ミュージカル『エリザベート』の2020年公演新キャストが発表されました。
本記事では新キャストがどんな役者であるかのザックリ解説と、ミュージカルファン視点の新キャストへの期待と予想をまとめています。
『エリザベート』ってどんなお話?という人は、別記事でまとめているのでご参照ください。
関連記事:5分でわかるミュージカル『エリザベート』│ あらすじ・登場人物・歴代公演を解説
もくじ
2020年の新キャスト
2020年公演で発表された新キャストは3人。
✦トート役:山崎育三郎
✦ルキーニ役:上山竜治
✦ルキーニ役:黒羽麻璃夫
エェー!?という配役もいれば、まぁそうなるよねという配役もあり。
トート役:山崎育三郎
主な出演作品
✦『モーツァルト!』※
✦『レディ・ベス』
✦『レ・ミゼラブル』
✦『エリザベート』
※:主演作品
これまで『エリザベート』でルキーニ役を2015年から務めてきた山崎育三郎さんがついにトート役に抜擢されました。
山崎さんといえば今やミュージカル界におさまらないほどの活躍ぶりです。バラエティやドラマにも積極的に進出しています。
広告やらCMやらとにかく露出が多いので、筆者は最近は舞台上以外で見かけることのほうが多くなりました。
ルドルフ役からトート役になったのは、井上芳雄さんと古川雄太さん。ルドルフ役からフランツ役になったのは、平方元基さんと田代万里生さん。
【参考】男性キャストの変遷
✦井上芳雄:ルドルフ→トート
✦古川雄大:ルドルフ→トート
✦平方元基:ルドルフ→フランツ
✦田代万里生:ルドルフ→フランツ
などなど、ルドルフからエリザベートデビューを果たして様々な役にチェンジすることはこれまでも多々ありましたが、東宝版でルキーニから他の役になったのは山崎さんが初パターンです。
そもそもミュージカル界のトップスターである山崎さんが、ミュージカル界の組み分け帽子ことルドルフ役を経由せずに、いきなりルキーニとして抜擢されたこと自体、今思えば異例なことだったんですけどね。
発表自体に驚きはしたものの、山崎さんがトートを演じる姿は結構想像できる人が多いんじゃないかなと思います。
「甘き死」という言葉が似合う山崎さんらしいセクシーで甘いナルシストっぽさの強いトートになる予感。
ただ、ルキーニを演じている山崎さんも、良い意味か悪い意味かは置いておき、山崎育三郎感たっぷりのルキーニでした。
そのため、トートもいかにも彼らしいトートになるんじゃないかなあ。
トートに触れたときに、井上トートは暖かくも冷たくもなさそう、古川トートはひんやりと冷たそう。山崎トートはなんだか熱を持ってそうなイメージです。
ルキーニ役:上山竜治
主な出演作品
✦『レ・ミゼラブル』
✦『るろうに剣心』
✦『ブラックメリーポピンズ』
東京都出身の33歳の舞台俳優。
『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス役として長年出演しているので、一度は観たことのあるミュージカルファンも多いと思います。
個人的には上山さんのルキーニ抜擢はすごく嬉しい。
歌唱力良し、芝居良し、ルックス良し、3拍子揃った実力派俳優であるはずなのに、いまいち人気有名作への出演に恵まれないという印象がありました。
今ミュージカル界で断トツの注目度を誇る『エリザベート』という作品への出演が決まったことで、上山さんの役者としてのキャリアがより一層確固たるものになるのでは・・・!と期待しています。
そして、筆者としてはルキーニにはセクシーさやカッコよさはあまり求めていません。
もちろん個人の趣向に寄るものではありますが、私は成河さんのような生々しさや不格好さこそルキーニの真骨頂だと思う。
お姫様や黄泉の帝王が華麗に舞う麗しい世界にただひとり存在する怪しげな青年。
美しい西洋絵画にボトっと垂れた墨汁のような役だと思うのです。
おとぎ話のクールでカッコイイ暗殺者ではなく、どうしようもない貧困の中で19世紀末を必死に生きた実在の暗殺者として、上山さんがリアルに生々しくルキーニを演じてくれるのでは・・・!
ルキーニ役:黒羽麻璃夫
主な出演作品
✦『テニスの王子様』 ※2.5次元
✦『刀剣乱舞』 ※2.5次元
✦『黒子のバスケ』 ※2.5次元
✦『ロミオ&ジュリエット』
宮城県出身の26歳の若手俳優。テニプリでデビューしています。
2019年のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』以外はほぼ2.5次元系の舞台作品への出演が中心でした。
そのため、ルキーニ役での出演は異例の大抜擢と言えます。
筆者もまだ黒羽さんの舞台は観たことがないので、どのようなルキーニになるか全く想像ができません。
今風の端正で長身のルックスなので、山崎育三郎さんのようなセクシー寄りのルキーニになるのかな?
動画を見た感じだと、声質が意外と渋くていいですよね。
ザラついたニヒルな第一声を聴いて「お?」となりました。
なんにせよ、新たなミュージカル界のプリンスの誕生の予感しかしません。
新キャスト発表への総評
①山崎トート爆誕
今回のキャスト発表の一番の目玉はやはり山崎トート爆誕でしょう!
「山崎育三郎のトートが観れる」という意味では2020年公演は既に注目度がドドーン!と一、二段上がった印象です。
ただ、山崎さん起用自体はそこまで意外でもないかも?
ミュージカルの実力がある、中堅どころ、集客力あり、という意味ではトート役として文句なしです。
これまで2015年の新演出版東宝トートを演じてきた井上さん、古川さん、城田さんはみなさんプリンス系のツルっとした雰囲気で、山崎さんもこのラインに間違いなし。
違和感のない配役です。
ただ、個人的にはプリンス系だけじゃなくて、たまには野獣系のワイルドな役者が演じる変化球トートも観てみたい。
でもラストにぴっちぴちの全身白装束になるからやっぱりあの恰好が様になるプリンス系じゃないとダメかなあ。肝心のラストシーンで胸毛が見えたら涙がひいちゃうよ。
というか、起用そのものよりも、紫髪のセンター分けスタイルのほうが驚きました。
なんだか古き良きトートって感じのルックスですよね。
②エリザ熱が全国に分散?
地方ごとに出演キャストが異なるというのも面白い試みです。
理由はキャストのスケジュールの都合でしょうけども、観客を地方に分散させるという意味で意義があると思っています。
これまでも『エリザベート』の全国公演はありましたが、東京公演のみ異常に過熱し、チケットが数万円で転売されまくるという事態に陥りました。
一方、地方公演はほんの少しだけチケットが余っていたため、東京からの遠征代を含めても東京公演の転売チケットのほうが高額というおかしな状況だったのです。
例えば、地方公演のみ登壇する井上トートを観ようと地方公演に足を運ぶ観客が多くなるはずです。
東京公演への一点集中過熱を防ぐという意味では、非常に効果のある試みだと思います。
まあ、熱心なエリザベートファンは追いかけるのに大変になるでしょうけど・・・笑
③ルドルフ...何処なの...聞こえているの?
ルドルフ役がまさかの三浦涼介さん一人です。
追加キャストいるよね・・・?
ですが、これまでもルドヴィカ役の未来優希がシングルキャストで踏ん張っているので、まさかの三浦さん一人もあり得ない話ではありません。
幼少期ルドルフの「僕はひとりぼっち」が実現する日が来るとは。
ルドルフ・・・(追加キャストは)何処なの・・・?
というのはまぁ、半分冗談として。
『エリザベート』におけるルドルフ役って、未来のミュージカル界を担う若手実力派の登竜門としての役割があります。
そういう意味では、そんなキラキラとした役どころがシングルキャストというのは少し寂しいかなぁ。
まとめ
さて、2020年エリザベートがいよいよ始まりました。
20周年のメモリアルイヤーということもあり、制作サイドも観客サイドもとてつもない熱量で2020年の夏を迎えることになりそうです。
余談ですが、花總さんのエリザベートは今年が最後だと予想しています。
花總さんのエリザベート姿を見れなくなるのは残念ですが、キリの良い20周年で華々しい有終の美を飾ってほしい、と思います。
なんにせよ、2020エリザベート楽しみすぎるよね!ヒャッホー!
関連記事:【エリザベート2019感想】 花總まりの真骨頂は2幕である
関連記事:【エリザベート2019感想】三浦・京本・木村 3人のルドルフ徹底比較
2020年キャスト一覧
<キャスト>
エリザベート:花總まり / 愛希れいか
トート:井上芳雄 / 山崎育三郎 / 古川雄大
フランツ・ヨーゼフ:田代万里生 / 佐藤隆紀
ルドルフ:三浦涼介
ルドヴィカ / マダム・ヴォルフ:未来優希
ゾフィー:剣幸 / 涼風真世 / 香寿たつき
ルイジ・ルキーニ:尾上松也 / 上山竜治 / 黒羽麻璃央
※赤字は新キャスト
<スケジュール>
2020年4月9日(木)~5月4日(月・祝)
東京都 帝国劇場
2020年5月11日(月)~6月2日(火)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2020年6月10日(水)~28日(日)
愛知県 御園座
2020年7月6日(月)~8月3日(月)
福岡県 博多座
<製作>
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞:小池修一郎