もくじ
ミュージカル=敷居が高いはホント?
ミュージカルのファンはこう言います。
いいえ、私は思うのです。
全くの未経験者がミュージカルを観に行くまでに乗り越えなければならないハードルってめちゃくちゃ多いんです。
しかし、ぼんやりと「ミュージカル=敷居が高い」という図式は頭にあったもののハマってからはそんなことはあまり考えなくなりました。
近年ミュージカル界が盛り上がっているし、ミュージカルタレントなるものも増えてきた。
だから、
確かに敷居は高いよ。でも最高に面白いから観てほしい!
ということを伝えたい。だから本記事ではこの2つを解説するよ。
この記事を読んでわかること
・ミュージカルの敷居を高くする5つの理由
・敷居の高さにも関わらず何故好きになるのか
敷居が高い5つの理由
「ミュージカル=敷居が高い」と思われている理由として、おそらく主な要素は以下の5つです。
①お金がかかりそうなイメージがある
②マナーやしきたりが厳しそう
③場所と時間の縛りがある
④人気作ほどチケット入手困難
⑤何が面白いのかピンとこない
①お金がかかりそうなイメージがある
やはりチケットの価格が高いというイメージが敷居をグーンと挙げている理由だと思います。
筆者自身も劇場に通うようになる前は、お金持ちのオシャレなマダムたちが楽しむ趣味、という印象がありました。
敷居が高い趣味といえば、一般的には例えば日本舞踊・ヴァイオリン・アクアリウムなどを想像しますよね。
たしかに、道具を揃える必要があるし、その一つ一つが高額で、しかも定期的なメンテナンスが必要になります。
実際はどうかと言うと、ミュージカルは別にお金はそこまでかからない趣味です。
たいていの公演は席ごとにランクがあり最も良いS席は12,000円~14,000程しますが、安いC席は実は4,000円程で販売されています。
しかも、公演を観るのに別に必要不可欠な道具もないですよね。
※オペラグラスやマスク、ひざ掛けなど「あるとより良い道具」はありますが。
例えば、ひと月の観劇回数ごとに分類してみます。
例えば、1か月に2~3公演観に行くのであれば、3万円以内には収まります。
決して安い金額ではないですが、大人の趣味としてはまぁ妥当かなと(遠征費用もかかる場合はまた別の話ですが・・・)
そのため、”THE・お金持ちのマダム”ではない観客もたくさんいます。いや、むしろ見た目はみんな普通の人です。
それでもなんだか”経済的余裕がある人の趣味”というイメージがありますよね。わかります。
関連記事:舞台・ミュージカル観劇の持ち物!3つの必需品と7つの便利品│ 持っていけばよかったと後悔する前に
②マナーやしきたりが厳しそう
ミュージカルって独特のマナーやしきたりがありそうなイメージがあると思います。
そして、実際そこそこあります。
例えば、前かがみでの観劇は絶対的にNGというのは観劇ファンなら知って当然のルールですが、調べたり他の人から聞いたりしないとなかなか自分では気づけません。
※座席には傾斜があるため、背もたれに背を付けないと後ろの人の視界を妨げてしまいます
かつ、よくテレビで宝塚のスターが出待ちのファンが成す厳かな列を颯爽と歩いていくシーンなんかが放送されますよね。
ああいう映像を見ると「あぁなんだか怖い世界・・・」と思ってしまうかも。
ただ、実際にミュージカル独特のマナーやしきたりが本領発揮するのは、ただ鑑賞する以上のことをする場合です。
例えば、俳優に差し入れしたり、手紙を書いたり、出待ちしたり。
そのため、ただ公演を観て帰るだけであれば、常識的な行動をしていればまず問題ないのです。
※出待ちについては、劇団や役者によって絶妙なルールがあるので詳しくは割愛します。
関連記事:意外と知られていないマナー違反とミュージカル独特のお作法
③場所と時間の縛りがある
ミュージカルは当たり前ですが生身の人間によって行われるので、公演場所や公演期間、公演時間が指定されています。
例えば映画やスポーツは基本的に自分のスケジュールが空いている時間で楽しめますよね。
しかし、ミュージカルは公演に自分のスケジュールを合わせる必要があります。
つまり、せっかく行ってみたいと思ってもスケジュールが合わないから断念した、というパターンがかなり多いはず。
ハマってもいないことに自分のスケジュールや都合を合わせるって、結構な労力ですからね。
関連記事:ミュージカルのマチネとソワレどっちが人気?観劇タイプ別に解説するよ
④人気作ほどチケット入手困難
お金もある!時間もある!マナーもひと通り学んだ!
さぁ、いざ観劇だ・・・と思い立っても、人気作はほとんどチケットが入手できません。
チケットぴあやイープラスなどの一般プレイガイドにも一応販売されますが、大人気作の場合はプレイガイドからはほぼ入手不可能です。
確保できたとしても、すごく後ろの方の席だとか、平日の昼だとかになってしまいます。
チケット瞬殺の公演例
・『エリザベート』
・『レ・ミゼラブル』
・『ポーの一族』
じゃあどうやって皆は入手しているの?というと、観劇ファンの多くは俳優のファンクラブ先行や劇団自体の先行に応募してゲットしています。
あとは、観劇仲間同士で譲り合ったり。
つまり観劇ビギナーが「この人気作観たい!」とせっかく思ってもチケットの確保はほぼ不可能、という現実があります。。。
最近は転売チケットの取り締まりの強化が進み、かつ、観劇ファンの中でも転売禁止への意識が高まっています。
ひと昔まえは大人気作品の千秋楽公演が転売サイトで10万円台で売られていたこともあるんですよ・・・しかも買う人は大勢いるんです。
何か新しい趣味やジャンルに飛び込んでみようとするとき、普通は人気作や定番中の定番をまず手始めに体験してみようと思うはず。
映画だったらレンタルやらダウンロードやらで好きなだけ観れますが、ミュージカルはそうは問屋が卸さないところが歯がゆいですよね。
関連記事:【入会を迷ってる人向け】舞台俳優のファンクラブのメリットと特典
⑤何が面白いのかピンとこない
筆者は能や歌舞伎に対して「一体何がそんなに面白いんだろう・・・?」とぼんやりとした疑問があります。
批判しているわけでもなんでもなく、ただ純粋にどういうところが見どころなの?と思うのです。
ミュージカルもこれと同じかなと。
スリリングで情熱的な最高の楽曲たち!
考察が考察を呼ぶ奥深いストーリー!
役者たちの熱い芝居と歌唱!
ミュージカルファンとしては最高です。これ以上に興奮するエンタメないと思っている。
でもミュージカルというものにあまり縁のない人からしてみれば、「で?」という感じなのかもしれない。
楽曲なら普通のバンドや歌手でいいじゃん?
面白いストーリーの映画見ればいいじゃん?
役者の熱い芝居?突然歌いだすやつでしょ?
ミュージカルは歌・ダンス・芝居・物語・演出、などなどエンターテインメントを構成する全ての要素を1度に楽しめる最高の時間であるはず。
でも縁のない人には、ある意味では器用貧乏なエンタメに見えるのかもしれません。
たしかにミュージカルの良さって何?と聞かれると、ちょっと回答に悩みます。
むしろ良いところが多すぎて回答に悩むことそのものがミュージカルの良さを体現していると思いますがね。
観劇ファンになるきっかけとは?
なぜヒトは猿から人間へ、人間からミュージカルファンへ進化を遂げるのでしょうか。
筆者としては、ほぼ全員以下の4つのどれかに当てはまるのでは?と考えています。
オタクになる4つのきっかけ
①親や友人の影響
②好きなタレントがミュージカル進出
③好きな作品がミュージカル化
④学校の芸術鑑賞
①親や友人の影響
・ミュージカルが好きな親に連れて行かれたら好きになった
・気の合う友人に物凄くオススメされた、布教活動された
などなど、周りの人の影響で好きになったというパターン。
筆者の周りをみていると、このパターンがかなり多いのかな?と思います。
最近はTwitterで友人ができる人も多いですよね。
SNSを通じて仲良くなる人は、たいてい趣味趣向が似通っています。つまり、ハマりやすい対象の傾向が似ているということ。
たとえCMやチラシをみて興味が湧かなくても
「仲の良いあの子がドはまりしているものなら私も・・・!」
というパターンも最近は増えていると思います。
また、家族の影響の場合は家族が家のテレビで観ていたミュージカル作品のDVDを眺めていたら興味が湧いた、というきっかけも多いですよね。
②好きなタレントのミュージカル進出
好きな歌手、アイドル、役者、モデル、声優、、、
などなど元々ファンだったタレントがミュージカルに出演したのをきっかけに、ミュージカル自体にハマってしまった、というパターン。
転がったおにぎりを追いかけたら穴に落ちた、みたいな可愛いきっかけですよね。
例えば、生田絵梨花さんのファンの人は『レ・ミゼラブル』を観に行っただろうし、京本大我さんのファンなら『エリザベート』のチケットを必死で確保したはずです。
特に後者、京本さんのファンの方で、大我くん目当てだったのにいつの間にか『エリザベート』の世界観そのものに魅了されていた、という人はも~~~~の凄く多い。
最近はミュージカル畑以外のタレントのミュージカル界進出が著しいです。
タレント自身はプレッシャーかもしれないけれど、ミュージカルファンの中に新しい血が混ざっていくのはすごく良いことですよね。
③好きな作品のミュージカル化
②と少し似ていますが、大好きな映画や小説がミュージカル化されたから、というパターン。
例えば、人気漫画のミュージカル化は近年顕著ですよね。熱心な原作ファンはミュージカル化も欠かさずチェックします。
ちなみに、いわゆる2.5次元ミュージカルと呼ばれるものだけでなく『デスノート』や『王家の紋章』など漫画原作であれどミュージカル界で名を馳せる一流の作曲家や脚本家が製作している事例も増えてきました。
他にも、ゲームや映画のミュージカル化も多いです。ディズニーとかまさにそれですよね。
④学校の芸術鑑賞
芸術鑑賞の授業で観劇にくる学校は意外と多いです。羨ましい!
授業で強制的に見せられたらハマってしまった、ということもあるあるです。
ちなみに、学生たちがまとまって観劇する公演は公演スケジュールに「学生団体あり」と案内されます。
もしマナーなどが気になる場合は避けることができます。
ほとんどの学生さんは真剣に観劇されていますが、まれに騒いだり笑ったりと、ひどすぎるマナーの学校も残念ながらあります・・・
一定の敷居の高さも必要かもしれない
「敷居がもっと下がって、みんなが気軽に楽しめるエンタメになればいいのに」
ミュージカルファンが皆こう思っているかというと、NOだと思います。
というのも、やっぱりある程度の敷居や気難しさは品位やマナーを守る防波堤としての役割もあるはずです。
老若男女問わず安価に楽しめるようになってしまうと、ルールなんて概念がそもそもない非常識な有象無象たちが絶対に増えてしまう。
かといって、お堅い高飛車な趣味として居座り続けるのもあれだし。
となると、ルールやマナーを守れる善良な人たちに的を絞って呼び込むことが最高ですよね。
(でもこれって超難しい気がする)
まとめ!
ミュージカルって本来、歌とダンスとお芝居で老若男女関わらず最高に楽しめるエンターテインメントであるはずです。
しかし現実問題、一部の熱狂的ファンのみで構成されている界隈になっているんですよね。
これって超もったいない!と思います。
職場や飲み会で「あの映画みた?」と同じくらいのノリで「あの公演観た?」と言えるようになるといいよね!
帝劇やブロードウェイで長年指揮者を務める塩田さん監修の1冊。塩田さんは現場だけでなく公演パンフレットにも登場することが多いので、お顔を見ればピンと来る人も多いはず。
『エリザベート』『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』など人気作を徹底解説。「もう初心者じゃないわ」という人が読むとかなり面白いかも?