ・ネバー・ダイズ』のマダム・ジリーやら『エリザベート』のゾフィーやら、ただモノではない妙齢の女性役というイメージ!

ですが、今作ではどこにでもいる母親の役。暖かく、優しく、少しお茶目なお母さん。

出番自体はあまり多くはないものの、筆者的には今作の隠れMVPだと思います。

 

抗議活動なんて危険なものやめなさい、とファクトリーガールズたちを引き留めていた彼女。

ラストシーン近くに、抗議活動に立ち向かう彼女たちを複雑な表情で「頑張るのよ・・・っ」と絞りだすような声で激励します。このシーンよかった・・・

 

ガールズたちを支える母性溢れる役でしたが、逆に敵対する存在でも面白かったかも?とも思ったり。

今作は、男性vs.女性という印象が強いですが、実際は女性の中にもゴリゴリの保守派がいたはずです。

女が制度に意見するなんて言語道断。女は家と男に従っていればよい。古いしきたりを守らないとダメよ、義務を忘れた者は滅びるのよ!

なんて、どこぞの皇太后。ファクトリーガールズたちの前に立ちはだかる強大な壁として君臨する剣さんも見たかった!

 

ナルシスト工場長、原田優一さん

一応、今作では敵役になるのかな?ファクトリーガールズ達を搾取し、過酷な労働を強いる工場オーナーです。

工場の偉い人・・といえば、レミゼのスケベな工場長がまず最初に思いつくんだけど、今作ではナルシストで金持ちの若いあんちゃんって感じ。

原田さん得意のおなじみのキャラクターです。早霧せいなさん主演『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』のチップみたいなノリ。

 

原田さん自体はいつも通り、さすがプロ。でも前述した通り、工場オーナーが終始コメディタッチである演出はあまりしっくりこなかった。

ファクトリーガールズたちと対立する立場でありながら、シリアスなテーマ性を緩和させるコメディ要素の役割もあるようで。

敵役として、一貫して冷酷で残忍なオーナーとして振る舞うストーリー性のほうがいいのでは・・・と思ってしまった。

 

強気な姉御、実咲凛音さん

実咲凛音さんはファクトリーガールズの一人、強気で勇敢な女性アビゲイル。

何かで「サラを優しくサポートする」というような人物説明を読んだので、初日公演までは優し気なおっとりした女性をイメージしていました。

 

実際は、かなり強気!武闘派!姉御系です。

実咲さんのこういった役は初めて見た!めちゃくちゃよかったです。

実咲さんって『ライムライト』のテリーのようにTHE・ヒロイン役の印象がありましたが、こんな役もいいじゃん!と惚れ惚れしてしまった。

そもそも、お顔立ち自体は結構強めな美女系だと思います。バッチバチのメイクのとんでもねぇ悪女役とか似合うと思うんだけどなぁ。

 

キャラクター性だけで言えば、本来はハリエットが実咲さんで、アビゲイルがソニンさんだよね。

あえて普段演じている役柄とは逆のキャスティングが面白かった!

 

でも、最後にもういっこ書かせてほしい。

アビゲイル関連のとある事件だけは超・超・超違和感。なんじゃありゃ。

ネタバレになるので詳しくは伏せますが、劇中にとある事件が起こります。

それを機にハリエットが覚醒するんだけど、ちょっとあまりにもベタすぎない・・・?韓国ドラマみたいな展開だ。

 

まとめ

東京は10/9まで上演中!@赤坂ACTシアター

 

以上、初日公演の感想でした。ちょっと辛口になってしまいました。

キャストの芝居や歌唱は良かったし楽しめたけど、書いてきた通り、ノリとテンションが筆者には合わなかった。

 

労働環境向上のために戦った女性たちのリアリティ溢れるシリアスな物語を期待していると、ちょっとガクっと来てしまうかもしれません。

 

おまけ

祝い花たちです!綺麗や~

 

 

メイクアップアーティストの北さんのお花。

めちゃくちゃハイセンス!ひときわエレガントでした。

 

 

おしまい!

 

 

関連記事:柚希礼音出演ミュージカル「FACTORY GIRLS」キャストはアミューズだらけ? │チケットと劇場情報

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